10章
名前変更
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家に戻ると縁側に座ってお茶を飲んでいる緑間くんがいた。
緑間「遅い」
『ご、ごめん!……って、来るなら連絡してよー!』
黒子「あ、ボクに連絡入ってました」
今見ました、と言ったテツくんを緑間くんが鋭く睨んでいた。
『ま、まぁまぁ……』
緑間「フン」
『あ、何か用があって来たんだよね?』
緑間「風の噂で、薬師が見つかったと聞いた」
風の噂とは一体誰が噂したんだろう。
何人か当てはまる人物が浮かんだ。
『見つかったけど、本人からは時間が欲しいって言われた』
緑間「その薬師はどこにいるのだよ」
黒子「今頃、遠野にいると思います」
緑間「説得しようにも遠くて行けないのだよ」
『気長に待つしかないね』
黒子「気長に待ちましょう」
緑間「・・・・・」
それから数日が経った。
今日は朝から雨が降っている。
『さすがにこんな天気に来るわけないよね』
私の部屋でお母さんが作ったクッキーを三人で仲良く食べていた。
黒子「止みそうにないですね」
緑間「止むどころか激しくなってるのだよ」
『そうだね』
残り少ないクッキーを食べていると、お母さんが焼きたてのクッキーを持ってきた。
「名前にお客さん。玄関で待ってもらってるよ」
まさかと思って、走って玄関に向かうと大きな荷物を持った男の人がずぶ濡れで立っていた。
髪と服から雫が滴り落ちている。
「苗字名前」
『はいっ』
暗くて顔は見えないけど、声には聞き覚えがあった。
電気をつければそこには、
『…イタク……さん?』
イタク「薬師じゃなくて悪かったな」
黄色に光る双眼が私を捉えた。
そのまま中へ入ろうとしたところを静止した。
不満げな目をこちらに向ける。
『今、タオルを持ってきますからから!』
急いで脱衣場からバスタオルを取りだしてイタクさんの元へ持っていった。
イタク「止みそうにねぇな」
玄関の段に座って丁寧に拭う。
降る前には到着したかったらしい。
『あの、薬師のイナミさんは……』
イタク「とりあえず、入っていいか?」
気づけば拭き終えていたようで、濡れたタオルを私に差しだして中に入った。
今私の部屋ではテーブルを挟んでテツくんと緑間くん、イタクさんと私で座っている。
緑間「お前が薬師か?」
イタク「違う。オレはその薬師から頼まれてここに来ただけだ」
『そ、それで、イナミさんは……?』
イタク「イナミは遠野の薬師だ。そう簡単によそ
ダンッとテーブルを叩いて緑間くんを睨んだ。
イタク「それで…お前が二人目の守護神の鎌鼬か?」
二人は睨み合っていて今にも喧嘩を始めそうな雰囲気を漂わせていた。
その緑間くんの隣では呑気にお茶を啜るテツくんの姿が見えた。
緑間「お前は呑気に茶を飲んでる場合ではないのだよ」
黒子「え、じゃあ……二人共落ち着いて下さい」
『そうだよ。勝手に二人で喧嘩とかし始めないでね?』
テーブルを挟んで身を乗り出していた二人は黙って座り直した。
黒子「そうですね……じゃあ、そろそろ本題に入りましょうか」
飲み終えた湯呑みを静かにテーブルに置いてイタクさんを見据えた。
イタク「予定としてはイナミは名前の元で薬師をするはずだったが、遠野でちょっとした事件が起こって来れなくなった」
『え、事件…?大丈夫なんですか?』
イタク「ああ、ただ怪我人が多いってだけだ」
緑間「薬師がいないと神子の守護を全うできん」
黒子「その心配はないですよ。ほら、目の前にいるじゃないですか」
イタク「"烏は賢い"とは言ったもんだな」
緑間くんの目の前にいるのは鎌鼬のイタクさんだ。
「鎌鼬が薬を処方できないとでも?」と自慢げに微笑む。
『よかったね』
緑間「ああ」
イナミさんからの伝言で、落ち着いたらこちらに来るとのことだった。
遠野の方も心配だけど、優秀な薬師がいるから大丈夫だろう。
二人目の守護神は鎌鼬。
残る箱の四つのうち、一つは開きかけである。
その箱が開くか否か……
知る者は選ばれた守護神自身––––
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