1話
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俺のクラスには葉月 愛っていう見かけも普通の子がいる。
中1の時に転校してきて3年生になっても同じクラスだ。
生まれつき耳が良い俺は、人の感情とか音で分かるんだけど何故かアイツだけは音が聞こえない。
いや、楽しいとかそういった音はたまに聞こえるから普段は小さな音なんだと思う。
転校してきたばかりの時は別だった。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
『初めまして葉月 愛です、宜しくお願いします。』
「葉月の席は………あ、あそこだ。我妻!手を上げろ。」
「…はい。」
『!?』
「あの手を上げてる奴の隣の席だ。」
『……わ、かりました………。』
そう言って隣に来たアイツは俺をジーッと見てくる。
「俺、我妻善逸。宜しく葉月さん。」
『………よ、宜しく……我妻君……。』
その時の音は動揺、それから喜びと悲しみが入り混じった音だった。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
「(そういやあ、名前呼んだのも1年の時だけだったな。)」
「善逸は愛が嫌いなのか?」
「は?なんだよ突然。」
「愛だけは女の子扱いしないだろ?」
「人の顔見て笑ったり、すぐ強気で言い返してくるのにどう女の子扱いしろと?」
炭治郎にそう返せば、うーんと悩んだ様子。
別に嫌いじゃないのは匂いで分かってるだろうに。
「もう少し善逸が女の子として見てあげたら変わるんじゃないか?」
「アイツを女の子として……ねぇ……。」
「まずは、“アイツ”じゃなく名前で呼んだら良いと思う。」
「仲悪いわけじゃないんだから、呼び方はこのままでも良いんじゃね?」
「呼び方から変えるべきだ。」
妙に頑なな炭治郎だ。
これは俺が頷かない限り納得しなさそうだな。
「……分かった、明日から試してみる。」
「そうか!頑張れよ!!」
「?あ、あぁ。」
何を頑張るんだろうか。
名前を呼ぶくらい余裕だろ。
そんな風に軽く思ってた俺が馬鹿だった。
翌日ー
昨日と違って、いつもの様に登校してきたアイツは俺に話し掛けてきた。
『おはよ、我妻君。』
「……………はよ。」
『何?その間は。』
「いや………。」
おいおい、誰だよ名前呼ぶくらい余裕だとか言ってた奴は!
あ、俺か………。
『我妻君?』
「(どうやって呼べばいいわけ?つか、呼ぶだけなのにこんな緊張する!?)」
『おーい?』
「(待て待て、何も今じゃなくても良いと思うんだけど!)」
『あーがーつーまーくーん!』
「(あれ、俺何でこんな悩んでんの?パッと呼べば良いじゃん。)」
『……善逸。』ボソリ
「は?!」
急に下の名前で呼ばれて思わず顔を上げるとあまりの近さに仰け反った。
「近い!!」
『何度も呼んでるのに反応しないんだもの。』
「あー、悪い。」
『何か悩み事でもあるの?』
「そ、そーゆー訳じゃ……」
『なら良いけど……悩み事あったら聞く事くらいは出来るから、ね?』
緩く笑みを浮かべるコイツに俺は歯切れの悪い返事を返した。
『あ、そろそろ先生来るから戻るね。』
「うん。(あれ?いい匂いがした。)」
フワリと香ってきた匂いに心臓がドクリと鳴るのが分かった。
気の所為だと頭を振って俺は先生の話に集中する。
昼休みー
炭治郎がアイツの所へ行くのが見えたので、少しだけそっちに耳を集中させてみる。
「愛、今日はいつもと匂いが違うな。」
『さっすが炭治郎!シャンプー変えてみたの!』
「この匂いはシャンプーだったのか?」
『うん!鼻の良い炭治郎にはキツイ匂いだった……?』
「いや、そんな事はない!とても良い匂いだよ。」
『良かった〜。これ、匂いも良いんだけど凄くサラサラになるの。』
あの匂いはシャンプーだったのか。
1人納得してると、炭治郎がアイツの髪の毛に触れる。
「本当だ!」
『次からこのシャンプーにしようと思うんだ。』
「良いと思うぞ!せっかくだから禰豆子にも教えてやりたいんだが、名前教えて貰っていいか?」
『もちろん!』
え、何ナチュラルに髪触ってんの?
