向かう先には光輝く世界
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キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
『...ん...んん』
あー眠っ。
まだ眠い。
葵と話をして
そのまま授業を受けたが
なんか調子が出ず次の授業はサボることにして
初めて屋上に上がってみた。
入り口から1番遠く出入口からは
視覚となる日向を選び
腰を下ろし遠くの空を眺めていた。
今日は、晴天。
雲ひとつない。
暑くもなく寒くもなく
太陽がいい感じに体を暖めてくれる。
『...大地。ごめんね。私まだダメみたいだ』
空に向かって手を伸ばし呟く。
返事なんて返ってこないのは分かってる。
でも口に出さずにはいられなかった。
『今日もいい天気だね〜。そっちはどうなんだろうね〜。天気とか関係あるのかなー?』
手を下ろしそっと目を閉じると
聞こえてくる生徒の声や近くを走る車の音。
勝手に思い出してしまう過去の思い出。
一つ一つ鮮明に。
『ーーッ』
勝手に溢れ出す涙を拭い
もう一度目を開けると
先程と変わらない風景。
『...眩し』
目を開けた時には入ってくる太陽の光。
そう呟くと眠気が襲ってきて両手を広げて
また再び目を閉じた。
そして夢を見た。
私が居て葵が居て
私の隣には大地。
3人で仲良く歩いていたのに
大地だけがどんどん前に行ってしまう。
隣を見ると葵がいなくて
前を見ると更にどんどん先に行ってしまう大地。
『大地』
名前を呼んでも止まってくれず
どんどん小さくなっていく。
さっきまで隣を歩いて
笑顔を見せてくれていたのに
顔も見えない。
私を置いてどんどん前に行ってしまう。
手を伸ばしても全然届かなくて
先が暗くなっていく。
『1人にしないで。置いてかないで』
叫んでも叫んでも大地は振り向いてくれない。
止まってもくれない。
寂しくて苦しくて必死に追いかけるが
距離は全く縮まらない。
苦しい
苦しい
苦しい
苦しい
その場にしゃがみこみうずくまると
急にぱっと周りが明るくなり
「置いて行かん。ここにいる」
声が聞こえその光は暖かく
優しく私を包み込んでくれた。
その光を見ようと目を開けると人がいたが
顔は見えなかった。
でもなぜかその声に安心できた。
葵でも知ってる人でもない。
その声は誰?
貴方は誰?
そう思った時急にチャイムが聞こえ目が覚めた。
『...んー』
今何時だ?
どのくらい寝てたかなーと
携帯を探そうと体を動かそうとしたが
なぜか動かない。
意識が戻ってきて感じた重み。
重み?
ぱっと目を開けると
そこには見覚えのあるシャツ。
目線を上と動かすと顔は見えず
銀色の髪の毛が目に入った。
仁「起きたか?」
『...へ?え、え、仁王先輩!!!』
思わず声を上げ体を起こそうとしたが
強く抱きしめられて動けなくなってしまった。
仁「ん、もーちょいこのまま」
『いやいやいやいや!何いってんですか!!
こんな所誰かに見られたら!ってかなんで仁王先輩ここにいるんですか!!』
仁「ここは俺の場所じゃ」
『ここは立海生みんなの場所です』
仁「俺はいつもここにおる」
『えー知らなかったー』
仁「寝にきたらヨダレ垂らして場所とる奴がおったからのぅ」
『ええええ!ヨダレ垂れてました??!』
確認しようと口元に手を伸ばそうとした。
するとククッと笑い声が聞こえた。
仁「嘘じゃ」
『うわっ。失礼な人』
仁「プリッ」
『あーもーとりあえず離してぇー』
仁「お前さん抱き心地いいのぅ」
『はーなーせー』
仁「いやじゃ」
『他の女の人にしてくださいよー。私なんか抱いててもなんの得もしませんーーー』
仁「なんちゅーこと言うんじゃ」
『先輩いつも女の人と寝てるって』
仁「....」
『おっぱい大きくて綺麗な女の人だって』
仁「....誰から聞いた?」
『え?んーっと、赤也とブン太先輩!!』
仁「ほぅ...」
あ、仁王先輩に言ったのまずかったかな?
まあ、事実っぽいしいいかっ!
仁『だから離してぇぇぇ。まだ死にたくない』
仁「誰も殺さない」
『いやああ。殺される!ファンのお姉様達に』
仁「そんなことはさせんよ。うちの大事なマネージャーだからのぅ」
『うわっ。そんなこと思ってないくせに』
仁「思っとーよ?」
『嘘だねっ!気に入らない癖して』
過去のマネージャーの人達の話は
柳先輩から聞いていた。
みんな仕事もせず
キャーキャーしてたと。
使い物にならなかったって。
だからなのかレギュラー以外の人は
冷たい目をしていた。
レギュラーの中からもその視線は感じられていた。
それが仁王先輩。
笑いながら私を見る目が冷たい。
マネージャーなんて要らないって目をしていた。
あー私の事気に入らないんだなーって思ってた。
そりゃーそーだ。
私だって先輩の立場だったら
なんだコイツって思うもん。
今までのマネージャーを見ていたら。
だからあんまり関わらないようにした。
仕事はちゃんとするから
ドリンク渡したりタオル渡したりはしたけど
必要以上関わらないように。
仁「.....」
『だーからー離せー』
仁「莉和」
『はい?』
仁「大地って?」
『ビクッ』
仁「大地って誰じゃ?」
先輩から口に出たその名前に
思わず体が震えた。
先輩が知っているはずがない。
絶対知らないはずなのに
なぜその名が出てきたのか。
仁「のぅー莉和」
『...知らない』
仁「...」
『先輩。離して』
仁「嫌じゃ」
『なんで!!』
仁「お前さんが1人で泣くからのぅ」
『!!』
ぎゅっと抱きしめられていた力が強くなった。
でもなぜか嫌な気がせず
突然のことに驚いたが
抵抗するのを忘れていた。
仁「泣くなら俺のとこで泣きんしゃい」
『な、泣いてなんか』
仁「話したくなったら話してみ?今は聞くのはやめとく」
『....』
仁「聞くことはまだ沢山あるからのぅ」
『沢山って...』
仁「お前さんのことなんも知らんからのぅ。まずはお前さんのことからじゃ。莉和教えてくれるか?」
ポンポンと優しく慰めるように
背中を叩かれ優しく抱きしめられた。
なんでか夢の光を思い出した。
暖かくて優しいあの光を。
なんでだろう?
仁「...どうした?」
『え、あ、なんでもないです!』
仁「変な奴じゃのぅ。あ、元からじゃった」
『その尻尾切りますよ』
仁「それはダメじゃ。力が出んくなる」
『あん〇ん〇んか』
仁「ククッ」
『あーもぅーそろそろ本当に離してくださいよー!授業がー』
仁「もう終わっとーよ?」
オーマイガーーーーーーっ!!!
END