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授業中の事ー
コン
奏の頭に何かが飛んできた。
丸めた紙だ。
それを広げて目を見開く。
“学校来んな”
『(……ありきたりすぎるでしょ。)』
驚いたのは一瞬で冷めた表情に戻る。
あらぬ噂で手の平を返したように態度を変えたクラスメイト。
溜め息しか出ない。
コン
また紙が飛んできた。
今度は何だと言いたげに開くと…
“猫被ってんな、とっとと御幸君と別れろ”
流石にカチンと来たのか奏は余白に何かを書き、飛んできたであろう方向にポイッと投げた。
それは綺麗に後方の女子生徒の元へ。
彼女もまさか返ってくるとは思わなかったのか、驚いて紙を開いた。
“くだらない事言ってないで授業集中したら?”
そこから何故か始まった手紙のやり取り。
“は?図星で何も言い返せないの?”
“図星も何も、よく分からないくせに好き放題言ってるだけでしょ”
“目撃情報たくさんあるし”
“たかが目撃したってだけでそこまで広げられる貴女達の想像力が凄いわ”
“モノまで貰ってるくせに、どうせ身体でも売ってんでしょ”
“馬鹿げた事言うのは勝手だけど、まず成績で私に勝ってから言ったら?こんな事ばかりしてるから毎回テスト結果下の方なんでしょ。確か貴女みたいなの、おつむが弱いって言うんだっけ?”
ガタン!
「なんですって!!」
言われた事に激昂した女子生徒は席から立ち上がり声を張り上げた。
勿論、それを先生が見逃す筈もなく
「何だ?今授業中だぞ!」
「え、や…先生にじゃなくて…」
怒られクラスから笑い者にされてしまった。
座る際に奏を睨んでも本人は素知らぬ顔で授業を受けていた。
ーーーーーーー
ーーー
ー
「やっと昼休みだー!」
「奏ちゃん、どこで話すの?」
『一也来るまで待ってよ。』
とタイミングよく一也が教室に入ってきた。
「遅い!」
「全然遅くねぇって…」
「それで、御幸君どこで話すの?」
「…外で良いか?」
『…話せるならどこだっていいよ』
4人で廊下を歩けば、ジロジロ見られ聞こえるぐらいの声で話し始めた。
「よくもまぁ平気な顔で堂々としてられるよね。」
「身体売ってるらしいじゃん」
「えー、じゃあ御幸君の事は弄んでるのー?」
それに言い返そうとする悠里と莉愛を奏は止めて、ちらりと隣の一也を見ればグッと拳を握っていた。
それを両手で包み静かに首を横に振る。
「…奏…」
『…一也達が怒ることないよ、好きに言わせとけば良いから…それより早く行こ。』
3人の背中を押して再び歩き出す。
外へ出てから周りに人がいない事を確認し、向き合って話を始めた。
藤堂家の養子である事、本当の母親に虐待されていた事、会っていた実父の事。
話し終えれば悠里と莉愛に抱き締められた。
「…ごめん…」
『え?』
「私も莉愛も、噂を信じてた……!」
「奏ちゃんがそんな事しないって分かってたのに…」
『…ううん、私がもっと早く話してれば良かったんだよ。』
「そういえば、貰ってた物って何だったんだ?」
思い出した様に一也が言う。
奏自身も忘れていた。
『……プレゼント』
「プレゼント?」
「何の?」
『誕生日プレゼント。』
「…誕生日まだだよな?」
『うん、去年までの誕生日プレゼント。』
“去年まで”
それは1つだけではない事が伺える。
「結構な量じゃない!」
「奏ちゃん、それ全部もらったの?」
『小さい子が持つ様な物は貰わなかったよ。向こうも今の年齢に合わせた物をって言ってたし。』
「まあ、確かにな。」
「でもさ、この噂はどうやって止めるの?」
真実を知ってるのは一也達だけ。
『その内飽きて収まると思うから。』
「こんな手紙貰っても尚収まると?」
『…それ……何で?』
一也の手には先ほど授業中にやり取りした手紙が。
急いでポケットを漁るが無くなっている。
「さっき落ちてたから拾ったんたけど、お前何で隠してたわけ?」
『いや……隠してたわけじゃ……』
「この手紙の内容だと、暫くやり取りしてたって感じだよなぁ……詳しく話せ。」
『……え……』
一也の雰囲気に奏だけでなく、悠里と莉愛も固まっている。
どう考えても逃がしてくれなさそうなので、仕方なく授業中のやり取りを話した。
「あ、だからあの子急に怒りだしたんだ。」
「ウチら席離れてたし気付かなかった。でも先生に怒られてザマァって感じ(笑)」
『…良いタイミングで先生見てたよね。』
「…バカ。」
『…は?』
「お前そんなバカだったか?」
『…えぇ?』
「授業中だとか関係なく後々の事考えて見ろ。呼び出されて下手したら殴られたりすんだぞ!?」
『…だい…「大丈夫とか言うなよ?」うっ…』
困った表情で悠里達に助けを求めても、2人も苦笑いをする。
『…何かあったらちゃんと言うし、私だって黙ってやられるような子じゃないよ?』
「何かあってからじゃ遅いって前にも言っただろ。」
「ほ、ほら!休み時間とかは私も莉愛もいるし、御幸だって一緒じゃん!」
「それに放課後は私が奏ちゃんと一緒に帰るから手出し出来ないよ?」
出来る限り奏を1人にしないという事で一也を納得させて、チャイムが鳴る前にクラスへと戻った。
しかし状況が更に悪化してるとは誰も予想してはいなかった。
next
コン
奏の頭に何かが飛んできた。
丸めた紙だ。
それを広げて目を見開く。
“学校来んな”
『(……ありきたりすぎるでしょ。)』
驚いたのは一瞬で冷めた表情に戻る。
あらぬ噂で手の平を返したように態度を変えたクラスメイト。
溜め息しか出ない。
コン
また紙が飛んできた。
今度は何だと言いたげに開くと…
“猫被ってんな、とっとと御幸君と別れろ”
流石にカチンと来たのか奏は余白に何かを書き、飛んできたであろう方向にポイッと投げた。
それは綺麗に後方の女子生徒の元へ。
彼女もまさか返ってくるとは思わなかったのか、驚いて紙を開いた。
“くだらない事言ってないで授業集中したら?”
