大嫌いな人
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奏の声にグラウンドで練習をしていた部員、マネージャー全員が振り向いた。
「お、おい…落ち着けって…」
『ご飯食べてる?とか何母親みたいな事言ってるの!?』
「私は貴女の母親よ?娘を心配するのは当たり前じゃない。」
『貴女なんか母親じゃない!!』
「…こんな口の聞き方教えた覚えは無いのだけど……まぁ、あの人達が親代わりだものね、仕方ないかな。」
『親代わりじゃないわ!私の両親よ。』
キッと睨めば、冷めた瞳が返ってくる。
それだけで怯えそうになるのを、必死で我慢した。
『私の両親をバカにしないで。貴女に母親面されるのも吐き気がするわ。』
「…ふぅ。どうやったらこんな子に育つのかしら?あの時はまだ可愛いげあったのに。」
『可愛いげ?笑いもせず、ただ貴女の言う事だけを聞く人形みたいなのが可愛いげ?ふざけないで。私は貴女のお人形じゃないの。』
「…全く、幸人も幸人だわ。こんな子探さなくても良かったじゃない。ほんっと可愛いげないわね。私の娘なんだからもっと愛想良く出来ないの?こんな子が娘だなんて思いたくないわ。」
舞桜の言葉に片岡は愕然とした。
昔の面影が一切消えていたのだから。
一也が言い返そうと口を開く前に奏が口火をきった。
『だったら…私なんか産まなきゃ良かったじゃない!!』
「…奏!!」
一也は怒鳴り、振り向かせて頬を叩く。
バシン!
『…!』
「そんな事嘘でも言うな。」
『…一…也…』
「私もアンタを産まなきゃ良かったって思うわよ。」
「…それ以上、言葉を続けると俺もキレますから。」
「…瑞希先輩、先ほど佐伯先輩に連絡しました。もう少しでこちらに着くと思います。これ以上部内の雰囲気を悪くしないで頂きたい。彼女…藤堂は、私の教え子です。まだ傷付ける事を言うのであれば此方も出方を変えますよ。」
そうこうしてる内に幸人が到着した。
「奏!」
「…佐伯さん。」
「一也君…迷惑をかけたね。」
「いえ…」
「…大丈夫かい?奏」
顔を覗き込んでくる幸人に我慢出来なくなったのか、両目からポロポロと涙を溢して抱き着いた。
『…ヒック……お…と…さん…!』
「!…あぁ、もう大丈夫だ。お父さん来たからには安心だよ。ほら、一也君のとこへ行きなさい。」
「御幸、保健室に連れていけ。」
「はい。」
「お前らも練習再開しろ!」
「「はい!!」」
奏と一也を見送り、幸人と片岡、舞桜の3人はプレハブに移動した。
「…何であの子の名前を先に呼ぶのよ…!」
「舞桜。」
「…貴方と私の子供なのに…あんな出来の悪い子を…何で…!!」
「舞桜、いい加減にするんだ。君はもう奏の母親じゃない。ましてや私の妻でもない。」
「私は離婚したつもりないわ。」
「残念だけど、とっくに君とは赤の他人だよ。私も奏も。舞桜……奏を傷付けるな。」
「…ただ私は…あの頃の様に戻りたいだけなのに…」
「あの頃って学生時代?それとも奏が産まれて間もない頃?どちらにせよ、戻る事なんて出来ないんだよ。…舞桜、もう帰ろう。君が病院から抜け出した事なんて知ってるんだ。」
「…ど…うして…」
舞桜の問いかけに、切なげに微笑んだ。
ーーーーー
ーーー
ー
「奏、座って。頬を冷やそう。」
『……。』
「…ごめんな。強く叩いちまった。」
『…ううん……私も…ごめんなさい……!』
「…うん……」
『…一也を傷付ける為に言ったわけじゃなかった…!私……あの人に…言われたくなくて……これ以上…我慢出来なくて…!!』
