名前を教えてね!
10章
名前変更
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隠神刑部狸
久万山の古岩屋
封じられし神通力
八百八夜狸の眷族引きいし
その力欲しくばとなえよ
"人外の身の性来を 引くからは 心に心心して見よ"と
夜の奴良組本家では幹部たちを集め、緊急総会が行われた。
一ツ目が四国勢に侵攻された場所を地図に記しながら報告していた。
名前「……」
そして、鴆との言い合い。
それを止めるかの様に障子が開いた。
神夜「お取り込み中すまんの」
名前「んー…?」
真後ろで気配がしたので、首だけ上を向かせた。
神夜「名前よ、"仕事"じゃ」
名前「んー…あぁ、そう」
曖昧な返事をして立ち上がった。
面倒臭そうに後頭部に手を当てた。
神夜「そんな顔をするな」
名前「はぁ…しゃあねぇな」
鴆「おい、名前、仕事ってなんだよ」
京都に帰るのか?と言う鴆にこくりと頷いた。
名前「仕方ないよ。依頼が来たんだから」
じゃあな、と軽く手を振って神夜と廊下を歩きだした。
『あ、名前』
台所から出てきた名前の肩に手を置いた。
名前「リクオに守ってもらえよ?」
『うん、大丈夫だよ』
寂しそうに微笑んだ。
肩に置いていた手を頭にとん、と乗せた。
犬神「オレもいる」
名前「ああ、頼んだよ」
神夜「タイミングが悪かったの」
空を見上げれば、黒いものが全体を覆っていた。
おまけに妖気を感じた。
名前「倒す時間もないか…」
*****
名前が京都へ向かった頃、人通りの少ない道を歩く陰が一つ。
千春「遅くなっちゃった…」
まだそんなに夜遅くではないが、そう思わせるような暗さである。
急ぎ足で進んでいくと、制服姿の人が立っていた。
通り過ぎようと歩いていると腕を掴まれた。
千春「えっ、あ、あなたは…!!」
玉章「やぁ…また会ったね」
千春にとっては会いたくない人物である。
千春「離して下さい!」
玉章「それはできないよ。君を探してたんだからね」
千春「え…どういうこと……?」
玉章「彼がいない今がチャンスだと思ってね」
微笑んだ表情を怖く感じたのは初めてで、警鐘が激しく鳴る。
千春「やだっ!離して!」
掴んでいる腕に力が込められる。
急に視界が奪われた。
そして、千春は眠りについた。
玉章「これで楽しめそうだ…」
*****
浮世絵町に立つ巨大なビルに妖怪が集う。
リクオに言われ、牛頭丸と馬頭丸もその場にいた。
牛頭丸「(あれが大将か…)」
玉章の部下が倒されたことを知った四国の妖怪達は慌てていた。
玉章「ボクには–––この"覇者の証"がある!!」
覇者の証と呼ばれた一振の刀。
それを見た途端に空気が変わった。
牛頭丸「雄弁に語るもんだな」
玉章「それに…苗字の"弱点"も手に入れた!」
不老不死も夢じゃない!!
馬頭丸「弱点なんてあるの?」
牛頭丸「さぁな」
それも探りつつ、調査を行う二人。
*****
暗闇の中で一人目を覚ます。
千春「…あ…れ……」
周りを見渡しても暗くて何も見えない。
すると、足音が近づいてきた。
玉章「起きたようだね」
千春「こ、ここは……」
玉章「君にはこれから仕事をしてもらうよ」
千春「な…何を……?」
目の前に先程の刀が投げられた。
なぜか不気味にカタカタと動いていた。
玉章「君がいれば不老不死が手に入る」
千春「私は、人質ですか……?」
ぱさっと何かが覆い被さった。
よく見れば羽織のようなもの。
玉章「揃ったね」
千春「えっ……きゃ!」
玉章は千春に近づいて、後ろ首に手をやった。
同時に首から激痛が走り、全身が痺れてきた。
玉章「さぁ…準備は整った」
ニヤリと満足気に笑って去っていく玉章のあとを追うように千春はついていった。
牛頭丸と馬頭丸の密偵は続いていた。
そして、ある部屋に着いた。
そこにあるのは、玉章が千春に渡した刀。
牛頭丸「"魔王"……"召喚"……?」
刀に気をとられていたせいで、二人は玉章の部下に取り押さえられてしまった。
玉章「わかってたよ。そろそろ…そっちから仕掛けてくる頃だろってね…」
牛頭丸「くそ…ワラワラ出やがって…」
刀を手に取った玉章が恐ろしく微笑む。
玉章「ああ…これか?そんなにこの刀のことが知りたいのか。いいだろう…丁度いい…見せてやるよ」
牛頭丸と馬頭丸がピンチのとき、四国ではぬらりひょん、納豆小僧、隠神刑部狸がサンライズ瀬戸に乗って東京へ向かおうとしていた。
そして話すは、伝説の神宝の一つである"魔王の小槌"を玉章が手にしたかどうか。
刑部狸「伝説の神宝…」
ぬら「(名前も持っておったな)」
玉章は刀を手にして一変した。
仲間と思われる妖怪者共斬っていった。
玉章はただのコマとして見ていなかった。
その行動に幹部も驚く。
そこに現れたのは三羽鴉。
牛頭丸と馬頭丸を回収して去る。
玉章「刻は来た。今夜、奴良組本家に総攻撃をしかける」
遂に、決戦の火蓋が切られる––––––––––
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