名前を教えてね!
13章
名前変更
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品子の部屋では大変なことが起こっていた。
たが、邪魅が品子を守るように妖怪を斬っていった。
その勢いで障子が切れていて、妖怪の姿になっているリクオがそこにいた。
リクオ「おっと、オレは敵じゃねぇよ」
邪魅「!?」
リクオ「くわしいことは道々話してやる…この邪魅騒動のカラクリ、あばいてやるから…ついてきな!!」
一方、神社に相応しくないスーツ姿の人が集まって怪しいことをしていた。
その中に名前は囚われていた。
『………っ…』
神主「やっと起きたか」
『やっぱり……』
神主「君には"なにも"できない」
秀島神社の神主の言う通り、名前にはなにもできない。
それが悔しくて神主を睨んだ。
「んだ…どーした」
品子「………」
『品子ちゃん!』
品子「…名前……さん」
スーツ姿の人達が品子に近づこうとしていた。
神主もとても怖い表情になる。
品子「フッ……なるほど…道理であんたから悪者の臭いがすると思った」
スッ
神主「君は……!?」
名前「よう…」
「化け物だ!」
腕を組み、仁王立ちで妖しく見つめる金色の瞳は獲物でも見つけたように鋭く光っている。
おまけに揺れる尻尾はどこか不気味さを感じさせた。
品子「名前さん……?」
遅れてやってきた品子は名前の姿に驚いていた。
名前「危ないから離れてて」
品子へ向けた表情から一変してその場の空気も冷たく、ビリビリとした感覚に襲われる。
刀を抜いて神主を指す。
そして、どこからかリクオの声がした。
リクオ「邪魅騒動ってのは自作自演の猿芝居。まさに "悪氣なるべし" だ」
リクオの声に騒がしくなる。
柱から出てきた刀はハセベの首元にあった。
柱を斬り、その場にいた人たちは崩れた建物部分の下敷きになった。
『リクオくん!』
縛られている縄を解いて自分に抱き寄せた。
名前はリクオにしがみついた。
名前「さて…神主さん?話をしましょうか」
神主「お…おのれぇぇ……化け物め…!!」
名前「そうさ!オレは化け物だ…恐ろしく呪われた化け物!」
刀を握り直す。
何かがおかしいと気づく。
名前の周りに黒い何かが飛び交っていた。
なぜか左目を押さえていた。
名前「オレは、悪く…ない……悪いのは……人間………」
神主「ひぃ!!」
慌てて式神を出すが、それを貫通して刀が神主に刺さる。
その勢いで壁にまで刺さり、神主は逃げれなくなった。
神主は喚いていたが、痛みが感じないことに気づいておとなしくなった。
神主「う、恨みがあるのなら殺せばいい!」
邪魅「名前殿!」
名前の前に邪魅が現れて、刀の先を神主に向けていた。
神主「げぇ…も…もう一匹いたのかぁ~~~!?」
リクオ「神主さんよ、こいつがこの街に現れる本当の邪魅だよ」
神主「はぇ!?ちょ…ちょっとまってくれ…」
リクオ「あんたの妖怪騙りのせいで、不当にあつかわれたこいつのお礼だ…受けとれ!!」
明鏡止水––––"桜"
炎が上がり神社は燃える。
*****
邪魅騒動の犯人もわかり一段落ついた。
品子「邪魅…どうして…?私たち一族をうらんでたんじゃないの……?」
燃え上がる炎が三人を照らす。
邪魅「お前は…殺した妻の子孫でもあるが、主君の子孫でもある」
リクオ「こいつはただ "主君" に尽くしていただけだ––––ずっとあんたたち一族を守ってたんだ」
うらんで死んでいったわけではない
死してなお
あの人を守らなければ––––––と思っていた
立派な方だった
ただあなたより先に死に––––
あの方を守りきれなかった無念が––––––
私を…
さまよわせたのだ……
品子はゆっくりと邪魅に近づき、謝罪と感謝の言葉をかけた。
品子「守ってくれて、ありがとう………!!」
ずっと長い間
君主の子らを守り続けた–––
その一言が…
欲しくて–––––
私は–––––––
あの方を守り続けた…
リクオ「………見上げた忠誠心だな」
邪魅「何処の者かは知らぬが…この御恩は––––」
リクオ「オレは奴良組若頭、奴良リクオだ」
大きな盃を邪魅の前に差しだした。
リクオ「オレはいずれ魑魅魍魎の主になる。その為に自分の百鬼夜行を集めている。オレはお前のような妖怪が欲しい!!」
邪魅「魑魅魍魎の…主…?」
その姿は生前に仕えていた主君のようだった。
邪魅にはそう重なって見えた。
リクオ「邪魅、オレと盃を交さねぇか」
その頃には燃えていた神社の炎は消え、名前の姿もなかった。
リクオと邪魅が盃を交すのを見届けている名前。
たまに辺りを見回しては心細そうにしていた。
品子「名前さん」
『…品子ちゃん……』
品子「名前さんの、あの姿は妖怪ですよね…?名前さんもあんな姿になるんですか?」
『……うん』
名前のように簡単に変化はできない、と告げた。
驚いた表情だったが、リクオと邪魅を見て次第に笑顔になった。
品子「人と同じで心優しい妖怪もいるんですね」
『そうだね』
*****
翌日––––
清十字団は品子からお礼にカニをもらう。
『カニ鍋パーティかぁ』
リクオ「おいしそうだね」
『たくさんあるから食べられるかな』
氷麗「食べられない分は凍らせましょう」
帰ってからの清十字団の仕事やその他の話で盛り上がりながら帰るのであった。
–––そして、名前や名前の異変に気付くのは自分自身以外に誰もいなかった。
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