ヘビ探偵と白助手シリーズ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
からんと来客を知らせるドアのベルがなり、作業していたパソコンのディスプレイにも注意喚起の表示が映し出される。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃ、」
いつもなら自然と揃う声が今日は不自然にヘビ探偵だけ途中で途切れた。
「やっほーヘビ探偵!久しぶり!」
……馴れ馴れしそうな男だ。嫌いなタイプである。
ヘビ探偵の知り合いかと彼を見ると今まで見たこともない嫌悪感を露にして、
「……なにしに来たの」
聞いたこともない低く、静かな声でそう言った。
「冷たいなあ、昔の助手にそれはないんじゃない?
せっかく看板見て元気にしてるかな~と思って顔見に来たのにさ」
「僕が依頼人の家で事件を解決してる間に事務所を奪って自分のものにしていた人間に心配もなにもされたくないな」
「奪ったなんて人聞きの悪いこと言わないでよ、あれはあのときの大家さんが勝手にしたことなんだからさ……むしろ勝手に勘違いして出ていったのはヘビ探偵だろ?」
「……よく言うよ、散々僕のこと蔑んでたくせに」
……悲しそうな悔しそうな絞り出すような声だった。
パソコン作業の手を止め、立ち上がる。
「……ヘビ探偵の元助手さんだったんですね、初めまして、挨拶が遅れてすいません」
ヘビ探偵の視界を遮るように間に入り、笑みを浮かべて手を差し出すと、
「あっ、初めまして~!そうそう、実はオレ君に用があったんだよね~、ヘビ探偵に人間の助手ができたって人づてに聞いてさ、会ってみたいな~って思って。すっごい優秀らしいじゃん?」
彼も手を差し出し、フレンドリーに握手が交わされた。あくまで表面上は、だが。
「……どうせそんなとこだろうと思ったよ」
ヘビ探偵の自嘲混じりの小さな呟きが耳に届く。
……なるほど、それはつまり。
これからこいつの口から出てくる言葉に予想もつく。
「……優秀だなんてそんな滅相もない、私はただの平凡な助手ですよ」
「謙遜はいいって!機械とかにすごい強いらしいじゃん、パソコンで色々しちゃったりさ!オレそういうのできるってわけじゃないし今いるオレの部下もそんな強いってわけじゃないからさ、君みたいなのがいたら戦力的に百人力~!みたいな?だからさ、ここよりお金二倍くらい出すからどう?オレの部下になら」
「お誘いとても嬉しいですが私は今の環境に満足しているので申し訳ありませんが謹んで辞退いたします。それで、他にご用件は?」
「……あはは、そりゃそうか!普通上司の前じゃはいって言えないよね!気付かなかったよごめんごめん!」
……自分のいいようにしか捉えないタイプの人間かよ。
「まあいいや、顔もみれたし助手クンにも会えたから。オレも暇じゃないからもうこれで帰るよ、じゃあね~ヘビ探偵と優秀な助、手、ク、ン」
ひらひらと手を振りながら出ていく。……最後まで神経に触る喋り方をする男だ。
「……ごめん助手、助かった」
「初めて見ましたよ、あんなヘビ探偵は」
「見せたくなかったなあ……駄目だね、もうあのときの気持ちは忘れたと思ってたけど顔みたらあのときの気持ち全部フラッシュバックして……」
座っていたイスからぺしゃ、と見るからに力の抜けた降り方をして、ふらふらと客用のソファに移動し横になる。
「もう無理、今日は無理、閉店!」
「はいはい、では看板を仕舞ってきますね」
寝転がりながらそう宣言するヘビ探偵に素直に従う。
相当精神的疲労がこのたかだか10分で溜まったのだろう。正直俺も疲労……というよりもストレスでどうにかなりそうだった。
「……おや」
外に出ようとして、気付く。
「ヘビ探偵……どうやら先程の彼、忘れ物をしたようですよ」
「……次来る口実作りやがったな……」
玄関ドア横に設置したハンガーポールに引っ掛かった置き土産の帽子を手に取り、ふむ、と思案しながらくるくると手で回す。
「……行ってきてもいいですか?」
「え?いいけど……いいの?」
「いいもなにも、こういうのは助手の仕事でしょう?」
「……そう、かもだけど」
煮え切らない態度だ。
「言いたいことがあるならはっきりどうぞ」
「……助手は僕を、……」
そこまで言って口を閉ざす。
……裏切らないよね、と言いたかったのだろう。
そしてそもそも俺達の関係性が探偵と黒幕であり、今のこの関係性が俺の匙加減でいつ壊れてもおかしくない危うすぎるものということを思い出した、と言ったところだろう。