つかアイツも何でなんも言わないわけ?
「(嫌がってる音はしないし……。)」
「愛とお揃いだって知ったら禰豆子喜ぶぞ。」
『私も禰豆子ちゃんとお揃い嬉しい!』
今だに髪の毛を触ってる炭治郎とそれに対して何も言わないアイツに、段々と苛々した俺は2人に近寄っていった。
「いつまで髪の毛触ってんだよ。」
「善逸!」
「お前もずっと触られてんだから何とか言えよ。」
『そんなに触り心地が良いのかなぁとしか思ってなかったし。』
「だいたい炭治郎、近すぎる。なんなんだよその距離感。」
『「なんか兄妹と変わらなくて。」』
「あーそうですか!仲良くハモりやがって!!そもそも愛も女だって自覚あるなら距離感保て!」
『……え?』
俺を見上げる顔が徐々に赤くなっていく。
それに俺は素っ頓狂な声を上げた。
「へ?」
「善逸……!呼べるじゃないか!!」
「何を?」
「名前だよ!」
「名前?誰…の………」
少し前の自分が言った言葉を思い出して固まる。
「(名前で呼んじまったぁぁぁ!普通、苗字呼ぶべきじゃねぇの!?何してんの俺!!)」
「良かったな!愛。」
『ちょっ……炭治郎!?』
「良かったって……何が?」
「実はな……」
『わー!!何でもないの!!』
炭治郎の口をベチンと塞いで慌てる姿に若干……いや、かなり面白くない。
「俺には言えない事?」
『言えないというか、我妻君には関係ないというか………!』
「関係ない……あっそ。」
『……あっ………!』
腹が立って俺は2人に背を向けて自分の席に戻る。
アイツからは後悔の音がしたけど一切振り返る事はせず、その日から俺達は会話どころか目すら合わさなくなった。
中1の時に転校してきて3年生になっても同じクラスだ。
生まれつき耳が良い俺は、人の感情とか音で分かるんだけど何故かアイツだけは音が聞こえない。
いや、楽しいとかそういった音はたまに聞こえるから普段は小さな音なんだと思う。
転校してきたばかりの時は別だった。
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『初めまして葉月 愛です、宜しくお願いします。』
「葉月の席は………あ、あそこだ。我妻!手を上げろ。」
「…はい。」
『!?』
「あの手を上げてる奴の隣の席だ。」
『……わ、かりました………。』
そう言って隣に来たアイツは俺をジーッと見てくる。
「俺、我妻善逸。宜しく葉月さん。」
『………よ、宜しく……我妻君……。』
その時の音は動揺、それから喜びと悲しみが入り混じった音だった。
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「(そういやあ、名前呼んだのも1年の時だけだったな。)」
「善逸は愛が嫌いなのか?」
「は?なんだよ突然。」
「愛だけは女の子扱いしないだろ?」
「人の顔見て笑ったり、すぐ強気で言い返してくるのにどう女の子扱いしろと?」
炭治郎にそう返せば、うーんと悩んだ様子。
別に嫌いじゃないのは匂いで分かってるだろうに。
「もう少し善逸が女の子として見てあげたら変わるんじゃないか?」
「アイツを女の子として……ねぇ……。」
「まずは、“アイツ”じゃなく名前で呼んだら良いと思う。」
「仲悪いわけじゃないんだから、呼び方はこのままでも良いんじゃね?」
「呼び方から変えるべきだ。」
妙に頑なな炭治郎だ。
これは俺が頷かない限り納得しなさそうだな。
「……分かった、明日から試してみる。」
「そうか!頑張れよ!!」
「?あ、あぁ。」
何を頑張るんだろうか。
名前を呼ぶくらい余裕だろ。
そんな風に軽く思ってた俺が馬鹿だった。
翌日ー
昨日と違って、いつもの様に登校してきたアイツは俺に話し掛けてきた。
『おはよ、我妻君。』
「……………はよ。」
『何?その間は。』
「いや………。」
おいおい、誰だよ名前呼ぶくらい余裕だとか言ってた奴は!
