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別人の記憶があるヴィンスモーク・ヨンジの話(op)

始まり




海賊だった。夢があった。仲間がいた。好きな奴がいた。弟のような奴がいた。

そいつらを守るために、戦って戦って戦って死んだ。

未練は、無かった。









おれの名はヴィンスモーク・ヨンジ。


別人の記憶がある。


ある海賊の、一生の記憶。
自身ではない、誰か知らない人間のもの。
遺伝子改造の副作用、あるいはただの夢かと思っていたが、過去の新聞記事にそれは否定された。

気づいてからは、よく彼の記憶を掘り起こすようになった。優秀なこの頭は何日経っても記憶の一片も忘れることはなく、思い出すのに問題はなかった。
それに彼の記憶は便利だった。考古学の知識に戦闘技術、駆け引き。
全て有用に活用していけば、いずれは、


いずれは――


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