大嫌いな人
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それは奏が気付く少し前の事
ーーーーー
ーーー
ー
「か、監督…、お客様がいらしてる様ですが…。」
「誰だ?」
「あら、誰だ?なんて忘れちゃったのかしら?片岡君。」
「み、瑞希先輩!?」
「ふふ、久しぶりね。」
そこにいたのは外見が奏に良く似た女性…つまり、幸人の元妻であり奏の母であった人物。
「(やけに綺麗な人だな……というより藤堂に似てる?)」
そんな事を思っている太田の視線を感じたのか、舞桜は微笑んで会釈した。
「初めまして、佐伯舞桜と申します。いつも娘がお世話になっております。」
「!?」
「佐伯?そんな子いましたっけ??監と…く…!」
太田が隣を見れば険しい表情をした片岡。
「…失礼ですが、佐伯先輩とは離婚なされたとお訊きしましたが。」
「やだ、あの人ったら勘違いしてるのね。」
「で、ですが…うちに佐伯という生徒はおりませんが…」
「いるじゃないですか、あそこに。」
舞桜が示した先には奏がいた。
「彼女は藤堂という名字でして…」
「違いますよ、私の娘です。片岡君、呼んでもらえる?」
「…瑞希先輩、お帰り願えますか?彼女に近付けるなと佐伯先輩から言われていますので。」
「…帰れだなんて、酷い事言うのね。」
舞桜の瞳が奏から一也に移る。
「へぇ…あんなイケメンいたのね。少しばかし幸人っぽいわねぇ。」
「瑞希先輩、彼らは今練習中です。邪魔をするなら即刻お帰り下さい。」
「邪魔しないわ。ただ挨拶するだけ…ね?」
片岡の返事も聞かず、舞桜は一直線に一也の元へ。
舌打ちしたいのを堪えて片岡は声を張り上げた。
ーーーーー
ーーー
ー
「各自、一旦休憩!」
片岡監督の言葉に俺達は動揺を隠せないでいた。
さっき休憩終わったばかり…だよな?
「監督にしては珍しいな。」
「倉持。」
「御幸も思わねぇ?」
「あぁ…そうだな。」
「こんにちは。」
「「え?」」
急に声を掛けられ振り向けば、女性が俺達に向かってきていた。
「…なんすか?」
「ふふ、君達が片岡君の元で頑張ってるみたいだったから見に来たのよ。」
「か、片岡君?」
「一応、片岡君の先輩。あとついでに挨拶したいの。」
挨拶?
何のだ?
俺と倉持が顔を見合わせていれば、またニッコリと微笑んだ。
…この笑顔、何か見覚えある気が…
「うちの娘…奏がお世話になってるみたいだし。」
「!」
「藤堂の母親?」
「えぇ。佐伯舞桜よ。覚えておいて…それで、君の名前教えてくれる?」
「…俺…すか?」
「そう君。」
「…御幸…一也です。」
名前を言えば、更に深くなる笑みに若干寒気を感じた。
「さっき奏と仲良さげに話してたでしょ?あの子と付き合ってるの?」
「…はい。」
「ふぅん……「瑞希先輩!!」もう、片岡君なぁに?」
いつも以上に険しい表情の監督に俺と倉持だけでなく、部員全員が固唾を飲んだ。
「いい加減にして下さい。これ以上は練習に支障が出ます。一度あちらでお話しましょう。」
「…相変わらず頑固者なんだから。仕方ないわね…奏と話させてくれるなら移動してあげる。」
「…っ。」
奏を見れば、さっきよりも蒼白した顔で怯えの色が見てとれる。
…さっきの怯えようはこういう事か。
「…御幸、藤堂を連れてきてもらえるか?」
「監督…!?」
「…良いな?」
「…はい。」
走って奏に近付く。
チラリと後ろを振り返れば、監督は哲さん達に何か指示をしていた。
ーーーーー
ーーー
ー
一也が近付いてきた。
…あの人と何話したの?