「うん……分かってる。佐伯さん来なかったら俺もキレてたわ。」
『……ごめん…なさい!』
泣きながら謝る奏を強く抱き締める。
見慣れた艶のある長い黒髪に顔を埋め、嗅ぎなれた匂いに落ち着きを取り戻して一也は静かに喋った。
「…俺は奏が産まれてきてくれて良かったって思ってる。じゃなきゃ、こんな風に抱き締めたり大切に想う事もなかったんだしさ。この先、もしまた奏がそう思ったりしたら何度でも言ってやる。産まれてきてくれて有り難う。って……だから…産まれて来なきゃ良かったなんて言うなよ…!」
『…か…ずや…!!』
「お前がいなかったら俺は立ってられる自信ねぇよ…。奏がいるから俺は頑張れるんだ。」
『…私…も…一也がいてくれるだけで、頑張れる…。』
「ん…。俺らまだ高1だけどさ…いつか、結婚して絶対幸せになってやろうぜ?」
『…なれるかな…?』
「俺達ならなれる。」
『……うん…!』
体を離して、涙を拭う。
そのまま頬に手を当ててキスを交わした。
「……この場に浩輔達もいたら大騒ぎだったな。」
『ふふ…志穂なんて泣いてキレてそう。』
「あいつらも俺と同じでお前がいて良かったって言うよ。」
『……ん。』
いまだ瞳が潤んだ状態の奏に小さく一也は謝った。
「…悪い」
『え、何…!?』
ドサッ
押し倒され、思わず目を見開いて一也を見やる。
一也は無言のまま、両手を絡ませて深く口付けをした。
『ふっ…んぅ……』
「……っは……」
舌を絡ませて呼吸さえも奪うかの様な口付けに奏は、次第に頭がクラクラしてくるのを感じた。
『…ふぁ、……か…ず……』
「…はっ……奏……好きだ……」
『…んは……わた…しも……好き……』
長い口付けが終わり、離れれば2人を繋ぐ銀の糸。
一也はそれも舐める様に奏の唇を舐めた。
『か、一也!』
「ははっ、顔赤すぎ(笑)」
『…もう……』
「…俺…もう、我慢出来ない……夜行っても良いか?抱きたい。」
『……うん………待ってる。』
その日の夜、奏と一也は初めての夜を迎えた。
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「お、おい…落ち着けって…」
『ご飯食べてる?とか何母親みたいな事言ってるの!?』
「私は貴女の母親よ?娘を心配するのは当たり前じゃない。」
『貴女なんか母親じゃない!!』
「…こんな口の聞き方教えた覚えは無いのだけど……まぁ、あの人達が親代わりだものね、仕方ないかな。」
『親代わりじゃないわ!私の両親よ。』
キッと睨めば、冷めた瞳が返ってくる。
それだけで怯えそうになるのを、必死で我慢した。
『私の両親をバカにしないで。貴女に母親面されるのも吐き気がするわ。』
「…ふぅ。どうやったらこんな子に育つのかしら?あの時はまだ可愛いげあったのに。」
『可愛いげ?笑いもせず、ただ貴女の言う事だけを聞く人形みたいなのが可愛いげ?ふざけないで。私は貴女のお人形じゃないの。』
「…全く、幸人も幸人だわ。こんな子探さなくても良かったじゃない。ほんっと可愛いげないわね。私の娘なんだからもっと愛想良く出来ないの?こんな子が娘だなんて思いたくないわ。」
舞桜の言葉に片岡は愕然とした。
昔の面影が一切消えていたのだから。
一也が言い返そうと口を開く前に奏が口火をきった。
『だったら…私なんか産まなきゃ良かったじゃない!!』
「…奏!!」
一也は怒鳴り、振り向かせて頬を叩く。
バシン!