「やっぱなんでも」
「裏切りませんよ」
被せるようにそう答えるとヘビ探偵は苦笑いを浮かべた。
「……お見通しかあ」
「今日は随分と分かりやすい顔をしていますからね」
「あー、なるほどね……」
「そんなに心配なら毎日忠誠でも誓いますよ」
「はは、それは鬱陶しいなあ」
軽口に軽口を返せるくらいになってきたヘビ探偵に安堵する。さて、と持っていた帽子を型崩れを気にすることなくぐしゃりと握り潰した。
「ではいってきますが、信じて待っててくれますか?」
「もちろん、君は僕の自慢の助手だからね」
いってらっしゃい。その言葉を背に受けてあの男を追いかけた。
「へえ、あそこ駄菓子屋あるんだ、いいなあ近くにあるの、助手唆してあの事務所奪えたら」
「どうも元助手さん」
実に悪趣味な一人言を言いながらちんたら歩いている男に声を掛ける。
「っ!?なっ、なんだ、びっくりしたあ、ヘビ探偵のとこの……」
「どうやらお忘れ物をしたようだったのでお届けに」
「……あー、ごめんごめん!うっかり忘れちゃったみたいだね!わざわざ届けてくれてありがとう」
「いえ、お渡しできてよかったです、日差しは夏でなくとも馬鹿に出来ませんからね。
……それと、お話があって来ました」
「……へえ、なあに?」
待ってました、と言わんばかりの笑みを浮かべる。
まあ、思い通りになるわけがないんだが。
「残念だが盗聴機と盗撮機のデータは録らせて貰ったよ」
「……は?」
「ジャミングとハッキングを同時にすることなど俺には容易いものでね、なにせ機械などの最先端技術には詳しいからな」
「な、きづいて、」
「ヘビ探偵には言っていないが事務所のドアにとあるセンサーをつけているんだよ。盗聴機や盗撮機の類いを感知すると俺のパソコンに注意喚起が飛ぶ。探偵事務所に来る客のなかにはストーカーに悩んでいる客もいるから片っ端からジャミングしているわけではないがな……ヘビ探偵の様子を見てキミが持ち込んできたものは迷わずジャミングしてからハッキングさせてもらったよ」
「っ電波なんて関係ないただの盗聴機をハッキングできるものか!」
そう言って、ハッとする。
「ハハ、墓穴掘ったな。テメエの言うとおりハッキングはできねえよ。ジャミングはさせてもらったがな、もうそれは使い物にならねえタダのガラクタだ」
「おまえ、」
「ああそれと自分の口で言ったから理解してると思うが、電波を通す機械なら簡単にハッキングできるんだよ。例えば携帯、とかな」
「……!」
「ずいぶんと女遊びが激しいみたいだな?中には結婚を約束してから金を三人にせびって、いい稼ぎしてるじゃねえか」
自分の携帯に移したこいつのメッセージ画面を見せつけると顔がみるみる真っ青になり、
「そ、そんなことまで、」
すっかり震える子羊になってしまったのでにこりと笑顔を貼り付ける。
「……ああ別に罪に問おうとしてるわけじゃないですよ?ただひとつだけ、お願いを聞いて欲しいだけなんです。なに、難しい話ではありません」
「な、なに?お金?お金ならだすよ、っひぃ!?」
雰囲気が戻ったと勘違いして肩を組もうとしてきたヤツの首元を掴み
「もう二度とそのツラをヘビ探偵と俺に見せるな」
そう吐き捨ててから地面に突き飛ばす。
「は、はいぃ~~~~!!!!」
……情け声まで腹立つ男だな。
「ただいま戻りました」
「おかえりー助手!ちゃんと返せたー!?」
キッチンの方から聞こえてくる声の方に向かう。夕御飯の支度をしているのだろう。
「ええ、返せましたよ」
「それはよかった!あとは普通にゲリラで来ないことを祈るしかないか……」
「ああ、それなら安心していいですよ。もう二度とここに来ない約束をしましたから」
「え」
調理していた手が止まり、ぎぎ、と俺の顔を見る。
「……助手~?何話したのかなあ?」
顔がひきつるヘビ探偵に白々しく考える素振りをしてから。
「そうですね……とりとめのない話を、少々」
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃ、」
いつもなら自然と揃う声が今日は不自然にヘビ探偵だけ途中で途切れた。
「やっほーヘビ探偵!久しぶり!」
……馴れ馴れしそうな男だ。嫌いなタイプである。
ヘビ探偵の知り合いかと彼を見ると今まで見たこともない嫌悪感を露にして、
「……なにしに来たの」
聞いたこともない低く、静かな声でそう言った。
「冷たいなあ、昔の助手にそれはないんじゃない?
