妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第一章 七霧学園に広がる噂
名前の変更
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「……で、ここが噂の昇降口だが」
「別に何ともないね」
「そうだな……妖力や妖術の気配もない」
「本当に妖怪なの? 人間の女の子と間違えたんじゃない?」
「そんなことねーよ。確かに妖力を感じたんだ」
少し離れた廊下の影から伺う五人。
上からザクロ、イリヤ、ヒフミ、アラハギ、トネリと頭だけを出している状況である。
件の昇降口は今のところ何の変化も異変もない。
ただ真夜中に生徒が入ってこられるようにと扉が静かに開いているだけだ。
「つーか……重いから降りろ!」
「にゃっ!?」
「うわっ!」
急に立ち上がったトネリに上に乗っていたアラハギたちがよろける。
「っと、危ねぇな」
「急にどうしたんだい?」
「どうしたもこうしたも重いんだよ!」
彼らのこうしたやり取りは何度か見たことがある。
長年、学園の七不思議として交流しているから。
七不思議としてはまだ新しい僕やメリィには少し無理な関係だと感じる。
それがほんの少し羨ましいなと彼らを眺める。
けれど、たまに思うのだ。
彼らのこうした行動は少し幼稚過ぎないか!
「何やってるんだか……」
「まあまあ」
痛む頭を押さえていると、ハナヲが肩に手を置いてきた。
その憎たらしいほどの笑顔にまた頭が痛んだ。
ふわっと風が昇降口を駆け、髪を揺らした。
「おいっ!」
「妖力の気配……!」
ザクロとイリヤの声に僕たちが妖力を感じたと同時に、昇降口から歌声が響く。
「出たな。噂の『昇降口に響く声』!」
「ほらな! やっぱりあってんじゃねーか!」
「バカ犬の言ったことが当たったのは気に入らないけど……キレイな歌声だね!」
「はい。とてもキレイな歌声です」
「でも、噂では“楽しげ”って言ってたけど、これって……」
「神楽歌じゃねぇか! 何で学園で神楽歌なんざ歌ってんだよ! 歌うなら神社だろうが!」
ザクロの言う通り、昇降口に不釣り合いの神楽歌が響いている。
「それで音の出所は?」
「うにゃー……探してるんだけど……」
「壁や廊下、天井……あっちこっちから反響して全っ然わっかんねー」
「反響してってことは風を起こしたら何か変わるかもな! みんな、吹き飛ばされるなよ! ガラスとか割れねーように気を付けて……おらっ!」
ヒフミの妖術によって強風が昇降口を駆ける。
反響していた歌声は徐々に弱まっていった。
「いやいや! これだと、歌声の正体も分からなくなるんじゃないか!?」
僕の心配をよそに、小さな悲鳴が一つこだました。