名前を教えてね!
9章
名前変更
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始まる前には間に合った。
護衛たちも集まっていた。
もちろん、犬神も。
名前「!!」
いる…
こんなとこで化けられたら–––––
やばい–––!!
生徒の数は五百人。
氷麗「潜んでいます…500人の生徒の中………妖怪がまぎれこんで…」
リクオ様を……狙っている……
ひとまず、体育館の倉庫にリクオと護衛たちが集まった。
『ねぇ…名前……嫌な予感するよ……』
ギュッと名前の腕を強く掴んだ。
名前「ああ…」
どうする?
リクオは何か策を考えてるのか?
次の演説では、体育館のカーテンが閉められた。
そして、スクリーンに清継が現れた。
その間に護衛たちは各自配置について、犬神を警戒していた。
名前「暗くなれば…
清継の演説が終わると、応援のリクオがステージに現れた。
リクオが名乗ると全員声を上げた。
お前みたいになりたかった──
オレは───
オレは───
『あ…!』
青田坊が犬神を抑えていたが、首がリクオの元へ飛んでいき噛み付いた。
生徒たちがざわめきだした。
『ねぇ!名前ってば!』
名前「まだだ」
リクオが苦しそうな声を出すと、ますます生徒たちがざわめく。
犬神「奴良リクオ~~~~てめぇの首は…オレが取ってやるよ~~~」
リクオ「や、やめろ……」
護衛たちは慌ててリクオの元へ行く。
そして、首が飛んだ。
名前「……」
首無「やはり、若をねらっていたな」
犬神が何かに巻きつけられた。
名前「ほう…」
首無「首だけで戦うのは、君だけじゃあ……ないんだよ」
後ろから刀を構えたリクオが飛んできた。
『私でも"わかる"よ…犬神さんの思いが』
名前「じゃあ、そろそろか…」
犬神は完全に妖怪化とした。
胴体に首をひっつけて護衛たちやリクオに襲いかかった。
『リクオくん!!』
犬神の手が切れていることに気がつく。
リクオ「陽は–––とざされた。この闇は幕引きの合図だ––––」
名前「ふーん…暗いだけでもなれるんだ」
出しかけた式神を収めて犬神とリクオを見る。
リクオ「学校でこんな姿になるつもりはなかったがな…とっとと舞台から下りてもらうぜ。オレもお前も…ここには似つかわしくねぇ役者だ」
二人の戦いが始まった。
流れる血を手で拭って身構える。
すると、変なタイミングでスクリーンから清継が現れた。
清継が現れたおかげで全てが演出だと誤魔化すことができた。
清継「よみおくりスノーダスト退MAXーー!!くらえーーー!!」
名前「チャンス…今だ」
?「ラジャ!」
清継が技名を言ったのと同時に氷麗が氷で犬神の動きを封じた。
「さむっ」
「なんだか…眠く……」
?「ふふ…おやすみ」
リクオ「つらら…この雪、ちょっとやりすぎだぜ」
動けなくなった犬神にとどめをさした。
犬神
四国の妖怪
人を呪い
人を恨み
人を愛おしく想う故
人に憑く
おぞましく
おそろしく
そして––––
哀しい妖怪
『終わった…の?』
名前「たぶん」
そこには、元の姿に戻ったボロボロの犬神がいた。
ゆっくり立ちながら叫んでいた。
犬神「テメーはもう、しまいじゃ––––!!オレがどういう妖怪か知らずに、攻撃しやがった!!」
名前「犬神」
犬神「……っ((ビクッ」
泣きそうな顔で名前を見た。
犬神「止めんな…オレは……オレは!!」
すると、犬神の頭の上に誰かが乗った。
犬神「よ…夜雀ぇぇ!?」
夜雀と呼ばれたは何も言わず、体育館の照明を壊した。
辺りは暗くなって何も見えない状態になった。
名前「来た…」
『え?…あ!』
犬神「た……玉章……!?」
やばい
このままじゃあ…
犬神が消される––––!!