そこから何故か始まった手紙のやり取り。
“は?図星で何も言い返せないの?”
“図星も何も、よく分からないくせに好き放題言ってるだけでしょ”
“目撃情報たくさんあるし”
“たかが目撃したってだけでそこまで広げられる貴女達の想像力が凄いわ”
“モノまで貰ってるくせに、どうせ身体でも売ってんでしょ”
“馬鹿げた事言うのは勝手だけど、まず成績で私に勝ってから言ったら?こんな事ばかりしてるから毎回テスト結果下の方なんでしょ。確か貴女みたいなの、おつむが弱いって言うんだっけ?”
ガタン!
「なんですって!!」
言われた事に激昂した女子生徒は席から立ち上がり声を張り上げた。
勿論、それを先生が見逃す筈もなく
「何だ?今授業中だぞ!」
「え、や…先生にじゃなくて…」
怒られクラスから笑い者にされてしまった。
座る際に奏を睨んでも本人は素知らぬ顔で授業を受けていた。
ーーーーーーー
ーーー
ー
「やっと昼休みだー!」
「奏ちゃん、どこで話すの?」
『一也来るまで待ってよ。』
とタイミングよく一也が教室に入ってきた。
「遅い!」
「全然遅くねぇって…」
「それで、御幸君どこで話すの?」
「…外で良いか?」
『…話せるならどこだっていいよ』
4人で廊下を歩けば、ジロジロ見られ聞こえるぐらいの声で話し始めた。
「よくもまぁ平気な顔で堂々としてられるよね。」
「身体売ってるらしいじゃん」
「えー、じゃあ御幸君の事は弄んでるのー?」
それに言い返そうとする悠里と莉愛を奏は止めて、ちらりと隣の一也を見ればグッと拳を握っていた。
それを両手で包み静かに首を横に振る。
「…奏…」
『…一也達が怒ることないよ、好きに言わせとけば良いから…それより早く行こ。』
3人の背中を押して再び歩き出す。
外へ出てから周りに人がいない事を確認し、向き合って話を始めた。
藤堂家の養子である事、本当の母親に虐待されていた事、会っていた実父の事。
話し終えれば悠里と莉愛に抱き締められた。
「…ごめん…」
『え?』
「私も莉愛も、噂を信じてた……!」
「奏ちゃんがそんな事しないって分かってたのに…」
『…ううん、私がもっと早く話してれば良かったんだよ。』
「そういえば、貰ってた物って何だったんだ?」
思い出した様に一也が言う。
奏自身も忘れていた。
『……プレゼント』
「プレゼント?」
「何の?」
『誕生日プレゼント。』
「…誕生日まだだよな?」
『うん、去年までの誕生日プレゼント。』
“去年まで”
それは1つだけではない事が伺える。
「結構な量じゃない!」
「奏ちゃん、それ全部もらったの?」
『小さい子が持つ様な物は貰わなかったよ。向こうも今の年齢に合わせた物をって言ってたし。』
「まあ、確かにな。」
「でもさ、この噂はどうやって止めるの?」
真実を知ってるのは一也達だけ。
『その内飽きて収まると思うから。』
「こんな手紙貰っても尚収まると?」
『…それ……何で?』
一也の手には先ほど授業中にやり取りした手紙が。
急いでポケットを漁るが無くなっている。
「さっき落ちてたから拾ったんたけど、お前何で隠してたわけ?」
『いや……隠してたわけじゃ……』
「この手紙の内容だと、暫くやり取りしてたって感じだよなぁ……詳しく話せ。」
『……え……』
一也の雰囲気に奏だけでなく、悠里と莉愛も固まっている。
どう考えても逃がしてくれなさそうなので、仕方なく授業中のやり取りを話した。
「あ、だからあの子急に怒りだしたんだ。」
「ウチら席離れてたし気付かなかった。でも先生に怒られてザマァって感じ(笑)」
『…良いタイミングで先生見てたよね。』
「…バカ。」
『…は?』
「お前そんなバカだったか?」
『…えぇ?』
「授業中だとか関係なく後々の事考えて見ろ。呼び出されて下手したら殴られたりすんだぞ!?」
『…だい…「大丈夫とか言うなよ?」うっ…』
困った表情で悠里達に助けを求めても、2人も苦笑いをする。
『…何かあったらちゃんと言うし、私だって黙ってやられるような子じゃないよ?』
「何かあってからじゃ遅いって前にも言っただろ。」
「ほ、ほら!休み時間とかは私も莉愛もいるし、御幸だって一緒じゃん!」
「それに放課後は私が奏ちゃんと一緒に帰るから手出し出来ないよ?」
出来る限り奏を1人にしないという事で一也を納得させて、チャイムが鳴る前にクラスへと戻った。
しかし状況が更に悪化してるとは誰も予想してはいなかった。
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