せっかく看板見て元気にしてるかな~と思って顔見に来たのにさ」
「僕が依頼人の家で事件を解決してる間に事務所を奪って自分のものにしていた人間に心配もなにもされたくないな」
「奪ったなんて人聞きの悪いこと言わないでよ、あれはあのときの大家さんが勝手にしたことなんだからさ……むしろ勝手に勘違いして出ていったのはヘビ探偵だろ?」
「……よく言うよ、散々僕のこと蔑んでたくせに」
……悲しそうな悔しそうな絞り出すような声だった。
パソコン作業の手を止め、立ち上がる。
「……ヘビ探偵の元助手さんだったんですね、初めまして、挨拶が遅れてすいません」
ヘビ探偵の視界を遮るように間に入り、笑みを浮かべて手を差し出すと、
「あっ、初めまして~!そうそう、実はオレ君に用があったんだよね~、ヘビ探偵に人間の助手ができたって人づてに聞いてさ、会ってみたいな~って思って。すっごい優秀らしいじゃん?」
彼も手を差し出し、フレンドリーに握手が交わされた。あくまで表面上は、だが。
「……どうせそんなとこだろうと思ったよ」
ヘビ探偵の自嘲混じりの小さな呟きが耳に届く。
……なるほど、それはつまり。
これからこいつの口から出てくる言葉に予想もつく。
「……優秀だなんてそんな滅相もない、私はただの平凡な助手ですよ」
「謙遜はいいって!機械とかにすごい強いらしいじゃん、パソコンで色々しちゃったりさ!オレそういうのできるってわけじゃないし今いるオレの部下もそんな強いってわけじゃないからさ、君みたいなのがいたら戦力的に百人力~!みたいな?だからさ、ここよりお金二倍くらい出すからどう?オレの部下になら」
「お誘いとても嬉しいですが私は今の環境に満足しているので申し訳ありませんが謹んで辞退いたします。それで、他にご用件は?」
「……あはは、そりゃそうか!普通上司の前じゃはいって言えないよね!気付かなかったよごめんごめん!」
……自分のいいようにしか捉えないタイプの人間かよ。
「まあいいや、顔もみれたし助手クンにも会えたから。オレも暇じゃないからもうこれで帰るよ、じゃあね~ヘビ探偵と優秀な助、手、ク、ン」
ひらひらと手を振りながら出ていく。……最後まで神経に触る喋り方をする男だ。
「……ごめん助手、助かった」
「初めて見ましたよ、あんなヘビ探偵は」
「見せたくなかったなあ……駄目だね、もうあのときの気持ちは忘れたと思ってたけど顔みたらあのときの気持ち全部フラッシュバックして……」
座っていたイスからぺしゃ、と見るからに力の抜けた降り方をして、ふらふらと客用のソファに移動し横になる。
「もう無理、今日は無理、閉店!」
「はいはい、では看板を仕舞ってきますね」
寝転がりながらそう宣言するヘビ探偵に素直に従う。
相当精神的疲労がこのたかだか10分で溜まったのだろう。正直俺も疲労……というよりもストレスでどうにかなりそうだった。
「……おや」
外に出ようとして、気付く。
「ヘビ探偵……どうやら先程の彼、忘れ物をしたようですよ」
「……次来る口実作りやがったな……」
玄関ドア横に設置したハンガーポールに引っ掛かった置き土産の帽子を手に取り、ふむ、と思案しながらくるくると手で回す。
「……行ってきてもいいですか?」
「え?いいけど……いいの?」
「いいもなにも、こういうのは助手の仕事でしょう?」
「……そう、かもだけど」
煮え切らない態度だ。
「言いたいことがあるならはっきりどうぞ」
「……助手は僕を、……」
そこまで言って口を閉ざす。
……裏切らないよね、と言いたかったのだろう。
そしてそもそも俺達の関係性が探偵と黒幕であり、今のこの関係性が俺の匙加減でいつ壊れてもおかしくない危うすぎるものということを思い出した、と言ったところだろう。
「やっぱなんでも」
「裏切りませんよ」
被せるようにそう答えるとヘビ探偵は苦笑いを浮かべた。
