12章
名前変更
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神社の鳥居をくぐると出迎えてくれるのは左右に置かれた獅子狛犬。
雌雄の一対で口を開閉している、いわゆる阿吽の姿。
神社によっては狛犬以外の動物が置かれているとか。
名前の住む家の神社は奈良の春日大社ゆかりの神様を祀っているので、天照太御神の神使である鹿が鳥居をくぐると出迎える。
『~♪』
黄瀬「楽しそうっスね」
『あ……き、黄瀬くん…』
鼻歌を聞かれてしまったと恥ずかしくなって俯いた。
今日の黄瀬は私服だった。
黄瀬「覚えてくれてたんスね!」
『うん。それで今日はどうしたの?』
黄瀬「君に用があるんスよ」
『え?私に?』
その前に掃除を終わらせるため、黄瀬には縁側で待ってもらうことにした。
空を見上げては子供のように足をばたつかせていた。
黄瀬「いい天気っスね。鼻歌を歌う気持ちわかるっスよ」
『やっぱり聴かれてたんだ……』
掃き掃除を終えて小屋に掃除道具を仕舞ってから黄瀬の元へ行く。
いつの間にかお茶とお菓子を持っていた。
黄瀬「お手伝いさんから貰ったっス」
名前の分も置かれていたので黄瀬の隣に座って一服。
『それで、私に何の用かな?』
黄瀬「オレとデートして欲しいっス!」
『………………へ?』
黄瀬「なんか間長くないっスか?!」
『いや、だって…変なこと言うから』
黄瀬「これでも真面目っスよ?…ね?早く行くっスよ!」
腕を掴んで半ば無理やりに連れていく。
八咫烏〈積極的な "犬" だな……〉
黒子「へぇ黄瀬くんが……」
腕を組んで不満を抱きながら眺めていた。
賑わっている街に行けばある店を目指した。
デートというよりは黄瀬が名前を連れ回しているように見える。
黄瀬「とりあえず、お茶しましょうよ」
本人はすごく嬉しそうだった。
まるで子供がお母さんと買い物をするように。
『黄瀬くんは、甘いもの好きなの?』
黄瀬「たまに食べるくらいっスね」
二人は多種類のメニューを眺めてはどれにするか迷っていた。
期間限定メニューなるものを見つけた名前はそれに決めた。
『限定ものに弱いんだよね』
黄瀬「その気持ちわかるっスよ」
注文してから運ばれてくるまで二人は他愛のない話をした。
傍から見ればカップルである。
『ここの店の雰囲気好きだなぁ』
黄瀬「気に入ってくれてなによりっス!」
二人同時に頼んだメニューが運ばれてきた。
名前は期間限定の和風パンケーキ、黄瀬は苺尽くしのパフェ。
二人は咀嚼しながら他愛のない話をした。
『ごちそうさまでした』
黄瀬「どこか行きたい場所はないっスか?」
『えっと、そうだなぁ……ここに来る途中に行きたかったお店があるんだけど、行ってもいいかな?』
黄瀬「もちろんっスよ!」
お金を払ってカフェを出る。
次は名前の行きたい店に向かった。
*****
次に向かった先は、和風雑貨が揃う店だった。
中に入るとお香のいい匂いがする。
黄瀬「へぇ、こんな店があったんスね」
『私もテツくんから聞くまで知らなかったの』
黄瀬「黒子っちも意外とこういうとこ好きそうっスね」
店は意外と広く、簪や扇子、着物にお香などといった和風雑貨専門店のようだ。
名前の欲しいものが全て揃っている。
『わぁ、この着物の柄すごく好き』
黄瀬「綺麗っスね」
そこへ店員がやってきて着物の説明をしてくれた。
実は着物と扇子だけは京都で仕入れているらしい。
『欲しいものがありすぎて迷います』
黄瀬「じっくり悩むといいっスよ」
悩んだ結果、今回はがま口の財布とお香立てを購入した。
他はまた後日来たときに買おうと決めた。
『ごめんね。すごく時間かかっちゃって』
黄瀬「見てて楽しかったっス」
買った袋を眺めてはニコニコする名前だった。
黄瀬「女の子って欲しいもの買ってるときは楽しそうっスよね」
『見てるだけでも楽しいよ』
気づけば街が茜色に染まっていた。
二人は仲良く帰路へ足を進めた。
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