ヘビ探偵と白助手シリーズ
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天才と馬鹿は紙一重とよく言うが、まさにヘビ探偵はその類いのヤツだった。
とある晴れた日のこと。オレとハンターは依頼で看板を白く塗り潰すという作業をヘビ探偵事務所の庭を借りてやっていた。看板が大きいので広いスペースが必要だったからだ。
助手は室内で普段通り自分の業務をしていた(そもそもペンキのにおいが苦手だと顔を歪ませていた)が
ヘビ探偵はオレたちのペンキ塗りをじっ……と見ていた。
別に面白いもんでもないだろうに……と不思議に思いながらも触れることなく看板を白く塗り潰していく。
そして突然。
「ハンター、ムカデ、それ!」
「は?」
「なんだなんだ」
「その調子ならそのペンキあまるよね。僕にちょうだい、というか僕をそれで塗って欲しい!」
……ということで冒頭の言葉。まさに天才と馬鹿は紙一重。
そして一応部下であるオレたちに拒否権はないわけで。
「いや、なんのためにだよ。身体に悪いしにおいもやべーぞ」
「あと助手にぼこぼこにされる」
とりあえずやる理由と、それとなくやりたくないという意思をオレたちは伝えてみた。
「レアヘビごっこだよ。助手びっくりするかなって」
バカなのか。
「バカなのか」
飲み込んだ言葉はハンターが口に出してくれた。ありがたい。
「でもやっぱり反応が気になるから。お願い二人とも!」
端から説得するつもりもないオレたちは早々に諦める。
そして数分後、真っ白いヘビがその場に完成した。
「どうどう?レアヘビに見える?」
「「みえるみえる」」
適当な相槌。まあ嘘ではないからいいだろ。
「じゃあ助手呼ぼう。……って、塗ったばかりの僕が動いたらまずいな。そこまで考えてなかった……どっちか呼んできて」
「はいはい、オレが呼ぶわ」
玄関に回りヘビ用ドアをくぐる。
「助手、ヘビ探偵が庭で呼んでる」
「ヘビ探偵が?」
怪訝そうな顔をするもののすぐに立ち上がり庭に向かおうとするので追随した。
「なんですかヘビたん、て」
実に分かりやすく助手はそれを視界にいれた瞬間に言葉を切り固まった。
「助手!みてみて、レアヘビになったよ僕。あれ、笑おうとしてるのに固まってうまく笑えないや、おもしろいよこれ、あはは」
能天気な声とは裏腹に助手は盛大にため息をついて……うわ。すげえ睨まれてる。勘弁してくれ、拒否できねえの分かるだろお前なら。
「……ヘビ探偵」
「なにかなじょ、うわ!ちょ、ちょっと待ってよ」
「待ちませんこのペンキ落とすまでブラシの刑ですよ覚悟してくださいね」
「えっもしかして怒ってる?」
「当たり前のこと言わないとわかりませんかね?」
ずかずかとヘビ探偵に近付いた助手は、その首根っこ(ヘビに首という表現もおかしいが)を掴んでごちゃごちゃと言い合いながら玄関へと消えていった。
「そもそも俺がレアヘビに興味ねえのはてめえが一番知ってるだろ!?んん、ごほん……まったく、こんな馬鹿なことをするとは思いませんでしたよ……」
「いたたた!もっと優しく洗ってほしいよ!」
……風呂から大声が聞こえてくる。
オレとハンターは目を合わせ、何も言わずに作業に戻った。
……という『レアヘビ探偵事件』が昨年の初夏にあったわけだが。
「こちらシェフに特別に作って貰った等身大僕型のチョコで助手にどっきりを仕掛けます」
「バカなのか?」
「いやバカだろ」
バレンタインという本日、探偵事務所に呼び出されたと思ったらこれである。
反省をしないのかこっぴどく怒られたことを忘れたのか、まあどちらにせよバカな話である。
そしてこれに協力したシェフも……いや、クオリティたけえなおい。まじで茶色になっただけのヘビ探偵だ。ど……とうなってんだよこのバランス。なんでこんなしなやかでありながら形がキープされてんだよ。
その技術を他に生かせ。
「あと少しで助手が買い物から帰ってくるから、これをこのままリビングに置いて僕たちは帰ってきてこれをみた助手の反応をモニタリングする、と。そういう流れだよ」
「拒否権がないのおかしいだろ」
「粛清される未来しかみえねえ」
