1章
名前変更
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書物を渡されてから三日が過ぎた。
未だ読めていない。
「名前、お客さんよー」
『はーい』
急いで玄関に向かうと、ゆらちゃんがいた。
ゆら「お久しぶりです」
『いらっしゃい。早かったね』
書物について教えてもらおうと呼んでいた。
自分の部屋に行ってから書物を見せた。
ゆら「花開院家にも、これに似た書物はたくさんあります」
『え、そうなの?』
ゆら「はい。花開院家と苗字家は昔から友好関係がありますから」
同じ陰陽師の家系であり、大昔に両家が協力をして大妖怪を封印したと聞いたことがある。
『文献が残ってるといいね』
ゆら「私も、花開院家の書物を探してきます」
『協力感謝です』
ゆら「いえいえ、名前さんにはいつもお世話になってますから」
花開院家は陰陽師を生業としていて、世に蔓延る妖怪を滅する。
苗字家は花開院家と違って、妖怪を滅することはしないらしい。
理由はよく知られていないようだ。
『なにかあったらすぐ連絡してね』
ゆら「はい。では、失礼します」
*****
そろそろテツくんが来るころかな。
黒子「こんにちは」
境内を箒で掃いていたらやってきた。
今回は他にもメンバーがいた。
『今日は賑やかだね』
誠凛のバスケ部メンバーが揃っている。
練習試合の帰りらしい。
日向「どうもっす」
テツくんと大我以外は久しぶりに会う。
黒子「2号もいますよ」
わんっ
『会いたかったよ!2号!』
テツくんから2号を奪うように抱きしめた。
相田「名前ちゃんは2号大好きよね」
伊月「オレもあんな風に抱きしめられたい」
日向「伊月黙れ」
『あ、みんなお腹空いてるよね?』
全員が目を輝かすのがわかる。
小金井「よっしゃ!名前さんの作る飯が食える!」
『じゃあ、部屋で待っててね』
広い部屋に案内してから台所へ向かった。
お母さんにも手伝ってもらおう。
張り切りすぎてご飯が豪華になってしまったけど、部屋に運べば全員大喜び。
こうしてみんなと食べていると合宿を思い出す。
木吉「何か合宿みたいだな」
『懐かしいなぁ』
日向「名前さんの作る飯うめぇもんな」
黒子「また一緒にバスケやりましょう」
『その時はまた呼んでね』
火神「名前、おかわり」
大我は私の家だと遠慮をしない。
いつもより多く作っててよかった。
相田「火神くんはもっと遠慮しなさい」
火神「名前だからいいんすよ」
『まだたくさんあるから遠慮しないでね』
結局全員おかわりした。
珍しくテツくんも。
それから学校のことや部活のことを話したりして時間が過ぎていった。
相田「お邪魔しました!」
日向「たまには学校に遊びに来いよ」
『うん!じゃあ、みんな気をつけてね』
手を振って送り帰したあとは書物の解読の続きをしよう。
黒子「名前さん」
『あれ、どうしたの?』
黒子「一ついいですか?」
夕日がテツくんを照らす。
『う、うん…』
目の前にいるテツくんはいつものテツくんじゃない気がした。
なにか違う。
黒子「名前さん、変わりました?」
『え…?私が変わった?』
それはテツくんもじゃない?って言いそうになったけど、すぐに飲み込んだ。
黒子「よくわかりませんが、前とは"匂い"が違うんです」
もしかしたら、テツくんが守護神?
でも八咫烏の反応がない。
「名前!ちょっと蔵に来て!」
お母さんが走ってやってきた。
そこにテツくんがいて驚いていた。
黒子「"そろそろ"ですね」
『ん?』
黒子「いえ、何でもありません。ではボクはこれで」
軽く会釈をしてから家路を進むテツくんの背中を見つめた。
やっぱり、テツくんも変わったと思う。
「ねぇ、もしかしたらテツヤくんが守護神かな」
『でも八咫烏が反応してない』
でもね、と言ってお母さんは真剣な眼差しで私を見た。
「蔵に行ったらわかると思うけど、開いたのよ……〝箱〟が」
『うそ……!?まだ全部読めてないのに!』
「お母さんに訊いたんだけど、書物は〝六つの箱〟と守護神に関する情報が書かれてるだけらしいの」
『つまり、今で言う取説?』
「そうなるね」
とにかく、解読しないと守護神とは何なのかわからない。
部屋に戻って調べることにした。
開いた箱は明日確認しよう。
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