名前を教えてね!
13章
名前変更
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しと––––しと––––と
雨が降っている
「品子、もう寝なさい」
「はぁ~い」
音にまぎれ
水にまぎれ
ぬるい風と共に––––––
奴の名は–––––––邪魅–––––
*****
どこからともなく祭り囃子が聞こえてくる。
どこへ行っても、そんな時期には浮かれた人間が湧いてくる。
「おいこらぁ、どこに目ェつけとんじゃ!?」
リクオがハセベという男にぶつかってしまった。
アイスがどうとか言っている。
氷麗がその様子を冷たい目で見ていた。
妖怪退治と言えば、ハセベたちに笑われてリクオは説得のつもりでいたが背後から妖怪たちが現れた。
氷麗「リクオ様…何してんですか?妖怪使っておどすなんてらしくない」
リクオ「違う違う!!こいつらが勝手に出てくるんだもの」
『わあ…いつの間に』
そこには小さい妖怪がたくさんいた。
氷麗「まあ、いざとなったら私が全部凍らせればいいんですけど」
家長含め、と聞こえない程度の声量で言った。
『つ、つららちゃん……』
氷麗「オホホホ」
今回の清十字怪奇探偵団は清継のサイトにメールをくれた依頼人の元へ行っている。
その家で妖怪が出るとのこと。
リクオ「名前くんはどこ行ったんだろ」
『朝からいなかったもんね』
依頼人の家に着くと門の前に二人いた。
清継「名前さん!」
名前「よ、遅かったな」
『え、なんでいるの?』
名前「いや、オレも彼女に頼まれてな」
品子「依頼人の菅沼品子です。不安だったので、名前さんも呼んだんです」
そう言って、全員を家に案内した。
≪その娘に近づくな≫
リクオ「……!?」
なんだ…今のは…
『リクオくん?』
リクオ「あ、いや、なんでもないよ」
部屋に案内されて入ると先客がいた。
格好からして神主だとわかる。
そこで一番気になることは、部屋中に貼られているお札である。
厄除けなどに貼られているであろうその札は、貼られすぎて不気味だ。
名前「…っ!」
この部屋––––!!
変な汗が流れた。
今すぐにでもお札を剥がしたいと手を伸ばす。
『どうしたの?』
名前「そ、外の空気吸ってくる…」
品子「もう次は…何されるかわからない。私……怖いんです」
寝ている品子の枕元に立って、邪魅はずっと見つめているという。
しかし、今回は腕を跡が残るまで握られたらしい。
『(こんなにお札貼ってて、効果あるのかな?)』
お札が貼られている所を眺めては不思議そうにしていた。
夜になって、女子たちは品子の部屋で寝る準備をしていた。
男子は邪魅が現れていいように見張る。
名前は妖怪の姿で右狐左狐と屋根の上にいた。
右狐「不気味だ」
左狐「邪魅の他に"いる"ぞ」
名前「わかってるよ……さっそくもう騒ぎになってる」
なにが邪魅だ、と言って、屋根から降りるとリクオが立っていた。
リクオ「名前くんも気づいてるよね?」
名前「ああ…ここは、オレにとっても害がある」
リクオ「え?」
名前「いろいろ調査してくる」
リクオ「え、あ…うん」
名前を頼んだ、と、右狐左狐を連れて去っていった。
*****
名前を除いた一行は秀島神社へと向かった。
そして、神主から邪魅について教えてもらった。
この町が秀島藩であった頃、大名屋敷にはとても優秀で君主に忠実な若い侍がいた。
君主定盛もその若い侍をかわいがったという。
それをよしと思わぬ定盛の妻は、若い侍に嫉妬をしてしまう上に地下牢へ閉じこめてしまった。
そこに大津波が襲い、地下牢へは瞬く間に海水が流れ込み、若い命を散らした。
名前「それ以来この町では、さまよう侍の霊がたびたび目撃されるようになる––––か……」
「熱心だねぇ」
分厚い本を何冊も漁り一番詳しく書かれている文献を難しい顔で読んでいれば、それを珍しそうに司書の人が眺めていた。
名前「ええ、まぁ、郷土史に興味があるもので。勉強になりました」
「それはよかった」
それから気になる文献を読んで図書館を後にした。
名前「品子は菅沼定盛の直系の子孫……」
もうすでに謎は解けていた。
名前「さて、怪しい場所を探そう」
嫌な予感しかしない
秀島神社では清十字団もいて、神主から奥の手と呼ばれた札が渡された。
『その…お札は……?』
神主「これはすごく強力な結界だよ」
四枚の札は、四方に貼ることで効果を成すという。
品子以外は中に入れないし、朝まで戸を開けてはいけないと言われた。
『あの!』
神主「おや?まだいたのかい?」
『本当にあれで大丈夫ですよね?』
今回は名前も感づいていたようだ。
神主「言われた通りにすれば大丈夫だよ」
『じゃあ、あの札から漂っていた妖気はなんですか!?』
神主「……っ、君…ただ者じゃないね…名前でも聞いておこうか」
『苗字 名前です』
神主「苗字……"本物"の陰陽師が現れるとは」
『え…?どういう……』
神主の正体を名前が意識を失う前に垣間見た瞬間だった。
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