妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第二章 小さな後輩
名前の変更
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アラハギが怒りで震えているのがわかった。
何だってこの犬はこうも考えなしにものを言うのか。
詳しい事情は知らない僕たちでも今の発言が良くないものだとわかる。
「……君は本気でそれを言っているのかい?」
仲間がいつ消えてもおかしくないほどに力を弱めている。
それに対して「これが普通だろ?」と言うのは、同胞が消えてしまった僕に限らずとも憤りを感じる。
少しトゲのある言い方になってしまったが、トネリはやはり少し不思議そうに、そして当然のように答えた。
「へ? だって、おれがこの学園に来る前に会った木霊はぜーいん、今のこいつみたいにチビだったぜ」
「……は?」
トネリの言葉に今度は僕たちが驚く。
アラハギを見れば、彼も怒りを忘れて驚いていた。
「今なんて……」
「だーかーら! おれが今まで会った木霊ぜーいんチビだったって!」
口を尖らせて言うトネリ。
嘘をついている様子はないが、事が事だけに信じられない。
「妖力だって今のこいつと変わらないか少ないくらいだったぜ。あ、こいつの正体が木霊って知って、おれだって驚いたんだからなっ! ちっこい以外の姿を初めて見たって!」
「なー?」とトネリがフジヒメと顔を見合わせると、彼女は嬉しそうに跳ねた。
「……それが本当なら木霊は妖力がもともと少ないことになる。なら一体、どうして彼女だけが形を変えられるほどの妖力を持てたんだ?」
「……あ、それこそ噂のせいじゃありませんか?」
「噂……そうか! メリィくんの言う通りかもしれないよ」
ハナヲの予想はこうだ。
「まず、フジヒメは小さい姿でこの学園に来た」
「もともと妖力は少ないけれど学園の門をくぐり、ハナヲの結界の中に入ったことで一時的に形を変えられるほどの妖力を得ることができた」
「移動は楽だし、言葉も話せる」
「嬉しくなった彼女は歌いながら学園中を見て回ったいたと……」
「校舎の中まで来なかったのはボクたちがいたから……昇降口にとどまっていのか」
「昇降口にいたフジヒメの歌声をたまたま一人の女子生徒が聞いて……」
「誰かいるかもしれない、という想いがフジヒメさんをその姿でいられるよう助けたんですね」
「もともと人間が好きなコイツのことだ。その生徒が通る度に歌を歌ったり、話しかけたりしたんだろ」
「それが噂になって広まって……。だけど、その噂が消えたから、もとの姿に戻ったんだね」
「正解です」と言いたげに跳ねる彼女に、全員が人騒がせだと呆れたのは言うまでもない。