5章
名前変更
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ある時、ファンクラブの中で会議があった。
「苗字名前です」
?「苗字…」
「白鳥さん…?」
テニス部ファンクラブ会長、白鳥は言う。
白鳥「調べる価値ありね…」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
*****
蒼「……」
今日の蒼はいつもと違った。
幸村「蒼、わかってるよね?」
蒼「わかってます…ハイ」
幸村「今度の中間で赤点取ったらだめだよ」
にこにこしながら言っているが、どこか怖い。
少し離れている名前達も、感じていた。
『……』
柳「邪魔したな」
『え、あ、いえ…大丈夫です』
蒼と屋上で弁当を食べていると、幸村と柳がやって来て今に至っている。
幸村「苗字さん、ちょっと来てくれるかな?」
笑顔で手招きしていた。
その笑顔はさっきの笑顔とは違った。
柳「……」
名前の後ろ姿を見ながら、顎に手をやって何か考えていた。
幸村に手招きされて来てみると、蒼が名前に抱きついてきた。
『蒼ちゃん?』
幸村「苗字さんは勉強ができるって聞いたよ」
蒼「だから、名前ちゃん!勉強教えて欲しいの!」
ということで、1週間後の中間テストに向けて放課後に勉強会が開かれた。
だが困ったことに、蒼は全教科できない人だった。
『今日は、英語を勉強します』
蒼「うえー!英語大っ嫌い!」
30分後…
蒼「わっすごい!名前ちゃん天才!?」
『いやいや、天才だなんて』
蒼「これで赤也とブン太を馬鹿にできる!」
『え、もしかして…』
勉強会を開く前に柳から、問題児がいると聞いていた。
蒼「よく三人で赤点同盟組んでたなぁ」
『もう心配ないね』
蒼「うん!明日は数学教えてね」
『はーい』
今日の勉強会は終了。
二人で帰る準備をしていると、蒼が先生に呼ばれていなくなった。
『……』
一人の教室はとても広く感じた。
そして、どこか寂しい。
「苗字さんだよね?」
『え…はい、そうですけど…』
「ちょっと来て欲しいの」
上級生らしき二人から呼ばれた。
屋上に連れて来られると、そこにはもう一人いた。
「白鳥さん連れて来ました」
白鳥と聞いて少し頭痛がした。
思い出したくない記憶が頭をよぎる。
白鳥「あなたに聞きたいことがあって、来てもらったの………えっと、苗字さん?」
『…え?な、なにを…』
白鳥「……あなたのお兄さんのことよ」
『名無し…』
顎に手を当てて何か考えているようだった。
白鳥「まさか、
『…え……?』
何でもないわ、と目線を下に落とす。
白鳥「お兄さん、いつ帰って来るの?」
白鳥の言葉を聞いて名前は目を見開いた。
『あの…兄とは、どういう関係ですか…?』
そう尋ねると、白鳥はニヤリと笑った。
白鳥「妹のくせに何も聞いてないんだね。あ!もしかして、兄からも捨てられちゃった?」
『え…』
「白鳥さん!」
白鳥「あら、ごめんなさいね。今日はもう帰って大丈夫よ」
『……』
俯き気味で小さく頭を下げて教室を出る。
階段を下りていくと、蒼の呼ぶ声が聞こえてきた。
蒼「あ!名前ちゃん!」
『ごめんね、私も先生に呼ばれてね』
頑張って笑顔を作った。
蒼「そうだったんだね!もう、帰れる?」
『うん…』
蒼と一緒に帰っていても、家で過ごしていても、白鳥の言葉がずっと頭から離れないでいた。
*****
中間テストが終わり、各教科の返却が行われた。
「苗字さん、どうしたの?」
『ごめんなさい…ちょっと、最近調子が悪くて』
「確かに、顔色悪いね。無理したらだめよ?」
『はい…』
席に戻ると、蒼が心配そうに顔を覗いてきた。
蒼「大丈夫?今にも倒れそうだよ」
『え?そんなに?』
蒼「無理させてごめんね。でも、おかげでいい点取れたよ!」
『ホント?おめでとう』
放課後になって、蒼は名前と幸村の教室に行った。
幸村「点数はそこそこだけどね」
蒼「赤点じゃないもん!」
名前は黒板に落書きをしていた。
時には、ため息を吐いている。
幸村「今日の苗字さん、元気ないね」
蒼「うん…」
終いにはチョークで黒板を小突きだした。
柳「昨日の放課後に何かあったようだな」
蒼の後ろに柳は立っていた。
そして、三人で名前を見た。
やっぱり、ため息ばかり吐いている。
蒼「で、放課後がどうしたの?」
柳「苗字は、白鳥 杏奈に呼ばれ、何か言われたようだ」
蒼「白鳥…」
言いかけたところで、幸村が名前を指さして、
幸村「あれ、苗字さん泣いてない?」
蒼「え?名前ちゃん!?」
名前に近づくと、蒼に気づいて抱きついて泣く始末。
柳「精神的に不安定らしいな…」
幸村「あれじゃあ、近づき難いね」
蒼が理由を聞いても泣くだけで何も言わず、ただ背中をさすることしかできなかった。
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