サヨナラ
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昨晩、転校すると考えておいて。と言っていたけど父さんの中で確定だろう。
元より私達もそのつもりだ。
だけど……朝、一也と会っても言う事は出来なかった。
「今日朝から様子おかしいけど…どうした?」
『んー?一也、明後日の日曜は練習ある?』
「明後日?無いけど…」
『たまには一也と出掛けたいんだけど……駄目?』
今では私より身長が高くなった一也を覗き込めば、仄かに頬を赤くして頷いてくれた。
「(上目遣いは反則だろ…)良いよ。何時にする?」
『午後からの方がお店もやってるし。』
「分かった、じゃあ午後に家行くから。」
『うん。』
付き合ってから初めてのお出掛け。
所謂デートというもの。
…なんでだろう。
本当なら嬉しくてドキドキする筈なのに、こんなにも胸が苦しい。
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
日曜日
母さんに頼んで、いつもよりお洒落させてもらった。
多分、これが最初で最後のデートだろうから。
『待たせちゃったね。』
「大丈夫だって、ほら行くぞ。」
『…うん。』
一也が私に手を伸ばしてきた。
…これは手を繋ぐって事で良いんだよね?
おずおずと手を重ね、軽く握ればしっかりと握り返してくれた。
「何か見たいもんとかある?」
『気になる雑貨屋さんあるんだけど…良い?』
「構わないよ。」
駅からちょっと外れたとこにある雑貨屋さんは、前々から入ってみたかった。
中に入ると、種類豊富で目移りしてしまうほどだ。
「すげ…」
『う、うん……』
「好きなとこ見てて良いよ。」
『うん。』
私は一也から離れて見たいものを次々と見に行った。
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
奏が離れてから俺も店内をブラブラする。
「(珍しい物だらけだな。)」
どっかの国の物、何に使うか分からない物まで勢揃い。
1つを手にとって眺めたりする。
…こんな風に何かを考えてなきゃ、すぐに浮かんでくる。
このデートを誘ってくれた時の奏の顔は泣きそうな笑顔だったんだ。
「(何かあったのは確実なんだけど…聞き出せない。)」
聞いたら多分この関係は終わってしまいそうな気がする。
そしたら一生元には戻れない。
そんな考えを振り払う様に違う棚に目をやれば、そこにはピアノの形をしたオルゴールがあった。
「…へぇ、小物入れにもなってんのか。」
値段を見れば、全然高くないので俺はコッソリ買うことにした。
「(喜んでくれれば良いな。)」
包んでもらい受け取ってから奏を探すのに店内を回った。
…意外にも広いんだよなぁ…
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
一也から離れて見に来たのは、キーホルダーなどが売ってるコーナー。
『(これ可愛い。)』
四つ葉のクローバーが象られたキーホルダー。
色もそこそこあるので、お揃いで持てるかな。
『(…って、ずっと一緒にいられるわけじゃないのに。)』
引っ越したら私と一也は会わなくなる。
きっと一也は素敵な人と付き合って幸せになるのかな。
『(…今はこの時間を楽しまなきゃ。)』
気を紛らわして他を見る。
目についたのは帽子だった。
『これ、一也に似合いそう。』
シンプルなデザインの帽子。
一也が被っている姿を想像して1人頷いた。
店員さんに頼んで包装してもらい、一也を探す。
「あ、いた。」
『一也も何か買ったの?』
「秘密。そういう奏は?」
『私も秘密。』
2人でクスクス笑いながら店を出た。
あ、小物入れ欲しかったのに忘れた。
その後は少しお洒落なカフェに入って一也はアイスコーヒー、私はアイスティーを頼んだ。
…コーヒー飲めるんだね。
「駅前って結構変わったよな。」
『そうだね、一也なんか練習ばかりだったから余計そう思うでしょ。』
「うん、他に見たいとこは?」
『特にないかなぁ…。一也はある?』
「俺もないな。その辺ブラブラするか。」
『うん。』
カフェを出てから駅前をブラブラし、軽いウィンドウショッピング。
日も暮れて来たので帰る事にした。
「楽しかった?」
『うん!今日はありがとね。』
「また行こうな。練習ないときになるけど。」
一也の言葉に泣き出してしまいたくなった。
それを我慢して、買った帽子を渡す。
『はい、これあげる。』
「え、俺に?」
『他に誰がいるの?(笑)』
「…開けていい?」
『どうぞ。』
「お、帽子だ。」
『一也に似合うと思って…被ってみて?』
一也がその帽子を被ると似合っていたのでホッとした。
本人は嬉しそうだ。
「ありがとな、これ俺から。」
『…え?』
「奏が好きそうなもんあったから。開けてみて。」
袋を覗けば2つ包装されている物があった。
1つは小さい。
開けてみるとピアノの形をしたオルゴールと、私が手にとらなかった四つ葉のクローバーが象られたキーホルダー。
『…これ…』
「そのオルゴールは小物入れにもなってるんだよ、前々から欲しがってたよな?」
『…よく覚えてたね。』
「んで、こっちのキーホルダーは俺とお揃い。」
『………っ。』
駄目だ。
泣きそうなのを見られたくなくて顔を下に向けた。
「…あー…いらなかった?」
『…ううん、凄く可愛い。ありがとう。』
「なら良かった…。」
『大事にする。』
「俺も帽子大事にするよ。」
軽くキスをして一也と別れる。
私は急いで部屋に入り、オルゴールとキーホルダーを抱えて泣いた。
…別れ話すら出来ない私は臆病者だ。
帽子なんかあげて忘れられない様にしてるだけ。
ごめんなさい……。
引っ越しは2週間後ー。
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元より私達もそのつもりだ。
だけど……朝、一也と会っても言う事は出来なかった。
「今日朝から様子おかしいけど…どうした?」
『んー?一也、明後日の日曜は練習ある?』
「明後日?無いけど…」
『たまには一也と出掛けたいんだけど……駄目?』
今では私より身長が高くなった一也を覗き込めば、仄かに頬を赤くして頷いてくれた。
「(上目遣いは反則だろ…)良いよ。何時にする?」
『午後からの方がお店もやってるし。』
「分かった、じゃあ午後に家行くから。」
『うん。』
付き合ってから初めてのお出掛け。
所謂デートというもの。
…なんでだろう。
本当なら嬉しくてドキドキする筈なのに、こんなにも胸が苦しい。
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日曜日
母さんに頼んで、いつもよりお洒落させてもらった。
多分、これが最初で最後のデートだろうから。
『待たせちゃったね。』
「大丈夫だって、ほら行くぞ。」
『…うん。』
一也が私に手を伸ばしてきた。
…これは手を繋ぐって事で良いんだよね?