そんな事聞ける筈もなく私はただ俯くだけ。
「…奏、監督が呼んでるから行こう。」
『…あの人のとこなんか行きたくない。』
「…大丈夫。俺もいるから、な。」
泣きたいのを我慢して一也の顔を見つめれば、真剣だけど優しい眼差し。
私の手をギュッと繋ぐ。
手を引かれるまま、あの人の近くに行く。
…嫌……これ以上行きたくない。
「監督。」
「……すまない。」
片岡先生に謝られた…。
でも、それにすら反応出来ない私はただひたすら俯いて顔を見ない様にする。
「…久しぶりね、元気だったかしら?」
『……。』
「ちゃんとご飯食べてる?貴女、私に似て少食なんだから。」
『……のよ。』
「え?」
「奏?」
『何なのよ!さっきから!!今更、何しに来たのよ!!』
私は限界だったー。
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「か、監督…、お客様がいらしてる様ですが…。」
「誰だ?」
「あら、誰だ?なんて忘れちゃったのかしら?片岡君。」
「み、瑞希先輩!?」
「ふふ、久しぶりね。」
そこにいたのは外見が奏に良く似た女性…つまり、幸人の元妻であり奏の母であった人物。
「(やけに綺麗な人だな……というより藤堂に似てる?)」
そんな事を思っている太田の視線を感じたのか、舞桜は微笑んで会釈した。
「初めまして、佐伯舞桜と申します。いつも娘がお世話になっております。」
「!?」
「佐伯?そんな子いましたっけ??監と…く…!」
太田が隣を見れば険しい表情をした片岡。
「…失礼ですが、佐伯先輩とは離婚なされたとお訊きしましたが。」
「やだ、あの人ったら勘違いしてるのね。」
「で、ですが…うちに佐伯という生徒はおりませんが…」
「いるじゃないですか、あそこに。」
舞桜が示した先には奏がいた。
「彼女は藤堂という名字でして…」
「違いますよ、私の娘です。片岡君、呼んでもらえる?」
「…瑞希先輩、お帰り願えますか?彼女に近付けるなと佐伯先輩から言われていますので。」
「…帰れだなんて、酷い事言うのね。」
舞桜の瞳が奏から一也に移る。
「へぇ…あんなイケメンいたのね。少しばかし幸人っぽいわねぇ。」
「瑞希先輩、彼らは今練習中です。邪魔をするなら即刻お帰り下さい。」
「邪魔しないわ。ただ挨拶するだけ…ね?」
片岡の返事も聞かず、舞桜は一直線に一也の元へ。
舌打ちしたいのを堪えて片岡は声を張り上げた。
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「各自、一旦休憩!」
片岡監督の言葉に俺達は動揺を隠せないでいた。
さっき休憩終わったばかり…だよな?
「監督にしては珍しいな。」
「倉持。」
「御幸も思わねぇ?」
「あぁ…そうだな。」
「こんにちは。」
「「え?」」
急に声を掛けられ振り向けば、女性が俺達に向かってきていた。
「…なんすか?」
「ふふ、君達が片岡君の元で頑張ってるみたいだったから見に来たのよ。」
「か、片岡君?」
「一応、片岡君の先輩。あとついでに挨拶したいの。」
挨拶?
何のだ?
俺と倉持が顔を見合わせていれば、またニッコリと微笑んだ。
…この笑顔、何か見覚えある気が…
「うちの娘…奏がお世話になってるみたいだし。」
「!」
「藤堂の母親?」
「えぇ。佐伯舞桜よ。覚えておいて…それで、君の名前教えてくれる?」
「…俺…すか?」
「そう君。」
「…御幸…一也です。」
名前を言えば、更に深くなる笑みに若干寒気を感じた。
「さっき奏と仲良さげに話してたでしょ?あの子と付き合ってるの?」
「…はい。」
「ふぅん……「瑞希先輩!!」もう、片岡君なぁに?」
いつも以上に険しい表情の監督に俺と倉持だけでなく、部員全員が固唾を飲んだ。
「いい加減にして下さい。これ以上は練習に支障が出ます。一度あちらでお話しましょう。」
「…相変わらず頑固者なんだから。仕方ないわね…奏と話させてくれるなら移動してあげる。」
「…っ。」
奏を見れば、さっきよりも蒼白した顔で怯えの色が見てとれる。
…さっきの怯えようはこういう事か。
「…御幸、藤堂を連れてきてもらえるか?」
「監督…!?」
「…良いな?」
「…はい。」
走って奏に近付く。
チラリと後ろを振り返れば、監督は哲さん達に何か指示をしていた。
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一也が近付いてきた。
…あの人と何話したの?
そんな事聞ける筈もなく私はただ俯くだけ。
「…奏、監督が呼んでるから行こう。」
『…あの人のとこなんか行きたくない。』
「…大丈夫。俺もいるから、な。」
泣きたいのを我慢して一也の顔を見つめれば、真剣だけど優しい眼差し。
私の手をギュッと繋ぐ。
手を引かれるまま、あの人の近くに行く。
…嫌……これ以上行きたくない。
「監督。」
「……すまない。」
片岡先生に謝られた…。
でも、それにすら反応出来ない私はただひたすら俯いて顔を見ない様にする。
「…久しぶりね、元気だったかしら?」
『……。』
「ちゃんとご飯食べてる?貴女、私に似て少食なんだから。」
『……のよ。』
「え?」
「奏?」
『何なのよ!さっきから!!今更、何しに来たのよ!!』
私は限界だったー。
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