玉章「散れ、カス犬」
“助けて…”
千春「だめ!!」
『千春ちゃん!?』
名前「らあっ!」
ドスッ
玉章と犬神の方めがけて刀を投げると、玉章の手の甲を斬って壁に刺さった。
玉章「ほう…」
慌てて千春の前に立った。
名前「犬神はオレがもらう!」
玉章は笑いながら妖怪の姿になった。
妖怪・隠神刑部狸
名を––––玉章
千春「よ、妖怪…!」
名前に庇われている千春の姿を見て、
玉章「そうか…君の"弱点"がわかったよ…」
面を被っていて分からないが、玉章は口を歪ませていた。
名前「……っ!」
玉章「その犬はくれてやる。また会おう」
葉を散らせて消えていった。
リクオ「……芝居がかった狸だ…」
名前「…あっ!お前ら、そろそろ清継が……」
言っている途中にスクリーンを破って清継が現れた。
清継「妖・怪・退・散ー!!」
名前「あいつも眠らせて~」
?「ほーい」
千春以外の全ての人間は原因不明の睡魔に襲われたのであった。
*****
一方、ぬらりひょんと納豆小僧は四国に来ていた。
そこで、四国八十八鬼夜行の本拠地である、松山の山口霊神堂を訪れた。
そこには、大きな狸が座っていた。
隠神刑部狸とぬらりひょんは昔の話をして懐かしんでいた。
神夜「ちょいと、ワシも話に交ぜてくれんか」
ひょいと木の上から下りてきた。
刑部狸「おお…あんたは……」
神夜「すまんが、懐かしんでる暇はないんじゃよ」
ぬら「どうした?」
神夜「まずいことになった……名前を京都に連れて帰らないかん。玉章と言ったかの…今東京にいるじゃろ」
玉章と言うと隠神刑部狸は表情を変えた。
刑部狸「ウム……」
玉章……
かつて崇徳上皇が京から
さぬきの地へ流され
死んだ時
うぐいすの鳴き声を聞いては
京の都を思い出し
むせび泣いたという––––
その話を聞いたうぐいすは
ひどく哀れに思い
自分の声を封じるために
くちばしに巻いたのが
玉章の樹に生えていた葉であった–––
刑部狸「あいつにも、その名の通り…自分をわきまえて生きて欲しかった」
隠神刑部狸の話を黙って聞いた。
神夜「"たまずさ"を"たまずき"に変えたんか」
それに頷く隠神刑部狸。
"玉座を狙う"という意味に変え、若い日のワシのように––––––
"懾"を持って妖怪の主になろうとしている!!
*****
生徒会選挙の結果が出て、生徒会長は清継に決まった。
清継を主役として清十字団ではお祝いが開かれていたが、屋上ではリクオと首無が氷麗に説教をされていた。
?「まぁまぁ、落ち着こ?ね?」
氷麗「ていうか、あなた誰ですか!?」
夢魔「私、夢魔!名前くんに呼ばれて来たの!」
河童「で、その名前さんは?」
氷麗と夢魔はキョロキョロと辺りを見渡した。
リクオ「名前ちゃんもいないよね」
首無「あ、犬神を連れて一度帰ったのでは?」
それだ、とその場にいる全員が声を揃えた。
名前「お前まで来ることなかったのに」
『ううん!だめだよ!』
布団で寝かされていた犬神が目を覚ました。
犬神「…名前、名前……?」
ゆっくり身体を起こした。
すっかり傷は癒えていた。
『もう大丈夫だよ』
犬神「ああ…」
名前「見事に捨てられたな」
犬神「そうだな」
笑っていた。
名前もつられて小さく笑う。
そして、寂しそうな表情で二人を見つめた。
犬神「最初から、お前達の下についてれば良かった…」
お前なら、オレを捨てないよな?
名前「バカ…上も下もねぇよ。オレは"仲間"を見捨てない」
真剣な眼差しを犬神に向け、手を差し伸べた。
それに答えて、
犬神「ありがとな」
と、笑顔で言った。
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