おずおずと手を重ね、軽く握ればしっかりと握り返してくれた。
「何か見たいもんとかある?」
『気になる雑貨屋さんあるんだけど…良い?』
「構わないよ。」
駅からちょっと外れたとこにある雑貨屋さんは、前々から入ってみたかった。
中に入ると、種類豊富で目移りしてしまうほどだ。
「すげ…」
『う、うん……』
「好きなとこ見てて良いよ。」
『うん。』
私は一也から離れて見たいものを次々と見に行った。
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奏が離れてから俺も店内をブラブラする。
「(珍しい物だらけだな。)」
どっかの国の物、何に使うか分からない物まで勢揃い。
1つを手にとって眺めたりする。
…こんな風に何かを考えてなきゃ、すぐに浮かんでくる。
このデートを誘ってくれた時の奏の顔は泣きそうな笑顔だったんだ。
「(何かあったのは確実なんだけど…聞き出せない。)」
聞いたら多分この関係は終わってしまいそうな気がする。
そしたら一生元には戻れない。
そんな考えを振り払う様に違う棚に目をやれば、そこにはピアノの形をしたオルゴールがあった。
「…へぇ、小物入れにもなってんのか。」
値段を見れば、全然高くないので俺はコッソリ買うことにした。
「(喜んでくれれば良いな。)」
包んでもらい受け取ってから奏を探すのに店内を回った。
…意外にも広いんだよなぁ…
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一也から離れて見に来たのは、キーホルダーなどが売ってるコーナー。
『(これ可愛い。)』
四つ葉のクローバーが象られたキーホルダー。
色もそこそこあるので、お揃いで持てるかな。
『(…って、ずっと一緒にいられるわけじゃないのに。)』
引っ越したら私と一也は会わなくなる。
きっと一也は素敵な人と付き合って幸せになるのかな。
『(…今はこの時間を楽しまなきゃ。)』
気を紛らわして他を見る。
目についたのは帽子だった。
『これ、一也に似合いそう。』
シンプルなデザインの帽子。
一也が被っている姿を想像して1人頷いた。
店員さんに頼んで包装してもらい、一也を探す。
「あ、いた。」
『一也も何か買ったの?』
「秘密。そういう奏は?」
『私も秘密。』
2人でクスクス笑いながら店を出た。
あ、小物入れ欲しかったのに忘れた。
その後は少しお洒落なカフェに入って一也はアイスコーヒー、私はアイスティーを頼んだ。
…コーヒー飲めるんだね。
「駅前って結構変わったよな。」
『そうだね、一也なんか練習ばかりだったから余計そう思うでしょ。』
「うん、他に見たいとこは?」
『特にないかなぁ…。一也はある?』
「俺もないな。その辺ブラブラするか。」
『うん。』
カフェを出てから駅前をブラブラし、軽いウィンドウショッピング。
日も暮れて来たので帰る事にした。
「楽しかった?」
『うん!今日はありがとね。』
「また行こうな。練習ないときになるけど。」
一也の言葉に泣き出してしまいたくなった。
それを我慢して、買った帽子を渡す。
『はい、これあげる。』
「え、俺に?」
『他に誰がいるの?(笑)』
「…開けていい?」
『どうぞ。』
「お、帽子だ。」
『一也に似合うと思って…被ってみて?』
一也がその帽子を被ると似合っていたのでホッとした。
本人は嬉しそうだ。
「ありがとな、これ俺から。」
『…え?』
「奏が好きそうなもんあったから。開けてみて。」
袋を覗けば2つ包装されている物があった。
1つは小さい。
開けてみるとピアノの形をしたオルゴールと、私が手にとらなかった四つ葉のクローバーが象られたキーホルダー。
『…これ…』
「そのオルゴールは小物入れにもなってるんだよ、前々から欲しがってたよな?」
『…よく覚えてたね。』
「んで、こっちのキーホルダーは俺とお揃い。」
『………っ。』
駄目だ。
泣きそうなのを見られたくなくて顔を下に向けた。
「…あー…いらなかった?」
『…ううん、凄く可愛い。ありがとう。』
「なら良かった…。」
『大事にする。』
「俺も帽子大事にするよ。」
軽くキスをして一也と別れる。
私は急いで部屋に入り、オルゴールとキーホルダーを抱えて泣いた。
…別れ話すら出来ない私は臆病者だ。
帽子なんかあげて忘れられない様にしてるだけ。
ごめんなさい……。
引っ越しは2週間後ー。
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