8章
名前変更
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氷上神社の一件が一段落して、普通に学校生活を送る。
そしてとある休日にお客さんがやってきた。
『お前はのんびりしてていいよね~』
日の当たる縁側で丸くなっている野良猫に言った。
最近家に住みついたらしい。
お母さんが餌付けして手懐けたとか。
「いやぁ、真ちゃんも神に頼ることってあるんだな」
「参拝くらいするのだよ」
そんな話し声が境内から聞こえた。
今日は授与所のお手伝いをしているので、裏から出て椅子に座った。
「真ちゃん、お守り買ってこうぜ」
「お守りは買うとは言わないのだよ」
二人は授与所に近づいた。
見たところ学生のようだった。
黒髪の人と目が合った。
「お、ここでバイトしてんの?」
『いえ、ここに住んでる者で、今日はお手伝いをやってます』
「おい高尾、仕事の邪魔になるだろ」
黒髪の人は高尾って言うのか。
そしてなぜか、緑髪の人から警戒というか睨まれている気がする。
高尾「あ、オレ、高尾和成ってんだ。こっちのツンデレが緑間真太郎な」
緑間「誰がツンデレだ」
高尾「そんな怖い顔すんなって」
ほら、ツンデレだろ?と本人には聞こえない声で私に言った。
ツンデレというか私を警戒しているんだと思う。
黒子「緑間くんと高尾くん、どうしてここにいるんですか?」
高尾「よぉ」
緑間「黒子こそどうしたのだよ」
黒子「ボクはそこにいる名前さんに用があって来たんです」
この二人がテツくんのお知り合いだったとは。
きっと、この二人も私を先輩とは思っていないんだろうな。
高尾「へぇ、君、名前ちゃんって言うんだ」
黒子「ちなみに、彼女はボク達の先輩ですよ」
高尾「マジ?」
『うん…でも、友達みたいに接してくれて大丈夫だよ』
高尾「じゃあ、お言葉に甘えて」
怪訝な顔でずっと私を見ている緑間くんに気づいたテツくんは不思議そうにしていた。
黒子「どうしたんですか?」
緑間「なんでもないのだよ。帰るぞ高尾」
高尾「え、待てよ…っと、じゃあな」
また来るわ、と手を振ってから先を行く緑間くんを追いかけた。
黒子「なんだったんでしょうね」
『さぁ…』
火神「黒子ぉー!」
相田「もう!いつの間にか消えてるんだからー!」
ぞろぞろと人がこちらにやってきた。
『わー…誠凛高校御一行様』
今度その看板でも作ろうかな。
旅館みたいで楽しそう。
日向「何だその言い方は」
『試合の帰りはいつも家に来るから』
リコ「今日は対戦相手も連れてきたのよ」
青いジャージ。
確か海常高校だったかな。
「やぁ、君、名前は?何年生?ちなみにこの後は時間あるかな?お茶でもどうかな?」
と、手を握られて質問攻めをくらった。
それに対して困っていると、金髪の人が申し訳なさそうにやってきた。
「森山センパイ、困ってるじゃないっスか。ホント、申し訳ないっス!」
森山「黄瀬、離すんだ。オレは彼女と話をしてるんだ」
「いい加減にしろ森山!」
森山くんは飛び蹴りをくらった。
『・・・・・・』
海常の人とは初対面だから自己紹介は必要だと思う。
でも、さっきから苦笑いしか出ない。
金髪の人と目が合えば、文句なしのスマイルが返ってきた。
黄瀬「君のことは黒子っちから聞いてるっスよ」
『あ、じゃあ、あなたが黄瀬涼太くん?』
キセキの世代の1人、黄瀬くんのことはテツくんから聞いていた。
黄瀬くんは海常メンバーに私のことを紹介していた。
黒子「名前さん、黄瀬くんがどうしても名前さんに会いたいと言うので連れてきたんです」
影の薄さを利用して私の元にやってきたテツくんは、申し訳なさそうに耳打ちしてきた。
森山「名前さんかぁ、素敵な名前だ」
「お前は黙ってろ!……あー…えっと…うちのバカが失礼した…」
とても目が泳いでいた。
『あ、いえいえ』
そして、大我の「腹減った」の一言で一旦話が終わった。
いつになったら終わるのかと困っていたので助かった。
今夜は誠凛と海常と楽しく夕食。
海常との改めてのご挨拶は食べながら行った。
誠凛、海常の二つの高校とご飯を食べていると、本当に合宿のように思えてきた。
テツくんの友人が別の高校にいるとなれば、これから増えるのかもしれない。
