妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第一章 七霧学園に広がる噂
名前の変更
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「最近、『昇降口に響く声』って噂が広がっているんだけど、みんな知ってるかい?」
紅茶を飲みながらハナヲがオレたちに話しかける。
ハナヲの妖術によって作られた部屋に八人の妖怪が好きなように過ごしていた。
「あ! その噂なら知ってるよ。ボクのクラスでもみんなが言ってる」
手を上げたのは化け猫のアラハギだ。
二つに分かれた尻尾を揺らして身を乗り出す。
「おれも! 知ってるつーか、歌、聞いたことある!」
アラハギに負けじと手を上げたのは狗神のトネリ。
「ウソ! ボクでさえ聞いたことないのに、落ち着きのないトネリに聞こえるわけないじゃん!」
「はあ! あるし! めっちゃじょーずだった! どっかのバカ猫より上手かったかもな!」
「ちょっと! それ、ボクのことじゃないよね!」
「さあな!」
アラハギとトネリは何かあるとすぐに張り合う。
仲が悪いわけではないが小さなケンカが絶えないのだ。
「まあまあ、その辺にしとけよ」
「ていうか、トネリ。オマエ、聞いたことあんのかよ!?」
二人をなだめるオレの後ろから妖孤のザクロが声を上げた。
「おう、部活の終わりにな! すんげーキレイな歌声だったぜ! あ、そんとき、少しだけ妖力を感じたっけ?」
「そうなのかい? キレイな声ならオレも聴いてみたいなー」
のんびりした声で言うのは八岐大蛇であるイリヤだ。
「イリヤ、そうじゃねぇだろっ!」
「ザクロだって聴いてみたいだろ?」
「んなわけねぇだろ!」
「はいはい、二人ともそこまでだよ」
熱を帯びてきたザクロの声を涼しく諌めたのは獏のウタシロ。
「ねえ。ウタシロも聴きたいよね?」
「はぁー……まったく。イリヤ、僕を巻き込まないでくれ」
「あのー……」
わーわーと騒がしくなった部屋で静かに声を上げたのは妖怪のオレたちでも不気味に思うメリィである。
「どうしたんだい? メリィくん」
「その噂の正体、確かめてみませんか?」
メリィの意見に否定的な奴はいなかった。
「いいじゃんか、それ! 楽しそうだな!」
「だな! おれ、どんな奴が歌ってるのか気になってきた!」
「ボクも! 歌が上手ならボクのピアノに合わせて歌ってもらいたいな」
「オレも聴きたいなー」
「ったく。しゃぁねぇな。付き合ってやるよ」
「君は素直じゃないね」
「っるせ……」
「じゃあ、決まり。今から噂の正体をみんなで確かめに行こう」
部屋から飛び出し、暗い廊下を進んでいく。
時計の針は丑三つ時を指していた。