名前を教えてね!
12章
名前変更
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外が完全に明るくなると、奴良家が賑やかになっていた。
傷だらけのリクオが学校に行こうとしていて、それに怒った氷麗に驚いて障子の角に頭をぶつける。
鴆「おとなしくしてろ」
リクオ「ゴメン………あ、名前ちゃんと名前くんは?」
氷麗「お二人はまだ眠っています」
鴆「包帯替えに名前の部屋に行ったら、狐になってた」
ふわふわしてた、と笑う。
リクオ「へぇ、ボクも触ってみたいな」
名前の部屋にはもう一人眠っていた。
千春「うっ……ん~………」
ボフッ
千春「わっ……」
寝返りをうつと、ふわふわしたものに当たった。
触れていると、苦しそうな声が聞こえた。
千春「あ……ごめんなさい」
よく見れば所々に包帯が巻かれ、血が滲んでいた。
自分にも包帯が巻かれていることに気づく。
上半身を起こして周りを見渡した。
千春「ここ、どこ…?」
千春の起きた気配に気づいて狐姿の名前もゆっくり起き上がり千春に近づいた。
大きい狐から小さい狐に変わった。
千春「よ、妖怪さん、ですか……?」
名前はコクリと頷いて千春にすり寄った。
千春「かわいい」
そのまま力いっぱい抱きしめた。
名前「うぐっ……」
千春「わっ、ごめんなさい!」
スッ
鴆「起きてたか」
包帯と薬を持って名前の部屋に来た。
起きていた千春の包帯を取った。
千春「あ…えと……」
鴆「もう傷が癒えてやがる」
ちらっと千春の腕の中にいる名前を見ると、答えるように瞬きをした。
千春「あ、本当だ」
名前の包帯を替えようとすると、祖父の神夜が部屋に入ってきた。
鴆は静かに部屋を出た。
神夜「元気そうでなにより」
千春「あ、はい」
神夜「その様子じゃと、昨日のことを覚えておらんな」
千春「…………覚えてます」
名前「えっ」
千春の発言に思わず声をあげてしまった。
神夜「記憶を消したはずじゃが……のう?名前」
千春「え……」
神夜が話しかけたのは、千春の腕の中にいる狐だった。
リクオが名前の部屋に行ってもいなかったので、名前の部屋に行った。
そこには賑やかな声が聞こえていた。
リクオ「楽しそうだね」
『リクオくん!もう大丈夫なの?』
名前「オレが治したんだ」
リクオ「え…えぇぇ!?名前くん!!?」
名前「うるせぇ!頭に響く!」
驚くのも無理はない。
目の前にいるのはいつもの名前ではなく、子供の姿をしていた。
リクオ「朱雀が言ってたのはこれだったんだ」
朱雀がどうした?と言って召喚したが、現れたのは赤い炎を纏った雀だった。
名前「やっぱりダメか」
朱雀「やっぱりダメか、ではありませんよ。回復してから呼んで下さい」
『(朱雀が可愛くなってる)』
それで、ご用は?と、雀の姿から人型に戻る。
人型に戻っても小さいままだった。
名前「昨日のことだよ。何があったんだ?」
朱雀「あぁ、そのことですか––––」
ーーーーーー
四国戦が終わった後に起きたこと。
朱雀「主人!」
名前「ダメだ!早くしないと千春が死んじゃう!」
まだ玉章に操られたままの千春。
彼女の後ろ首に妙な物体が蠢いていた。
こいつを消せば、と千春の後ろ首に触れて、狐火"赤"を出す。
もう片方は額に手をやり、狐火"黄"を出した。
神夜「見守るしかないのう」
名前「…っ……かえ、てこい」
両手の狐火が消えつつあった。
『名前……千春ちゃん………』
妙な物体はいつの間にか消えていた。
徐々に千春の意識は戻っていき、その目には涙が流れていた。
千春「わ、私……」
名前「…ははっ、よかったぁ」
完全に力尽きた名前は倒れ、神夜が抱えた。
千春も追うようにその場に倒れた。
神夜「っと、お疲れさん」
朱雀「そのご様子だと、おもしろいものが見れますね」
そう言って姿を消した。
リクオ「おもしろいもの?」
神夜「明日になったらわかるぞ」
帰ろうかの、と言って奴良家に向かった。
朱雀「–––––と、言うことですね」
名前「本当に大変だった」
朱雀「早く元に戻りたいものですね。これでは戦えません」
名前「みんなも小さいんだろうな」
小さくなっても式神は出せる。
契約者の体力や強さで式神の強さが変わってくる。
『わぁ…全員ちっちゃくなってる』
リクオ「ホントだ」
右狐と左狐は子狐で、四神は小人の姿をしている。
玄武「おいおいおい!どーゆーことだよオイ!」
小さな手で名前の頬を抓るがくすぐったいだけだった。
名前「青龍とか龍になったら蛇みたいじゃん」
青龍「・・・。」
一瞬だけ名前を睨んでから姿を消した。
『いつの間にか他のみんなもいなくなってるね』
名前「疲れた…お腹も空いた」
いつもよりたくさん食べて、軽く睡眠を取ると元に戻っていたのだった。
夜になり夜風に当たろうと廊下を歩いていると、月を眺めている影を見つけた。
名前「画になるねぇ」
千春「あ、苗字くん…」
隣に腰を下ろして同じく月を眺めた。
千春「一つ、一つだけ聞いてもいいかな?」
名前「一つ以上に聞くことあるでしょ」
笑いながら言う彼を見れば、さっきとは違う妖怪の姿になっていた。
千春「やっぱり……苗字くんだったんだね。捩眼山で会った、狐さん」
名前「人間の姿と今とでは格好も声も違うのにな」
それに、と言いかけたが軽い頭痛に襲われた。
首を傾げる千春に、なんでもない、と答えた。
千春「妖怪……」
名前「ん?」
千春「名前ちゃんも妖怪だよね?」
名前「うん、まぁ…名前は人間の血が強いみたいで、めったに妖怪にはならないんだ」
双子なのにね、と笑う。
千春「名前ちゃんの妖怪の姿見てみたいなぁ」
名前「そう遠くはないと思うよ」
千春「あ、よく見たら髪が長くなってる」
綺麗、と小さく呟いていた。
月の光に照らされ、輝いてみえた。
名前「そうそう、これを千春に渡しておかないとな」
懐から青く輝く丸い石が付いたブレスレットを取り出した。
千春「綺麗…」
名前「お守りだ」
千春「ありがとう!大事にするね」
さっそく身につけて、月に翳すと輝きを増す。
自分も首にしているお守りを取り出して月に翳す。
名前「彼者にご加護あれ」
それに答えるかのように光った。
名前「さてと、今日はもう寝よう」
千春「うん、そうだね」
戦いの疲れもまだ残っているようで布団を被ればすぐ夢の中へ。
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