変化
namechange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私達はあれから長野の赤城中に転校した。
長野は母の実家が近く、祖父母とも会える距離だった。
赤城中に来てから浩輔と志穂は新しく友達が出来た。
……どうやら野球部らしい。
「姉さん!今日も練習来るでしょ?」
『…浩輔、何度も言うけど野球詳しくないの。』
「えー!姉さんのトス丁度いい感じなんだけどなぁー。」
「私からもお願い!」
『志穂まで…』
どうも私は弟妹達の頼みには弱いみたい。
仕方なく動きやすい恰好をして練習に付き合う。
「2人とも遅ぇよ!」
「んだよ!そんな遅くないだろ!?」
「栄純だって遅刻すんじゃん!」
喧嘩し始める彼等を止めるのも私の役目かぁ…。
あ、ちなみに喧嘩の相手は同じ赤城中で野球部の投手である沢村栄純。
こうした喧嘩が始まると大体は私と栄純の幼馴染みの蒼月若菜が止める。
「もう止めなよ栄純!」
『栄純、私が来るの渋ってたから遅くなったの。2人は悪くないのよ?』
「うぐぐ……奏姉が言うなら……」
『ほら、練習するんでしょう?』
「奏姉に迷惑ばっかかけるんだから。」
『若菜も気にしないの。』
姉と慕ってくれる栄純達。
東京にいた頃より私は感情が素直に出ている気がした。
もう半年……一也達は元気かな…。
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
奏が引っ越して半年。
変わった事と言えば、最近の葛西は様子がおかしい。
「で、城崎は何か聞いてないの?」
「うーん…悠里ちゃん、確かに様子変だよね。でも何も聞いてないんだよ。」
「そっか、なら聞き出すしかないかー。」
丁度、練習中だったから呼び出せばこっちに来てくれる。
キョトンとしながら来た葛西の頭を鷲掴みして少しだけ凄んでみた。
「お前は何隠してんだ?吐け。」
「痛い!何すんのよ!!」
「良いから吐け。」
「何も隠してないっつーの!」
「最近のお前は投げても球速は無いし、コントロールだって少し落ちてる。それで何も隠してないとか言えんのかよ。」
「……。」
「何があったんだよ。」
それでも葛西は言い辛いのか、目線は合わせないまま。
城崎は隣で不安そうに見つめている。
そこへボールが転がってきた。
「悪い!葛西投げてくれ!!」
「え、あ、うん。」
葛西はいつもの様にボールを手に取り、腕を振るって投げた……が、ボールは届かず転がっていく。
思わず振り返れば、右肩を抑え膝を付いていた。
「悠里ちゃん!?」
「葛西!?」
俺達の声に監督も走ってくる。
いくら声掛けても返せない程の痛みなのか、脂汗が酷い。
コーチが病院まで連れてく事になった。
「…まさか、悠里ちゃん肩痛めてるんじゃ…。」
「何か心当たりあるのか?」
「…この前ね……」
城崎の話だと、子供が階段から落ちそうな所を庇って落ち肩を強打したらしい。
……アイツらしいっちゃらしいけど。
「あの様子だと、野球辞める事になりそうだな。」
「…うん。まともに投げられないんだもんね。」
「…あー、こんな時何て声掛けるべきか分かんねぇ。」
「奏ちゃんなら何て掛けたかな…。」
「…さぁな。」
たった半年で、声も忘れかけている。
当たり前か。
連絡すら取れないんだからな…。
元気でやってんのかな?
泣いてたりしなきゃ良い…。
「御幸君、コーチと悠里ちゃん戻ってきたよ!」
「!」
やっぱりというか葛西は肩を痛めていた。
本人は苦笑を漏らしながら“もう潮時だったんだよ、これからは皆をサポートする側に回る。”と言った。
なあ…奏、お前なら何て言った?
next
長野は母の実家が近く、祖父母とも会える距離だった。
赤城中に来てから浩輔と志穂は新しく友達が出来た。
……どうやら野球部らしい。
「姉さん!今日も練習来るでしょ?」
『…浩輔、何度も言うけど野球詳しくないの。』
「えー!姉さんのトス丁度いい感じなんだけどなぁー。」
「私からもお願い!」
『志穂まで…』
どうも私は弟妹達の頼みには弱いみたい。
仕方なく動きやすい恰好をして練習に付き合う。
「2人とも遅ぇよ!」
「んだよ!そんな遅くないだろ!?」
「栄純だって遅刻すんじゃん!」
喧嘩し始める彼等を止めるのも私の役目かぁ…。
あ、ちなみに喧嘩の相手は同じ赤城中で野球部の投手である沢村栄純。
こうした喧嘩が始まると大体は私と栄純の幼馴染みの蒼月若菜が止める。
「もう止めなよ栄純!」
『栄純、私が来るの渋ってたから遅くなったの。2人は悪くないのよ?』
「うぐぐ……奏姉が言うなら……」
『ほら、練習するんでしょう?』
「奏姉に迷惑ばっかかけるんだから。」
『若菜も気にしないの。』
姉と慕ってくれる栄純達。
東京にいた頃より私は感情が素直に出ている気がした。
もう半年……一也達は元気かな…。
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
奏が引っ越して半年。
変わった事と言えば、最近の葛西は様子がおかしい。
「で、城崎は何か聞いてないの?」
「うーん…悠里ちゃん、確かに様子変だよね。でも何も聞いてないんだよ。」
「そっか、なら聞き出すしかないかー。」
丁度、練習中だったから呼び出せばこっちに来てくれる。
キョトンとしながら来た葛西の頭を鷲掴みして少しだけ凄んでみた。
「お前は何隠してんだ?吐け。」
「痛い!何すんのよ!!」
「良いから吐け。」
「何も隠してないっつーの!」
「最近のお前は投げても球速は無いし、コントロールだって少し落ちてる。それで何も隠してないとか言えんのかよ。」
「……。」
「何があったんだよ。」
それでも葛西は言い辛いのか、目線は合わせないまま。
城崎は隣で不安そうに見つめている。
そこへボールが転がってきた。
「悪い!葛西投げてくれ!!」
「え、あ、うん。」
葛西はいつもの様にボールを手に取り、腕を振るって投げた……が、ボールは届かず転がっていく。
思わず振り返れば、右肩を抑え膝を付いていた。
「悠里ちゃん!?」
「葛西!?」
俺達の声に監督も走ってくる。
いくら声掛けても返せない程の痛みなのか、脂汗が酷い。
コーチが病院まで連れてく事になった。
「…まさか、悠里ちゃん肩痛めてるんじゃ…。」
「何か心当たりあるのか?」
「…この前ね……」
城崎の話だと、子供が階段から落ちそうな所を庇って落ち肩を強打したらしい。
……アイツらしいっちゃらしいけど。
「あの様子だと、野球辞める事になりそうだな。」
「…うん。まともに投げられないんだもんね。」
「…あー、こんな時何て声掛けるべきか分かんねぇ。」
「奏ちゃんなら何て掛けたかな…。」
「…さぁな。」
たった半年で、声も忘れかけている。
当たり前か。
連絡すら取れないんだからな…。
元気でやってんのかな?
泣いてたりしなきゃ良い…。
「御幸君、コーチと悠里ちゃん戻ってきたよ!」
「!」
やっぱりというか葛西は肩を痛めていた。
本人は苦笑を漏らしながら“もう潮時だったんだよ、これからは皆をサポートする側に回る。”と言った。
なあ…奏、お前なら何て言った?
next