「……お見通しかあ」
「今日は随分と分かりやすい顔をしていますからね」
「あー、なるほどね……」
「そんなに心配なら毎日忠誠でも誓いますよ」
「はは、それは鬱陶しいなあ」
軽口に軽口を返せるくらいになってきたヘビ探偵に安堵する。さて、と持っていた帽子を型崩れを気にすることなくぐしゃりと握り潰した。
「ではいってきますが、信じて待っててくれますか?」
「もちろん、君は僕の自慢の助手だからね」
いってらっしゃい。その言葉を背に受けてあの男を追いかけた。
「へえ、あそこ駄菓子屋あるんだ、いいなあ近くにあるの、助手唆してあの事務所奪えたら」
「どうも元助手さん」
実に悪趣味な一人言を言いながらちんたら歩いている男に声を掛ける。
「っ!?なっ、なんだ、びっくりしたあ、ヘビ探偵のとこの……」
「どうやらお忘れ物をしたようだったのでお届けに」
「……あー、ごめんごめん!うっかり忘れちゃったみたいだね!わざわざ届けてくれてありがとう」
「いえ、お渡しできてよかったです、日差しは夏でなくとも馬鹿に出来ませんからね。
……それと、お話があって来ました」
「……へえ、なあに?」
待ってました、と言わんばかりの笑みを浮かべる。
まあ、思い通りになるわけがないんだが。
「残念だが盗聴機と盗撮機のデータは録らせて貰ったよ」
「……は?」
「ジャミングとハッキングを同時にすることなど俺には容易いものでね、なにせ機械などの最先端技術には詳しいからな」
「な、きづいて、」
「ヘビ探偵には言っていないが事務所のドアにとあるセンサーをつけているんだよ。盗聴機や盗撮機の類いを感知すると俺のパソコンに注意喚起が飛ぶ。探偵事務所に来る客のなかにはストーカーに悩んでいる客もいるから片っ端からジャミングしているわけではないがな……ヘビ探偵の様子を見てキミが持ち込んできたものは迷わずジャミングしてからハッキングさせてもらったよ」
「っ電波なんて関係ないただの盗聴機をハッキングできるものか!」
そう言って、ハッとする。
「ハハ、墓穴掘ったな。テメエの言うとおりハッキングはできねえよ。ジャミングはさせてもらったがな、もうそれは使い物にならねえタダのガラクタだ」
「おまえ、」
「ああそれと自分の口で言ったから理解してると思うが、電波を通す機械なら簡単にハッキングできるんだよ。例えば携帯、とかな」
「……!」
「ずいぶんと女遊びが激しいみたいだな?中には結婚を約束してから金を三人にせびって、いい稼ぎしてるじゃねえか」
自分の携帯に移したこいつのメッセージ画面を見せつけると顔がみるみる真っ青になり、
「そ、そんなことまで、」
すっかり震える子羊になってしまったのでにこりと笑顔を貼り付ける。
「……ああ別に罪に問おうとしてるわけじゃないですよ?ただひとつだけ、お願いを聞いて欲しいだけなんです。なに、難しい話ではありません」
「な、なに?お金?お金ならだすよ、っひぃ!?」
雰囲気が戻ったと勘違いして肩を組もうとしてきたヤツの首元を掴み
「もう二度とそのツラをヘビ探偵と俺に見せるな」
そう吐き捨ててから地面に突き飛ばす。
「は、はいぃ~~~~!!!!」
……情け声まで腹立つ男だな。
「ただいま戻りました」
「おかえりー助手!ちゃんと返せたー!?」
キッチンの方から聞こえてくる声の方に向かう。夕御飯の支度をしているのだろう。
「ええ、返せましたよ」
「それはよかった!あとは普通にゲリラで来ないことを祈るしかないか……」
「ああ、それなら安心していいですよ。もう二度とここに来ない約束をしましたから」
「え」
調理していた手が止まり、ぎぎ、と俺の顔を見る。
「……助手~?何話したのかなあ?」
顔がひきつるヘビ探偵に白々しく考える素振りをしてから。
「そうですね……とりとめのない話を、少々」
1/6ページ