妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第二章 小さな後輩
名前の変更
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フジヒメの噂は完全ではないものの学園から消えてしまった。
妖力の減った彼女は小さくて喋ることもできないままだけど、噂が広がっていた時と変わらずボクらと一緒に七霧学園で過ごしている。
「にゃあ~……今日も気持ちがいいね~。絶好のお昼寝日和だよ」
猫の姿のボクの隣にはフジヒメがいる。
だんだんと日差しが強くなっていくにつれて緑の蔓を伸ばし、薄紫の花を垂らす藤の下でボクたちは昼寝をしていた。
昨日から学園は連休に入り、生徒はほとんどいない。
「こっちだ、こっち! パスしろっ!」
「走り込みもう一本!」
部活の練習をしていたり、
「見てください、先輩。猫ちゃんですよ!」
「あれは猫くんだね」
「オスってわかるんですか!? スゴいですね!」
委員会だったりと一部の生徒がそれぞれの活動に勤しむ声がする。
「おい、アラハギ、フジヒメ……!」
「こんなところで昼寝とは……いい度胸してるね、君たち」
ザッと砂を踏む音がすればと思えば、ザクロとウタシロがボクたちを見下ろしていた。
「おっと、逃がせねぇぜ」
「君もだよ」
「にゃっ!?」
とっさに逃げるボクの首根っこをザクロが掴み上げる。
その持ち方をされると抵抗できないから、止めてほしいんだけど!
文句を言いたくても他の生徒がいる前で喋れないし、フジヒメもウタシロの手の中に捕まってしまった。
「……」
「何不貞腐れてるのさ。良かったじゃないか、皆から撫でられて」
「あの蛇野郎のせいで俺たち生徒会が藤棚のゴミ拾いに来る羽目になったんだ。オマエらだけ気持ち良さそうに寝てんじゃねぇよ」
「……にゃあ~!」
「可愛い、可愛い」とさっきからボクを撫でてくる生徒会の子たち。
ザクロとウタシロに捕まったボクはゴミ拾い後の休憩にと生徒会に差し出された。
ご丁寧に妖怪だとバレないようにザクロが妖術をかけてくれている。
フジヒメはというと、ウタシロの手の中で撫でられ寝ている。
時おり、女の子たちがウタシロに何を持っているのか聞いているけど、その度に「お気に入りのぬいぐるみだよ」なんて笑顔で答えてる。
ボクも彼女と寝たいのにー!
そう込めて鳴いたボクに気付いたウタシロとザクロがニヤリと笑った。
もー! 早く終われよっ!
ふて寝しようとすると、また人間たちから「可愛い、可愛い」と撫でられる。
妖術で一本になってしまった尻尾を不機嫌に振っても、人間たちは撫でるのを止めただけで「可愛い」は止まなかった。
後で覚えてろよっ!