『…!』
「そんな事嘘でも言うな。」
『…一…也…』
「私もアンタを産まなきゃ良かったって思うわよ。」
「…それ以上、言葉を続けると俺もキレますから。」
「…瑞希先輩、先ほど佐伯先輩に連絡しました。もう少しでこちらに着くと思います。これ以上部内の雰囲気を悪くしないで頂きたい。彼女…藤堂は、私の教え子です。まだ傷付ける事を言うのであれば此方も出方を変えますよ。」
そうこうしてる内に幸人が到着した。
「奏!」
「…佐伯さん。」
「一也君…迷惑をかけたね。」
「いえ…」
「…大丈夫かい?奏」
顔を覗き込んでくる幸人に我慢出来なくなったのか、両目からポロポロと涙を溢して抱き着いた。
『…ヒック……お…と…さん…!』
「!…あぁ、もう大丈夫だ。お父さん来たからには安心だよ。ほら、一也君のとこへ行きなさい。」
「御幸、保健室に連れていけ。」
「はい。」
「お前らも練習再開しろ!」
「「はい!!」」
奏と一也を見送り、幸人と片岡、舞桜の3人はプレハブに移動した。
「…何であの子の名前を先に呼ぶのよ…!」
「舞桜。」
「…貴方と私の子供なのに…あんな出来の悪い子を…何で…!!」
「舞桜、いい加減にするんだ。君はもう奏の母親じゃない。ましてや私の妻でもない。」
「私は離婚したつもりないわ。」
「残念だけど、とっくに君とは赤の他人だよ。私も奏も。舞桜……奏を傷付けるな。」
「…ただ私は…あの頃の様に戻りたいだけなのに…」
「あの頃って学生時代?それとも奏が産まれて間もない頃?どちらにせよ、戻る事なんて出来ないんだよ。…舞桜、もう帰ろう。君が病院から抜け出した事なんて知ってるんだ。」
「…ど…うして…」
舞桜の問いかけに、切なげに微笑んだ。
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「奏、座って。頬を冷やそう。」
『……。』
「…ごめんな。強く叩いちまった。」
『…ううん……私も…ごめんなさい……!』
「…うん……」
『…一也を傷付ける為に言ったわけじゃなかった…!私……あの人に…言われたくなくて……これ以上…我慢出来なくて…!!』
「うん……分かってる。佐伯さん来なかったら俺もキレてたわ。」
『……ごめん…なさい!』
泣きながら謝る奏を強く抱き締める。
見慣れた艶のある長い黒髪に顔を埋め、嗅ぎなれた匂いに落ち着きを取り戻して一也は静かに喋った。
「…俺は奏が産まれてきてくれて良かったって思ってる。じゃなきゃ、こんな風に抱き締めたり大切に想う事もなかったんだしさ。この先、もしまた奏がそう思ったりしたら何度でも言ってやる。産まれてきてくれて有り難う。って……だから…産まれて来なきゃ良かったなんて言うなよ…!」
『…か…ずや…!!』
「お前がいなかったら俺は立ってられる自信ねぇよ…。奏がいるから俺は頑張れるんだ。」
『…私…も…一也がいてくれるだけで、頑張れる…。』
「ん…。俺らまだ高1だけどさ…いつか、結婚して絶対幸せになってやろうぜ?」
『…なれるかな…?』
「俺達ならなれる。」
『……うん…!』
体を離して、涙を拭う。
そのまま頬に手を当ててキスを交わした。
「……この場に浩輔達もいたら大騒ぎだったな。」
『ふふ…志穂なんて泣いてキレてそう。』
「あいつらも俺と同じでお前がいて良かったって言うよ。」
『……ん。』
いまだ瞳が潤んだ状態の奏に小さく一也は謝った。
「…悪い」
『え、何…!?』
ドサッ
押し倒され、思わず目を見開いて一也を見やる。
一也は無言のまま、両手を絡ませて深く口付けをした。
『ふっ…んぅ……』
「……っは……」
舌を絡ませて呼吸さえも奪うかの様な口付けに奏は、次第に頭がクラクラしてくるのを感じた。
『…ふぁ、……か…ず……』
「…はっ……奏……好きだ……」
『…んは……わた…しも……好き……』
長い口付けが終わり、離れれば2人を繋ぐ銀の糸。
一也はそれも舐める様に奏の唇を舐めた。
『か、一也!』
「ははっ、顔赤すぎ(笑)」
『…もう……』
「…俺…もう、我慢出来ない……夜行っても良いか?抱きたい。」
『……うん………待ってる。』
その日の夜、奏と一也は初めての夜を迎えた。
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