試合
namechange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
放課後ー
「ほら!御幸早く行くよ!」
「はいはい。」
『…2人とも頑張ってね。』
早々に教室を出て行く一也と悠里を見送って自分も帰る支度をする奏。
『(確か…今日は父さん達いるんだっけ?)』
「ねぇ。」
声を掛けられ振り返れば莉愛がそこに立っていた。
それだけで一切の感情が無くなる。
『……何か?』
「…そこまで無表情になれる藤堂さんが凄いね。」
『……で?』
「一緒に帰らない?」
『は?』
突然の申し出に無表情だった顔はポカンとしてしまった。
「わ!何か今の表情新鮮!!」
『…何で一緒に帰るの?』
「良いから。」
莉愛に手を引かれ教室を出れば、周りの生徒達は物珍しさに目を向けてくる。
『…ちょっ……凄く注目されてるんだけど…!』
「そりゃ、この組み合わせはレア過ぎるからね~。」
『…目立ちたくないのに…』
「ほら、靴履いて。」
『……はぁ…』
あまりの強引さに疲れ果てて抵抗する気も失せたのか、素直に莉愛の言葉に従い通学路を歩く。
『……それで、何か話したい事でも?』
「察しが速くて助かるわ。今朝、友達がごめんね?」
『…今朝?……あぁ、別に。昨日の放課後呼び出し喰らったし。』
「え!?」
『……知らないの?』
「知らないよ!あちゃー……もっとキツく言えば良かったなぁ…。」
後頭部を掻きながら苦い顔をする莉愛。
やはりというか、彼女らの独断でやった事だと分かった。
『そもそも、貴女が嘘付かなければ良かったんじゃない?』
「…うーん、元々ね告白すら嘘だったの。」
『はい?』
「友達と一緒に誰が良いか何て話で盛り上がって、面倒くさいから適当に御幸君って言ったらこんな展開になった。」
『……』
「あ!でもね、御幸君には一発でバレたよ?彼かなり性格悪いよね。知った上で更に追い討ちかけてくるんだもん。だから内心この野郎って思って、どうにかして一泡吹かせてやろうって考えて行動したのがコレ。」
“だから藤堂さんが嫌いってわけじゃないの。ごめんね。”
そう言う割には本気とも取れる睨みだったと思い返す。
『……じゃあ、あの嫌な笑顔と睨みは何?』
「あー……藤堂さんて御幸君の事好きでしょ?」
『……』
「無言は肯定と取るよ?」
『……好きにすれば』
「それで、どんな反応するか見てみたかったの。でも睨んだのはごめんね。私さ実は視力かなり悪くて、その日たまたまコンタクト落としちゃって見えなかったの。」
口元が引くついてるのが分かる。
本気で警戒した自分が馬鹿みたいだ。
「本当にごめんなさい。」
『……えと、私もごめんなさい。』
「え?」
『あの時、手を叩いたから…』
「ううん!元々私が悪いんだから気にしないで。そうだ!奏ちゃんって呼んで良い?」
『……え?』
「仲良くしたいのは本当なんだよ。こんな事しておいて虫が良すぎるのも分かってるけど、私の周りの子達は上辺だけの付き合いって感じだし…一緒に勉強したり帰ったりしたかったんだよね。」
『…城崎さん……』
「あはは……今更かもしれないけど、友達になってください。嫌だったら断ってね。」
あの時とは違う可愛らしい笑顔。
嫌な気は全くしなかった。
『……私で…良ければ…。』
「本当!?」
『う、うん……』
「なら私の事も莉愛って呼んで。御幸君とかいない時は一緒に帰りたい!」
『……うん。宜しくね莉愛。』
一也と出会ってから人との繋がりが増えた気がした。
あの頃とは違う。
自分の感情を出しても誰も文句を言わないし、こんな性格の自分を認めてくれる。
少しずつ確かに変わっていっていると実感出来た。
