妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第二章 小さな後輩
名前の変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……ねぇ、どうしてキミは生徒たちに囲まれていたのかなぁ、フジヒメ?」
にっこりと笑うイリヤの手の中でフジヒメが震えているのがわかった。
「って言っても、コイツ喋られねーけど、どうするんだよ?」
ヒフミの言う通り、ちっこいフジヒメは口がねぇから話せねぇ。
どうしようかと考えていると、ハナヲが思い出したように部屋の奥へと行く。
「えーと、確かここに……あった!」
ハナヲが持ってきたのは一枚の紙。
「……これって」
「そう、こっくりさんを呼び出すための紙だよ!」
「なに妖怪が妖怪を呼び出そうとしてんだよっ!」
「いやー、クラスの子たちから一緒にやろうって誘われたんだけど、こういうのは本当に出て危ないからって俺が預かってたんだ」
ニコニコと腹が立つ顔をして便所幽霊はイリヤの前にその紙を置いた。
イリヤは変わらず笑えねぇ笑みを浮かべてフジヒメを見ている。
震えるコイツは別に蛙でもねぇが、こういうのを蛇に睨まれた蛙って言うんだろうな。
まあ実際は蛇神に睨まれた木霊だが。
「これでキミの言葉がわかる」
イリヤは紙の上にフジヒメを降ろすと、さっきと同じ事を聞いた。
「フジヒメ、どうしてキミはその姿のまま生徒たちに囲まれていたんだい?」
紙の上でじっと動かねぇフジヒメ。
「大丈夫。別に怒ったり恐いことをしたりしないから……ね?」
もうすでに恐いじゃねぇか、と思っているとフジヒメがゆっくりと動き出した。
フジヒメはひらがなの上を跳ねながら移動し、言葉を伝えてくる。
「ふ、し、゛……あ、『じ』だね。……だ、な……ご、み。藤棚、ゴミ?」
「ひ、ろ、う……拾う!」
「言葉を合わせると……藤棚のゴミを拾ってたのか!」
正解だと言うようにフジヒメが大きく跳ねた。
「つまり、君は藤棚の周りに落ちていたゴミを拾っていたのを生徒たちに見られて囲まれたのか……」
「まー、んなちっこいのがちょこちょこと動いていたら、そりゃ集まるわな……。おれだって、犬の姿に変化してる時そうだし」
「いいかい、フジヒメ? 人間の時ならそれでいい。けれど、今のキミの姿ではとても目立つ」
イリヤの言葉にフジヒメはしゅん……と項垂れる。
「でも大切なキミの依り代だ。……だから、人間の力を借りよう」
首――いや、からだ全体――を傾げながらイリヤを見上げるフジヒメ。
「生徒会で藤棚のゴミは拾ってもらって、全生徒にゴミを捨てないよう言ってもらうんだ」
「なっ!?」
「こんの蛇野郎っ!!」
生徒会に所属するウタシロと俺の声が重なった。