10章
名前変更
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緑間くんが無事に元に戻ったのはいいけど、肝心の薬が処方できないとなると困ったものだ。
黒子「いますよ」
『なにがー?』
主語もなく私の部屋で課題をやっているテツくんがそう告げる。
それに対してうつ伏せのまま答えた。
黒子「だから、いるんですよ」
『だから、なにがー?』
今度はうつ伏せのままテツくんの方へ向いて返事。
テツくんもこっちを向いていて、見事に目が合った。
黒子「山奥に
『え?テツくん知ってるの?!』
黒子「ぬらりひょんさんから聞きました」
『それを早く言ってよー』
しかし、その薬師がいるのは岩手県の遠野で会おうにも遠くて会えない。
『遠野?その薬師も妖怪?』
黒子「はい。たまに奴良組に来ているそうです」
『そっかー……今日いるとは限らないかー』
黒子「行ってみましょうか」
……と、言うことで奴良組へ。
*****
縁側では、ぬらりひょんさんがお茶を飲んでまったりとしていた。
ぬら「昨日振りじゃな」
『こんにちは』
ぬら「今日はどうしたんじゃ?」
黒子「薬師を探してます」
薬師と聞いてぬらりひょんさんはニカッと笑った。
この顔は絶対何か知っている顔だ。
ぬら「お主らは運がいいのう。ちょうど今鴆の屋敷に行ったところじゃよ」
本当に運がいい。
私達はさっそく鴆さんの屋敷へと足を運んだ。
鴆さんの屋敷に訪れたのは新築祝い以来だ。
まだ新しい匂いがしている。
『こんにちはー!鴆さんはいらっしゃいますかー』
遠くから鴆さんの声が聞こえた。
今は取り込み中のようだった。
しばらくしてから早歩きでこちらにやってきた。
鴆「おぉ、名前じゃねーか!」
久しぶりだな、と無邪気に笑う。
そして、テツくんが一歩前に出た。
黒子「どうも、初めまして」
鴆「おう、お前のことは総大将やリクオから聞いてるぜ」
………ん?
1つ気になることがあった。
鴆さんの肩に何か乗っていて、こちらをずっと見ている。
目が合うと逸らされる。
『あの、鴆さん……肩に何か乗ってますけど…』
鴆「あぁ、こいつは遠野で薬師をやってる鎌鼬の仲間だ。昼間は鎌鼬の姿になるらしいがな」
黒子「ボク達はその薬師に用があって来たんです」
「えっ?ボクにですか?!」
その薬師の鎌鼬はビクッと反応して驚いているようだった。
『あの!私達に力を貸して下さい!』
「ひっ?!」
鴆「こいつ初対面の奴にはこうなんだ」
要するに人見知りというもの。
慣れるのに時間がかかると言われたので、今日一日時間の許す限り側にいようと思う。
「え…えっと……」
黒子「そんなに見つめすぎるのも良くないと思いますよ」
『あ、そっか。ごめんなさい』
「は、はぁ……」
鴆「そういや、なんで薬師が必要なんだ?」
そのことを伝え忘れていた。
薬師が必要な理由を言えば本人もわかってくれるかもしれない。
守護神も薬師と同じく鎌鼬だから。
『––––ということです』
鴆「へぇ、鎌鼬か。よかったじゃねぇか、イナミ」
イナミ「と、言われましても……」
黒子「あ、これ箱に入っていた薬壺です」
ポケットから取り出してイナミさんの近くに置いた。
躊躇なく薬壺を手に取って匂いを嗅いだ。
イナミ「こ、これは……!!」
『どうかしましたか?』
イナミ「間違いない……これは、先代が使っていた薬壺です。匂いもうちで作っている薬と同じ…」
つまり、先代の守護神の薬をイナミさんの先代が作っていたことになる。
代々受け継いでいるってことになるのかな。
なんという偶然。
鴆「腐れ縁ってやつか?」
『そのようですね』
イナミ「ぜ、鴆様、ボク…ど、どうすればっ……」
鴆「そりゃあ……名前の元で働くしかねぇな」
イナミ「す、少し…お時間を……」
『お返事はいつでも大丈夫です』
それからイナミさんは、鴆さんとの用事を終わらせてから遠野へと帰っていった。
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