「じゃあ私こっちだから、また来週ね!」
『うん、またね。』
莉愛と別れ、家の近くまで来ると丁度一也と一也のチームメイト+親に会った。
「あれ?奏もしかして今帰り?」
『…うん、一也も?』
「そ。」
「こんにちは奏ちゃん。」
『……こんにちは。』
「そうだ、奏明日空いてる?」
『え、空いてるけど……』
「試合あるんだ!見に来いよ。」
『試合…』
「丸亀シニアとの試合!」
一也のチームメイト曰わく強豪シニアらしい。
一也本人は凄く楽しそうだが、他2人は余程嫌なのだろう。
「一也君は頼もしいなぁ」
「だって、一也は本気だもん。」
「関心してる場合か、お前も少しは一也君を見習え。」
『……一也を見習ったら単なる野球馬鹿になりそ。』ボソッ
「…聞こえてんぞ。」
『…さて、私は家に帰りますかね。』
「あ!逃げんな!」
一也から逃げる様に自宅へ入れば、何故か静けさを纏っていた。
『あれ?浩輔達まだ帰ってきてないのかな。』
そう、いつもなら浩輔と志穂の騒がしい声が聞こえる。
リビングに行くとテーブルの上に置き手紙が。
『ん?何々…“今日は監督がご飯ご馳走してくれるから行ってきます”…?』
筆跡からして浩輔だ。
もう1枚の手紙には…
『“お姉ちゃんはカズ兄とご飯食べてね!折角2人っきりなんだから頑張って!!”……志穂め。』
仕方ないと思い、もう一度一也の元へ向かった。
ピンポーン
「はい。」
『一也、一緒にご飯食べませんか?』
「は?奏、急にどうした??」
『……浩輔も志穂も監督がご飯ご馳走してくれるからって行っちゃっていないの。』
「おじさん達は?」
『…今日、帰れないって。』
シュンと落ち込んだ様子の奏を上がらせて、一也は笑いながら言った。
「丁度これから作るとこだったんだ、一緒に食べよう。」
『…有り難う。』
それから2人は一也の作ったチャーハンを食べ、明日の試合の話をしたりして楽しんだ。
next
「ほら!御幸早く行くよ!」
「はいはい。」
『…2人とも頑張ってね。』
早々に教室を出て行く一也と悠里を見送って自分も帰る支度をする奏。
『(確か…今日は父さん達いるんだっけ?)』
「ねぇ。」
声を掛けられ振り返れば莉愛がそこに立っていた。
それだけで一切の感情が無くなる。
『……何か?』
「…そこまで無表情になれる藤堂さんが凄いね。」
『……で?』
「一緒に帰らない?」
『は?』
突然の申し出に無表情だった顔はポカンとしてしまった。
「わ!何か今の表情新鮮!!」
『…何で一緒に帰るの?』
「良いから。」
莉愛に手を引かれ教室を出れば、周りの生徒達は物珍しさに目を向けてくる。
『…ちょっ……凄く注目されてるんだけど…!』
「そりゃ、この組み合わせはレア過ぎるからね~。」
『…目立ちたくないのに…』
「ほら、靴履いて。」
『……はぁ…』
あまりの強引さに疲れ果てて抵抗する気も失せたのか、素直に莉愛の言葉に従い通学路を歩く。
『……それで、何か話したい事でも?』
「察しが速くて助かるわ。今朝、友達がごめんね?」
『…今朝?……あぁ、別に。昨日の放課後呼び出し喰らったし。』
「え!?」
『……知らないの?』
「知らないよ!あちゃー……もっとキツく言えば良かったなぁ…。」
後頭部を掻きながら苦い顔をする莉愛。
やはりというか、彼女らの独断でやった事だと分かった。
『そもそも、貴女が嘘付かなければ良かったんじゃない?』
「…うーん、元々ね告白すら嘘だったの。」
『はい?』
「友達と一緒に誰が良いか何て話で盛り上がって、面倒くさいから適当に御幸君って言ったらこんな展開になった。」
『……』