リコ「あ〜楽しかったー」
日向「腕上げたんじゃね?」
『へへ、そうかな?』
黄瀬「ホント、美味しかったっス!」
『お口に合ったようでなによりだよ』
笠松「そろそろ帰るか。ごちそうさまでした」
海常メンバーとはここでお別れ。
見送ってから部屋に戻ると、合宿について話していた。
リコ「この続きは帰ってからにしようかしら」
『ゆっくりしてていいよ。私、ちょっと庭に行ってきます』
お母さんに庭の掃除を頼まれてたのをすっかり忘れていた。
小屋から箒を取り出して落ち葉を掃いていた。
八咫烏〈賑やかなものだ〉
近くの木に座って煙管を吹かしていた。
『大勢いるのは嫌いだった?』
八咫烏〈いや…むしろ、喜ばしいことだ〉
木から降りた八咫烏は蔵を指さした。
八咫烏〈2人の守護神と接触した〉
『え…まさか』
同時に箱が二つ開くことはあるのだろうか。
蔵に行けば、ガタガタと小刻みに震える二つの箱があった。
八咫烏〈一つは直に開くだろう〉
『近いうちに会うってことか…』
八咫烏〈思い当たる者はいたか?〉
『そういえば…!』
私を警戒するように睨んでた緑間くんが怪しい。
でも、私を神子と知っててフレンドリーに接してきた高尾くんの可能性だってある。
八咫烏〈時間だ……名前、これだけは伝えておくぞ–––––〉
守護神の1人は自分の"正体"を知っている––––
『自分が守護神ってことを知ってる……?』
家にある文献で探してみよう。
一応ゆらちゃんにも報告して協力してもらおう。
*****
次の日も授与所でお手伝い。
昨日と同じく野良猫が縁側で丸くなっていた。
今度は捕まえて抱きかかえた。
『もしかして、この猫が守護神だったりして』
にゃー
タイミングよく鳴いたので驚いた。
尻尾が1本に見えて実は2本だったり、人が猫に化けてたり、と考えていたので私に近づく人影に気づかなかった。
緑間「おい、さっきから呼んでるのがわからないのか?」
『っはい!……あ、昨日の』
昨日も思ったけど、この人の持っている物がとても気になる。
無意識に凝視していた。
緑間「な、なんなのだよ…」
『手に持ってるものが気になって……』
緑間「あぁ……ラッキーアイテムなのだよ」
テツくんから聞いてた、おは朝信者は緑間くんだったのか。
『あれ、今日は1人?』
緑間「うるさいから置いてきたのだよ」
ますます緑間くんが怪しくなってきた。
真剣な眼差しで緑間くんを見る。
『緑間くん、あなたは "何者"?』
昨日は高尾くんがいたから訊けなかったんでしょ?
緑間「勘のいい神子で助かるのだよ」
授与所の手伝いをやっている暇なんてないと思って、他の巫女さんに頼むことにした。
『とりあえず、話でもしよっか』
本当はテツくんも一緒にいればいいのだろう。
自分から名乗り出たようなものだから、文献を探さなくて助かった。
緑間「それで、名前さんはどこまで知っているのか?」
『どこまでって?』
緑間「六人いる守護神の正体は知ってるか?」
『守護神はみんな妖怪で、烏天狗、鎌鼬、犬神、鬼、妖狐なんだけど……1人だけ不明』
苗字家に伝わる文献には、固定されてる守護神と代替わりごとに変化する守護神がいると書かれてあった。
緑間「オレは自分が守護神ってことだけ知っている」
『じゃあ、箱が開かない限りどんな守護神かわからないってことね』
緑間「そんな簡単に開くものなのか?」
『〝神子〟と〝守護神〟の両方の正体に気づかない限り開かないみたい』
例え守護神が神子の正体に気づいたとしても、神子が守護神に気づかないと意味がない。
緑間くんみたいに名乗り出てくれると助かるんだけどね。
緑間「なるほど、接触すれば〝箱〟が反応するのか……」
『まだ開いた気配がない』
緑間「そうか……開いたら知らせて欲しいのだよ」
今日は話だけでもできてよかった。
正体を知る守護神、知らない守護神–––––
はたまた初めから妖怪に変化できたりなど、調べることはたくさんある。
『明日は、ぬらりひょんさんの所に行こうかな』
そこには私の知らない妖怪の世界があるのだった–––––
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