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原作展開に飽き飽きしているデイダラの話(nrt)

俺が小学生なら泣いてるからな




あれから一月が経ち、幾分か離れた土地に新しい居城を作った。勿論罠は一杯設置してあるし、前回はつけていなかった結界もつけた。新しい秘策も用意した。
これでもう安心だ!!と思ったが、当然暁はそんなに簡単なわけもなく、バリィイインという甲高い音と共に、突然結界が削り破られた。勿論俺が丸一日かけた結界全てである。鮫肌絶対に許さないからなおいコラ。

はぁ?となる俺だがその程度では終わらない。
居城の前に立った暁の三人の内、イタチが写輪眼で俺本体の大体の位置を捕捉。報告を受けた鬼鮫はその捕捉通りに〝水遁 水鮫弾の術〟で居城に大穴を開け、罠ガン無視の直通通路を作り出した。ご丁寧に鬼鮫の水遁にサソリが人傀儡の雷遁を流し込んで俺の起爆粘土も無効化してやがる。(前回の地雷をしっかり観察されていたのだろう。雷遁が弱点だとバレてやがる。)
もはやキレそう。お前が雑にばら蒔くからだろとか言う意見は聞き入れない。

開けられた大穴を通って、暁の三人が悠々と最深部まで登ってくる。丹精込めて作った罠を無視して。


…いや、ふざけんなよ?
俺めちゃくちゃ一生懸命作ったのよ?

「何やらまた作っていたようですが、全部ムダになってしまいましたねぇ?」

移動期間四日、構想期間二週間、建設期間半月で色々頑張って考えて用意したのよ?

「手こずらせやがってこのクソガキィ…。」

こんな迷路の壁全部ぶっ壊してゴールしま~す(笑)みたいなさぁ?そういうのさぁ??

「さあ、ついてきてもらおうか。」


本当に意味わかんないんだけど。


「はぁー……。」


大きくため息を吐きながら、ゆらりと立ち上がる。
警戒が強くなるのを肌で感じるが、視線の一つも向けずに、天井を見上げた。


「…頑張って作ったのに。」


――トプン


一秒も経たない内に、俺は床に、と言うよりも起爆粘土に飲み込まれた。





突然下から生えてきた起爆粘土が、デイダラを包み込んで消えた。

「あのガキ…、また追いかけなくちゃなんねェのか…?」
「いいえ、まだデイダラは動いていません。」
「…説明していただいても?」

鮫肌を肩にかけにっこりと笑う鬼鮫に、イタチは床から写輪眼を離さないまま答える。

「この下に、起爆粘土で埋められた細い通路があります。おそらくデイダラ専用の逃げ道でしょう。ですが、俺の写輪眼がある以上どちらに逃げたかバレてしまう。それをデイダラも分かっていて、途中で動きを止めている様です。」
「…なら、床かち割って雷遁流して引っこ抜いてやりゃァ良いか?」
「はい、それが一番確実に――」
『いやいやそんなことされたら困るって本当止めよ?』

気配を感じさせることもなく突然響いた声に、三人は素早く距離をとって様子を見る。
イタチの言う通路の出入口であろう場所に、デイダラが生えていた。しかし膝から下は起爆粘土のままで、明らかに、以前使われていたのと同じ囮だと分かる。

『もー俺の〝時間稼ぎ〟っていう立派な任務を邪魔しないでよね!!』

ぷりぷりと頬を膨らませる分身に、サソリは無言で雷刀を頭に突き刺した。本来の土遁であれば弱点である雷遁を流し込まれ無力化するはずだが、分身は一向に黙る気配はない。

『急に刺すとかそういうことする?酷くない??そんなだからモテないんだよサソリのおじさんは』
「黙れ死ね」
「ほぉ…、前回の地雷とは違って弱点を克服してきましたか、中々やりますねぇ。」
「なるほど、粘土の中に多量の風遁を混ぜ込んで暫くの間雷遁の耐性を得る、か…大した奴だ。」
『流石鬼鮫のおじさんとイタチのお兄さん分かってるぅ!
……てか、思ったよりのんびり話してるけどいいの?あっもしかして漸く見逃してくれる気に…!』
「それはないから安心してくれ。」
『うん安心できないね?』

分身の言うとおり、大体の位置を把握しているにも関わらず、鬼鮫もイタチも、あのサソリでさえ動こうとしなかった。

『俺が言うのもなんだけど今時間稼ぎしてるんだよ?鮫肌で俺のチャクラ削ったり色々やんないの?』
「外の結界のように削れば何かしら爆発するんでしょう?」
『まあね!!デイダラだもの!!みつを!!』
「それに俺達は〝待ってる〟んじゃねェ、尋問をしてるだけだ…。」

サソリが苛立たしそうにヒルコの尾を揺らした。それを諌めるようにイタチが一歩前へ出る。


「お前はどこまで知っている。」


嘘は許さない、という風に写輪眼でまっすぐと見つめられ、笑みを崩さないまま分身は・・・あー俺まずったかなーと思案した。


――〝暁〟とか本当困るんだよねぇ
――これだからビックネームは
暁が何か既に知っているかのような振舞い

――鬼鮫のおじさんならこの怖さ分かるでしょ?
――自分がたくさん待たされたから?
――俺弟とか居ないしさぁ
過去や経歴を全て知っているかのような振舞い


『……』
「場合によってはお前を殺すことになるだろう。…もう一度聞こう、お前はどこまで知っている?」

分身は笑顔のまま数秒黙り、ゆっくりと口を開いた。

『…大雑把に言えば半分かな。残りはまだ裏取り中。
あっどこで知ったかなんて質問はナンセンスだよ!俺が頑張って構築した情報網だからね!!』
「……」

ドヤ顔でウインクをする分身にイタチ達の目が冷たくなるが、然程気にしてはいないようだった。
笑みを深め、大きく声を張り上げる。


『さてそろそろ宴もたけなわお開きの時間にござい!!』


瞬間、鬼鮫が鮫肌で分身の根本を削り、サソリが傀儡で壁に張り付け、イタチが天照で燃やす。

『されど裾引く暁の皆様方!』

しかし分身の口は止まらない。

『その思いに答え我ら分身から忠告を一つ!!』

ぶちぶちと嫌な音をたてて、押さえ込む傀儡もお構いなしに無理やり腕をあげる。
殆ど黒炎に覆われた指で、彼らを指さし告げた。



『おごるな』



部屋が閃光に包まれた。


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