「あ!でもね、御幸君には一発でバレたよ?彼かなり性格悪いよね。知った上で更に追い討ちかけてくるんだもん。だから内心この野郎って思って、どうにかして一泡吹かせてやろうって考えて行動したのがコレ。」
“だから藤堂さんが嫌いってわけじゃないの。ごめんね。”
そう言う割には本気とも取れる睨みだったと思い返す。
『……じゃあ、あの嫌な笑顔と睨みは何?』
「あー……藤堂さんて御幸君の事好きでしょ?」
『……』
「無言は肯定と取るよ?」
『……好きにすれば』
「それで、どんな反応するか見てみたかったの。でも睨んだのはごめんね。私さ実は視力かなり悪くて、その日たまたまコンタクト落としちゃって見えなかったの。」
口元が引くついてるのが分かる。
本気で警戒した自分が馬鹿みたいだ。
「本当にごめんなさい。」
『……えと、私もごめんなさい。』
「え?」
『あの時、手を叩いたから…』
「ううん!元々私が悪いんだから気にしないで。そうだ!奏ちゃんって呼んで良い?」
『……え?』
「仲良くしたいのは本当なんだよ。こんな事しておいて虫が良すぎるのも分かってるけど、私の周りの子達は上辺だけの付き合いって感じだし…一緒に勉強したり帰ったりしたかったんだよね。」
『…城崎さん……』
「あはは……今更かもしれないけど、友達になってください。嫌だったら断ってね。」
あの時とは違う可愛らしい笑顔。
嫌な気は全くしなかった。
『……私で…良ければ…。』
「本当!?」
『う、うん……』
「なら私の事も莉愛って呼んで。御幸君とかいない時は一緒に帰りたい!」
『……うん。宜しくね莉愛。』
一也と出会ってから人との繋がりが増えた気がした。
あの頃とは違う。
自分の感情を出しても誰も文句を言わないし、こんな性格の自分を認めてくれる。
少しずつ確かに変わっていっていると実感出来た。
「じゃあ私こっちだから、また来週ね!」
『うん、またね。』
莉愛と別れ、家の近くまで来ると丁度一也と一也のチームメイト+親に会った。
「あれ?奏もしかして今帰り?」
『…うん、一也も?』
「そ。」
「こんにちは奏ちゃん。」
『……こんにちは。』
「そうだ、奏明日空いてる?」
『え、空いてるけど……』
「試合あるんだ!見に来いよ。」
『試合…』
「丸亀シニアとの試合!」
一也のチームメイト曰わく強豪シニアらしい。
一也本人は凄く楽しそうだが、他2人は余程嫌なのだろう。
「一也君は頼もしいなぁ」
「だって、一也は本気だもん。」
「関心してる場合か、お前も少しは一也君を見習え。」
『……一也を見習ったら単なる野球馬鹿になりそ。』ボソッ
「…聞こえてんぞ。」
『…さて、私は家に帰りますかね。』
「あ!逃げんな!」
一也から逃げる様に自宅へ入れば、何故か静けさを纏っていた。
『あれ?浩輔達まだ帰ってきてないのかな。』
そう、いつもなら浩輔と志穂の騒がしい声が聞こえる。
リビングに行くとテーブルの上に置き手紙が。
『ん?何々…“今日は監督がご飯ご馳走してくれるから行ってきます”…?』
筆跡からして浩輔だ。
もう1枚の手紙には…
『“お姉ちゃんはカズ兄とご飯食べてね!折角2人っきりなんだから頑張って!!”……志穂め。』
仕方ないと思い、もう一度一也の元へ向かった。
ピンポーン
「はい。」
『一也、一緒にご飯食べませんか?』
「は?奏、急にどうした??」
『……浩輔も志穂も監督がご飯ご馳走してくれるからって行っちゃっていないの。』
「おじさん達は?」
『…今日、帰れないって。』
シュンと落ち込んだ様子の奏を上がらせて、一也は笑いながら言った。
「丁度これから作るとこだったんだ、一緒に食べよう。」
『…有り難う。』
それから2人は一也の作ったチャーハンを食べ、明日の試合の話をしたりして楽しんだ。
next