とはいいながらもうやるしか選択肢がないので助手のリアクションを楽しみにいそいそとリビングが映るモニターが用意されたこたつ部屋に移動し座る。
『ただいま戻りましたヘビ探偵』
「あ、帰ってきた」
モニターから助手の声がし、しばらくして助手の姿も映り込む。
『ヘビ探偵?そこに突っ立って何を……』
「お、気付いたみたいだな」
「こっからだな」
『……はあ~、そんな子供じみた真似をまたするとは……またブラシで手荒く洗われたいんですか?』
助手が画面中央のヘビ探偵に近付いて手を伸ばし、
ぽきり、と。
掴んだところから折れ、助手はヘビ探偵(チョコ)の首根っこから上を掴んでいるというまるでホラーな絵面になった。
「やっぱ折れたね。写真先に撮っておいてよかった」
「いや、ヘビ探偵それどころじゃなくないか?」
「え?」
「……動かねえぞ、助手」
「……え」
画面の中の助手が呆然としたまま、ヘビ探偵(チョコ)の頭をごとりと落とした。
「……まずい……!」
慌てて部屋を出て行くヘビ探偵を尻目にオレたちはモニターを見つめた。
「……ヘビ探偵を怒らず離さなくなるに1000ゴールド」
「俺も」
「賭けにならねえじゃねえか」
「ならねえだろこんなん」
『助手!僕はここにいるから!』
画面に助手の元に駆け寄るヘビ探偵が映る。
それを見た助手が安心して腰を抜かしたのかその場に座り込み、近寄ってきたヘビ探偵を抱き締めてうずくまった。
「……はいはい知ってた知ってた」
「あーあ、あのチョコもったいねえなあ。食いにいこうぜ」
「もう少し待ってやれよお前はほんと空気読めねえなこのバカ」
「んだとこの野郎!……ったく、俺だってそんくらい分かってるわ、冗談だよ」
……ほんと天才と馬鹿は紙一重だな。
チョコが折れることも助手の前でチョコが折れてしまったらどうなることになるかも少し考えればこいつなら分かった筈なのに、まったく困った探偵だ。
あとで食べることになるであろうあのヘビ探偵型チョコの甘さとつかず離れなくなるであろう二人の空気間のいたたまれなさに胃が凭れそうな予感を感じながら未だヘビ探偵を抱き締めて動かない助手とじたばたしながら謝り倒すヘビ探偵が映るモニターをぼんやりと眺めた。
とある晴れた日のこと。オレとハンターは依頼で看板を白く塗り潰すという作業をヘビ探偵事務所の庭を借りてやっていた。看板が大きいので広いスペースが必要だったからだ。
助手は室内で普段通り自分の業務をしていた(そもそもペンキのにおいが苦手だと顔を歪ませていた)が
ヘビ探偵はオレたちのペンキ塗りをじっ……と見ていた。
別に面白いもんでもないだろうに……と不思議に思いながらも触れることなく看板を白く塗り潰していく。
そして突然。
「ハンター、ムカデ、それ!」
「は?」
「なんだなんだ」
「その調子ならそのペンキあまるよね。僕にちょうだい、というか僕をそれで塗って欲しい!」
……ということで冒頭の言葉。まさに天才と馬鹿は紙一重。
そして一応部下であるオレたちに拒否権はないわけで。
「いや、なんのためにだよ。身体に悪いしにおいもやべーぞ」
「あと助手にぼこぼこにされる」
とりあえずやる理由と、それとなくやりたくないという意思をオレたちは伝えてみた。
「レアヘビごっこだよ。助手びっくりするかなって」
バカなのか。
「バカなのか」
飲み込んだ言葉はハンターが口に出してくれた。ありがたい。
「でもやっぱり反応が気になるから。お願い二人とも!」
端から説得するつもりもないオレたちは早々に諦める。
そして数分後、真っ白いヘビがその場に完成した。
「どうどう?レアヘビに見える?」
「「みえるみえる」」
適当な相槌。まあ嘘ではないからいいだろ。
「じゃあ助手呼ぼう。……って、塗ったばかりの僕が動いたらまずいな。そこまで考えてなかった……どっちか呼んできて」
「はいはい、オレが呼ぶわ」
玄関に回りヘビ用ドアをくぐる。
「助手、ヘビ探偵が庭で呼んでる」
「ヘビ探偵が?」
怪訝そうな顔をするもののすぐに立ち上がり庭に向かおうとするので追随した。
「なんですかヘビたん、て」
実に分かりやすく助手はそれを視界にいれた瞬間に言葉を切り固まった。
