妖怪主のため、カタカナでの記入をオススメします。
第二章 小さな後輩
名前の変更
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日向でゴロゴロしようかと学園内をふらふら歩き回っていた。
中庭の方まで気紛れに足を運ぶと藤棚が目に入る。
「そうだ! フジヒメも誘おう!」
噂される『昇降口に響く声』を起こしていた妖怪――木霊。
彼女が依り代にしている藤にはキレイな薄紫の花がちらほらと咲き始め、生徒の間でひそかに注目を浴びている。
毎日写真を撮っている女子生徒もいるので、もしかすると校門前の桜並木に次ぐ学園のオススメスポットになるかもしれない。
藤棚の下にはベンチがいくつか置かれているから、これから暑くなる季節には昼寝にもってこいの場所だしね。
「……と、あれ? 人が集まってる。何かあったのかな?」
藤棚の下に人だかりができていて、なんだか騒がしい。
ボクは人の目がないか確認すると猫の姿へと変化し、その人だかりへと入っていった。
「うにゃ~……もう、何でこんなに集まってるのさ! ――うわっ! ちょっと危ないなー! ボクの足、踏まないでよね!」
身軽な猫の身体。
人間の間をくぐり抜けるなんて簡単だけど、ボクの事なんて気が付いていない人間たちが急に脚を動かすから、何度か踏まれそうになる。
猫踏んじゃったって曲、ボクは結構気に入っているんだけど実際に踏まれるのはゴメンだからね!
「はぁ~……やっと抜けられた……」
人だかりの中心に目をやると人間たちが見ているものがわかった。
人間たちが見ていたのは薄紫色をしたふわふわな塊。
なんだぬいぐるみかぁ……と思ったそれはよく見れば微動だにしないものの微かに震えているフジヒメだった。
「うにゃっ!? 何やってるのさ、あの子は!」
幸い人間たちは彼女が妖怪だとは気付いていない。
ボク同様ぬいぐるみか何かだと思っているようだ。
「にゃっ! 後でイリヤさんに記憶を消してもらわないといけないかな!」
ボクは飛び出して震えるフジヒメを咥えるとその場から逃げるように走りだした。
人間たちは猫の姿のボクに驚いて追いかけてくる様子はない。
このままイリヤさんのいる保健室へ駆け込めば、イリヤさんは驚きながらも人払いの妖術を掛けてボクたちを中に入れてくれた。
「キミはあんなに目立つところで姿を晒して何をしてたのさ!」
妖怪の姿に戻ったボクは未だに小さいままの彼女を睨む。
状況がわかっていないイリヤさんだけがどうしたのかと聞いてきたので、ボクはさっきのことを話した。
「それはあんまり感心しないな」
小さな彼女のからだが居心地が悪そうに震えた。