妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第三章 昇降口に響く声・出現
名前の変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
わたしたちが流した『昇降口に響く声』の噂は順調に広がり、フジヒメさんも変化できるまでに妖力が戻りました。
「この感じ久しぶりです!」
大きく体を伸ばした彼女にわたしは思わず苦笑いしてしまいます。
「私の声聞こえてますよね? ふふ、移動が速くて楽です!」
「はしゃいでると転ぶぞー。……なんかあいつ、木霊っつーより子犬じゃね? おれよりはしゃいでるぞ」
「ガキだって意味ならあってんぞ」
「フジヒメ」
「はーい!」
ウタシロさんが呼ぶとフジヒメさんはすぐに戻ってきます。
トネリさんが子犬というのも間違いではなさそうな……。
いずれにせよ、元気そうで安心しました。
「全く君は……髪が乱れているじゃないか……って何笑っているんだ?」
「ふふ、気持ちいいです!」
「そう……ほら終わったよ」
「ありがとうございます。……メリィくん!」
ウタシロさんに髪を整えてもらったフジヒメさんがわたしの手を取ります。
「え?」
「小さい間なかなか遊べなかったんで遊びましょう! 先輩ばかりと遊ぶのもそろそろ飽きてきたので!」
そう言って振り返る彼女は変わらず花がほころぶような笑顔をしていました。
「おいこら、フジヒメ!」
「飽きたって何だよ!」
背中からトネリさんとヒフミさんの声が聞こえます。
そりゃ、あんな風に言われたら怒られますよね……。
「さんざん遊んでもらっておいてそれはないだろ!」
「さすが先輩です……よく聞こえてます……。よし、逃げましょう!」
フジヒメさんに手を引かれ、真っ暗な廊下を走ります。
ああ、廊下は走ってはいけません!
とは言えないのは、後ろからの追手の声のせいです。
「ああ! 逃げた!」
「鴉天狗のヒフミ様から逃げられるなんて綿菓子より甘い考えだぜ!」
「あわわわわ……! トネリさん、ヒフミさん!?」
「メリィくん、捕まりたくなかったら私に合わせて小さくなってくださいね」
「へ!?」
「いきますよー! 三……二……一!」
「……えいっ!」
「げっ!?」
「うわっ!?」
フジヒメさんの掛け声に合わせて小さく変化するとヒフミさんとトネリさんはわたしたちを追い越していきます。
「メリィくん、急いで戻りますよ! 追いつかれちゃいますからね!」
「は、はい……!」
再び手を引かれ廊下を走ります。
ああ……捕まるのは恐いですけど、何だがワクワクして楽しいですね。
「メリィくん……楽しいですね!」
「! はい!」
結局、ハナヲさんに助けてもらうまで追いかけっこは続きました。