妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第二章 小さな後輩
名前の変更
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ハナヲからフジヒメのことで話があると呼び出された。
オレやザクロたちがいつもの部屋に着くと、そこにはハナヲはもちろん、すでにアラハギとイリヤ、イリヤの手の上にチビになったフジヒメの姿があった。
いつになくマジな目をしているハナヲとイリヤ。
俯いたまま動かないアラハギ。
手の上であたふたするフジヒメ。
その雰囲気は何も知らされていないオレたちにも深刻なものだと伝わるほど重たい。
その空気を知ってか知らずか軽い声が割いた。
「なーに暗い顔してんだよ、バカ猫? フジヒメが困ってんぞー。こいつ、チビになったら喋れねーんだから無視してやんなよ」
無視することを軽く咎めるトネリの言葉。
イリヤの手からトネリへと移ったフジヒメが大きく跳ねた。
「フジヒメのヤツ、えらく妖力が減ってんな……何かあったのか? それに、アラハギもオマエも、便所幽霊も……」
「まぁね、少し……」
その傍らでザクロがイリヤと話していた。
「……ハナヲさん、大丈夫ですか?」
「メリィくん……ああ、皆にはきちんと説明するから」
ハナヲにはメリィがつく。
「……何だが厄介なことになってるみたいだね。原因は小さくなったあの子だろうし」
ウタシロが眉をひそめながら隣に立つ。
「あーっ! もう! うるさいなぁ!」
突如として声を荒らげて立ち上がったアラハギに、トネリは驚き固まる。
「さっきからボクの気も知らないでっ! このバカ犬っ! この子が力をなくして、小さくなったまま戻れなくなったのは人間たちのせいだろっ! もしかしたら、消えてしまうかもしれないんだっ! それなのにっ! 何でそんなに呑気なんだよっ!」
すごい剣幕でまくし立てるアラハギを誰も止めることはできなかった。
アイツが言ったことは互いに差があれどオレたちが思っていたことだからだ。
オレたちはハナヲの結界と学園の七不思議として、ウタシロとメリィはそれぞれ悪夢や都市伝説として力を保っていられる。
だが、フジヒメは違う。
学園の七不思議ではないし、村人の想いがあるとはいえ、それはウタシロやメリィのに比べればとてもわずかなものだ。
そのわずかな想いも、長い年月を経る中でいつ消えてしまっておかしくはない。
「……」
「……」
長い沈黙がオレたちを包んだ。
「……なあ」
沈黙を破ったのはトネリだった。
「こいつってこのサイズがふつーじゃねーの?」
「何かおかしいのか?」とフジヒメを手に乗せ、首を傾げたトネリは一人不思議そうにオレたちを見ていた。