あ、俺か………。
『我妻君?』
「(どうやって呼べばいいわけ?つか、呼ぶだけなのにこんな緊張する!?)」
『おーい?』
「(待て待て、何も今じゃなくても良いと思うんだけど!)」
『あーがーつーまーくーん!』
「(あれ、俺何でこんな悩んでんの?パッと呼べば良いじゃん。)」
『……善逸。』ボソリ
「は?!」
急に下の名前で呼ばれて思わず顔を上げるとあまりの近さに仰け反った。
「近い!!」
『何度も呼んでるのに反応しないんだもの。』
「あー、悪い。」
『何か悩み事でもあるの?』
「そ、そーゆー訳じゃ……」
『なら良いけど……悩み事あったら聞く事くらいは出来るから、ね?』
緩く笑みを浮かべるコイツに俺は歯切れの悪い返事を返した。
『あ、そろそろ先生来るから戻るね。』
「うん。(あれ?いい匂いがした。)」
フワリと香ってきた匂いに心臓がドクリと鳴るのが分かった。
気の所為だと頭を振って俺は先生の話に集中する。
昼休みー
炭治郎がアイツの所へ行くのが見えたので、少しだけそっちに耳を集中させてみる。
「愛、今日はいつもと匂いが違うな。」
『さっすが炭治郎!シャンプー変えてみたの!』
「この匂いはシャンプーだったのか?」
『うん!鼻の良い炭治郎にはキツイ匂いだった……?』
「いや、そんな事はない!とても良い匂いだよ。」
『良かった〜。これ、匂いも良いんだけど凄くサラサラになるの。』
あの匂いはシャンプーだったのか。
1人納得してると、炭治郎がアイツの髪の毛に触れる。
「本当だ!」
『次からこのシャンプーにしようと思うんだ。』
「良いと思うぞ!せっかくだから禰豆子にも教えてやりたいんだが、名前教えて貰っていいか?」
『もちろん!』
え、何ナチュラルに髪触ってんの?
つかアイツも何でなんも言わないわけ?
「(嫌がってる音はしないし……。)」
「愛とお揃いだって知ったら禰豆子喜ぶぞ。」
『私も禰豆子ちゃんとお揃い嬉しい!』
今だに髪の毛を触ってる炭治郎とそれに対して何も言わないアイツに、段々と苛々した俺は2人に近寄っていった。
「いつまで髪の毛触ってんだよ。」
「善逸!」
「お前もずっと触られてんだから何とか言えよ。」
『そんなに触り心地が良いのかなぁとしか思ってなかったし。』
「だいたい炭治郎、近すぎる。なんなんだよその距離感。」
『「なんか兄妹と変わらなくて。」』
「あーそうですか!仲良くハモりやがって!!そもそも愛も女だって自覚あるなら距離感保て!」
『……え?』
俺を見上げる顔が徐々に赤くなっていく。
それに俺は素っ頓狂な声を上げた。
「へ?」
「善逸……!呼べるじゃないか!!」
「何を?」
「名前だよ!」
「名前?誰…の………」
少し前の自分が言った言葉を思い出して固まる。
「(名前で呼んじまったぁぁぁ!普通、苗字呼ぶべきじゃねぇの!?何してんの俺!!)」
「良かったな!愛。」
『ちょっ……炭治郎!?』
「良かったって……何が?」
「実はな……」
『わー!!何でもないの!!』
炭治郎の口をベチンと塞いで慌てる姿に若干……いや、かなり面白くない。
「俺には言えない事?」
『言えないというか、我妻君には関係ないというか………!』
「関係ない……あっそ。」
『……あっ………!』
腹が立って俺は2人に背を向けて自分の席に戻る。
アイツからは後悔の音がしたけど一切振り返る事はせず、その日から俺達は会話どころか目すら合わさなくなった。
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