アーサー・カークランド(英)
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午後の雨が、窓を静かに叩いていた。外へ出る予定もなく、少女はソファに座って本を読んでいる。その隣では、アーサーが紅茶を飲みながら新聞を読んでいた。
しばらくの間、二人とも何も話さない。けれど、不思議と気まずくはなかった。
「……ねえ」
「ん?」
「ちょっと寒い」
少女がそう言うと、アーサーは新聞から顔を上げた。彼はストーブを一瞥し、また面倒くさそうに新聞の続きを読み始めた。
「暖房つけてるだろ」
「そうなんだけど」
「……仕方ねえな」
彼は少しだけ照れたように視線を逸らし、それから少女の隣へ近づいた。肩が触れるくらいの距離。上質なシャンプーの匂いがふわりとした。
「これでいいか?」
「うん」
少女が嬉しそうに笑う。段々と肩越しにアーサーの温もりが伝わってくる。彼のそのわかりにくい優しさに顔がにやける。
「……何だよ」
そのにやけ顔が見られていたとは思わず、ナマエはふいと顔を逸らす。
「別に」
「その顔、絶対何かあるだろ」
彼はその回答とにやけ顔が気に食わなかったらしく、追及をやめない。逸らした顔を覗き込むように見詰めてくる。少女は意を決して、素直に思ったことを伝えることにした。
「イギリスさんって優しいなあと思って」
アーサーは面食らったような表情を浮かべ、やがて不遜に笑った。
「……今さら気づいたのか?」
「自分で言う?」
「うるせえ」
ぶつぶつ言いながらも、彼は離れようとはしなかった。少女が本を閉じる。
「ねえ」
「今度は何だ?」
「手、貸して」
「……?」
不思議そうにしながら、アーサーが手を差し出す。少女はその手をそっと握った。
「……あったかい」
「お前の手が冷たすぎるんだよ」
「じゃあ、しばらく借りててもいい?」
「……好きにしろ」
素っ気ない返事。けれど、握った手はそのままだった。しばらくすると、アーサーのほうから指を少し動かして、少女の手を握り直す。割れ物を扱うように、ひどく優しく。彼の手の大きいことを感じる。
「……」
「……」
二人とも何も言わない。ただ、窓の外の雨音を聞いている。
「こういうの、好きかも」
少女がぽつりと言う。
「……俺も」
「え?」
アーサーはハッとしたように、口元を空いている方の手で覆った。自分でも意図せず飛び出した発言に驚いているようだ。じわじわと彼の顔が赤くなっていく。さっき少女がそうしたように、今度はアーサーが顔を逸らした。
「何でもねえ」
「今、何か言った?」
「言ってねえよ」
「言ったでしょ」
「言ってない」
少女が楽しそうに笑う。アーサーは少し困ったような顔をしながら、それでも手だけは離さなかった。
雨の日の午後。特別なことは何もない。けれど二人にとっては、そんな何気ない時間が一番心地よかった。
しばらくの間、二人とも何も話さない。けれど、不思議と気まずくはなかった。
「……ねえ」
「ん?」
「ちょっと寒い」
少女がそう言うと、アーサーは新聞から顔を上げた。彼はストーブを一瞥し、また面倒くさそうに新聞の続きを読み始めた。
「暖房つけてるだろ」
「そうなんだけど」
「……仕方ねえな」
彼は少しだけ照れたように視線を逸らし、それから少女の隣へ近づいた。肩が触れるくらいの距離。上質なシャンプーの匂いがふわりとした。
「これでいいか?」
「うん」
少女が嬉しそうに笑う。段々と肩越しにアーサーの温もりが伝わってくる。彼のそのわかりにくい優しさに顔がにやける。
「……何だよ」
そのにやけ顔が見られていたとは思わず、ナマエはふいと顔を逸らす。
「別に」
「その顔、絶対何かあるだろ」
彼はその回答とにやけ顔が気に食わなかったらしく、追及をやめない。逸らした顔を覗き込むように見詰めてくる。少女は意を決して、素直に思ったことを伝えることにした。
「イギリスさんって優しいなあと思って」
アーサーは面食らったような表情を浮かべ、やがて不遜に笑った。
「……今さら気づいたのか?」
「自分で言う?」
「うるせえ」
ぶつぶつ言いながらも、彼は離れようとはしなかった。少女が本を閉じる。
「ねえ」
「今度は何だ?」
「手、貸して」
「……?」
不思議そうにしながら、アーサーが手を差し出す。少女はその手をそっと握った。
「……あったかい」
「お前の手が冷たすぎるんだよ」
「じゃあ、しばらく借りててもいい?」
「……好きにしろ」
素っ気ない返事。けれど、握った手はそのままだった。しばらくすると、アーサーのほうから指を少し動かして、少女の手を握り直す。割れ物を扱うように、ひどく優しく。彼の手の大きいことを感じる。
「……」
「……」
二人とも何も言わない。ただ、窓の外の雨音を聞いている。
「こういうの、好きかも」
少女がぽつりと言う。
「……俺も」
「え?」
アーサーはハッとしたように、口元を空いている方の手で覆った。自分でも意図せず飛び出した発言に驚いているようだ。じわじわと彼の顔が赤くなっていく。さっき少女がそうしたように、今度はアーサーが顔を逸らした。
「何でもねえ」
「今、何か言った?」
「言ってねえよ」
「言ったでしょ」
「言ってない」
少女が楽しそうに笑う。アーサーは少し困ったような顔をしながら、それでも手だけは離さなかった。
雨の日の午後。特別なことは何もない。けれど二人にとっては、そんな何気ない時間が一番心地よかった。