「助手!みてみて、レアヘビになったよ僕。あれ、笑おうとしてるのに固まってうまく笑えないや、おもしろいよこれ、あはは」
能天気な声とは裏腹に助手は盛大にため息をついて……うわ。すげえ睨まれてる。勘弁してくれ、拒否できねえの分かるだろお前なら。
「……ヘビ探偵」
「なにかなじょ、うわ!ちょ、ちょっと待ってよ」
「待ちませんこのペンキ落とすまでブラシの刑ですよ覚悟してくださいね」
「えっもしかして怒ってる?」
「当たり前のこと言わないとわかりませんかね?」
ずかずかとヘビ探偵に近付いた助手は、その首根っこ(ヘビに首という表現もおかしいが)を掴んでごちゃごちゃと言い合いながら玄関へと消えていった。
「そもそも俺がレアヘビに興味ねえのはてめえが一番知ってるだろ!?んん、ごほん……まったく、こんな馬鹿なことをするとは思いませんでしたよ……」
「いたたた!もっと優しく洗ってほしいよ!」
……風呂から大声が聞こえてくる。
オレとハンターは目を合わせ、何も言わずに作業に戻った。
……という『レアヘビ探偵事件』が昨年の初夏にあったわけだが。
「こちらシェフに特別に作って貰った等身大僕型のチョコで助手にどっきりを仕掛けます」
「バカなのか?」
「いやバカだろ」
バレンタインという本日、探偵事務所に呼び出されたと思ったらこれである。
反省をしないのかこっぴどく怒られたことを忘れたのか、まあどちらにせよバカな話である。
そしてこれに協力したシェフも……いや、クオリティたけえなおい。まじで茶色になっただけのヘビ探偵だ。ど……とうなってんだよこのバランス。なんでこんなしなやかでありながら形がキープされてんだよ。
その技術を他に生かせ。
「あと少しで助手が買い物から帰ってくるから、これをこのままリビングに置いて僕たちは帰ってきてこれをみた助手の反応をモニタリングする、と。そういう流れだよ」
「拒否権がないのおかしいだろ」
「粛清される未来しかみえねえ」
とはいいながらもうやるしか選択肢がないので助手のリアクションを楽しみにいそいそとリビングが映るモニターが用意されたこたつ部屋に移動し座る。
『ただいま戻りましたヘビ探偵』
「あ、帰ってきた」
モニターから助手の声がし、しばらくして助手の姿も映り込む。
『ヘビ探偵?そこに突っ立って何を……』
「お、気付いたみたいだな」
「こっからだな」
『……はあ~、そんな子供じみた真似をまたするとは……またブラシで手荒く洗われたいんですか?』
助手が画面中央のヘビ探偵に近付いて手を伸ばし、
ぽきり、と。
掴んだところから折れ、助手はヘビ探偵(チョコ)の首根っこから上を掴んでいるというまるでホラーな絵面になった。
「やっぱ折れたね。写真先に撮っておいてよかった」
「いや、ヘビ探偵それどころじゃなくないか?」
「え?」
「……動かねえぞ、助手」
「……え」
画面の中の助手が呆然としたまま、ヘビ探偵(チョコ)の頭をごとりと落とした。
「……まずい……!」
慌てて部屋を出て行くヘビ探偵を尻目にオレたちはモニターを見つめた。
「……ヘビ探偵を怒らず離さなくなるに1000ゴールド」
「俺も」
「賭けにならねえじゃねえか」
「ならねえだろこんなん」
『助手!僕はここにいるから!』
画面に助手の元に駆け寄るヘビ探偵が映る。
それを見た助手が安心して腰を抜かしたのかその場に座り込み、近寄ってきたヘビ探偵を抱き締めてうずくまった。
「……はいはい知ってた知ってた」
「あーあ、あのチョコもったいねえなあ。食いにいこうぜ」
「もう少し待ってやれよお前はほんと空気読めねえなこのバカ」
「んだとこの野郎!……ったく、俺だってそんくらい分かってるわ、冗談だよ」
……ほんと天才と馬鹿は紙一重だな。
チョコが折れることも助手の前でチョコが折れてしまったらどうなることになるかも少し考えればこいつなら分かった筈なのに、まったく困った探偵だ。
あとで食べることになるであろうあのヘビ探偵型チョコの甘さとつかず離れなくなるであろう二人の空気間のいたたまれなさに胃が凭れそうな予感を感じながら未だヘビ探偵を抱き締めて動かない助手とじたばたしながら謝り倒すヘビ探偵が映るモニターをぼんやりと眺めた。