妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第二章 小さな後輩
名前の変更
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なぁ、知ってるか?
『昇降口に響く声』、その噂を――
ある女子生徒が昇降口に響く楽しげな歌声を聞いた。
誰が歌っているのか気になった女子生徒は歌声の主を探したんだ。
下駄箱の陰、廊下の先、すぐ近くの階段……くまなく探したが結局誰も居なかった。
女子生徒が諦めて帰ろうとしたその時、すぐ耳元で声を聞いたんだ。
その女子生徒以外確かに誰もいないはずの昇降口で……。
これが少し前まで広がっていた『昇降口に響く声』の噂だ。
だが、この噂とはまた別の噂が最近流れだした。
夜の学園、暗闇の中で非常口の緑が不気味に浮かび上がった昇降口に、誰かの啜り泣く声がするんだって。
その声はいつも、だぁれ……だぁれ……って誰かを探している。
――だぁれ……だぁれ……私の藤を傷つけるのは……。
――だぁれ……だぁれ……私の藤を汚すのは……。
か細い声は徐々に徐々に大きくなって昇降口に響きわたるそうだよ。
――だぁれ……だぁれ……私の藤を傷つけるのは。
――だぁれ……だぁれ……私の藤を汚すのは。
きっと声のそいつは怒っているんだ。
ほら、中庭にできた藤棚。
あの藤棚には妖怪がいて、藤の木を守っている。
けれど、ゴミを捨てる奴がいるだろ?
――だぁれ、だぁれ、私の藤を傷つけるのは!
――だぁれ、だぁれ、私の藤を汚すのは!
――だぁれ! だぁれ!
だからきっと怒っているんです。
藤の木を傷つける人間たちに。
そして、昇降口にいる生徒を見つけては、捕まえて藤の木の中に閉じ込めてしまうそうだよ。
――許さないっ!!
と、悲痛な叫び声をあげて……。