ヘビの命(単発まとめ)
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閉じている瞼からでも感じる、眩むような朝日に目をあけた。
心地いい風が窓から吹いてくる。
鳥のさえずりも耳に心地よい。
ああ、なんていい朝だ。
「おはようございます、ヘビ探偵クン。朝食ができていますよ」
…………こいつがいる以外は。
『押し掛け助手とヘビ探偵』
「どうですか?あの旅館のシェフには及ばないかもしれませんが人並みには作れるんですよ?」
にこにこと聞こえてきそうなほどの完璧な笑顔を張り付けてそういい放つblack doctorにてめえが作ったものなど食えるわけねえだろと机をひっくり返したくなったが食材を無駄にするのはバチが当たる。
心底食べたくなかったがきちんといただきますを言ってから恐る恐る口をつけた。
…………美味しい。しかも自分好みの味付け。文句のひとつでも言ってやろうかと思っていたのに。
「そんな怖がらなくても毒なんて入ってないですよ?」
自分はまだなにも言ってないが?
「助手として支える者へのある程度の理解は必要でしょう?だから何を考えてるか少しくらいはわかりますよ」
……じゃあこのたまごやきの味付けもわかってて?
「それは偶然ですがそうですか、キミのたまごやきの好みは甘口なんですね、お気に召してくれたようで何よりです」
隠すことなく嫌な顔をして見せるとこの上なく嬉しそうな顔をしたので顔面を締め付けてやりたい葛藤に駆られたがぐっと堪え無視を決め込む。
何度も言うが食材を無駄にするのはバチが当たる。旅館のシェフから改めて当たり前のことを再確認したじゃないか。そう、ごはんに罪はない。
だからせっせと用意された朝食を食べるのだ。
リピートアフタミー、ごはんに、罪は、ない。
ごちそうさまでした、そう伝え席から飛び降りる。
おっと、作ってもらったならこれも言わなければ。
美味しかったよ、ありがとう。
「…………え、ええ、礼には及びませんよ、助手として当たり前のこと、なので……あ、食器は私がやりますからおいといてください」
わかった、ありがとうと伝え、自分は仕事用の椅子につく。まったく、性格以外は完璧な助手だなあ、実にもったいない……そう思いながら自分は今朝の朝刊に目を通し始めた。
「……簡単に信用しやがって、これだから下等生物は……礼なんて言われ慣れてねえんだよ……」
だから自分はそんな彼の殊勝な一人言なんか聞こえなかったし顔を紅くしてるdoctorなんて絶対見ていないのだ。あんだけヘビを解剖して研究しておきながらヘビが人よりも耳がいいことを知らないのかこいつは。一人言は一人の時に言え。
遡ること昨晩のことである。
難航したがなんとか人探しの依頼を片付け、もう日付を越えてしまうという頃に自宅兼事務所に帰ると。
「……随分と遅かったですね」
玄関灯もなにもない真っ暗な玄関ドアの前に、忘れもしないあいつが座り込んで自分を待っていた。
少し驚いたが反応したら負けだと思い、玄関の鍵を開けて何事もなかったかのようにするりと中に入り込む。
「……え、ちょ」
ばたん。ガチャリと鍵を締める。
すぐに反応して扉を開けることを妨害しにこなかったところを見るとあいつにとって予想外のことをしてやったことに違いない。
「はは……まあそりゃそうだよな……」
……激昂されると思ったがどうやら少しは丸くなったようでその声に覇気はなく弱々しいししかも震えている。今は冬だし更に深夜なのだから、いつから待っていたかは知らないがその身体は芯まで冷えているだろう。あの旅館の一件から三日経っているが一体どうその間を過ごして、ここに辿り着いたんだか。
耳を澄ませる。……立ち去る様子もなければ動く様子もない。
……仕方ない、玄関前で死なれたらとんだ営業妨害も甚だしい。扉を開ける。
入りなよ。お風呂沸かすからそこの今つけたストーブの前で暖まってて。
「……ありがとう、ございます」
もはや立ち上がる気力もなさそうな彼を押すように室内に入れる。来客用に置いておいたもこもこのブランケットを渡してストーブ前に座らせてからお風呂のお湯を張りにいく。それから自分は温かいものを出すためにお湯を沸かし来客用のココアを淹れた。
少しは暖まった?ほら、ココア淹れたからこれも飲みなよ。
「……」
ぼんやりと自分を見つめてから無言で受け取り、しばしそのカップの表面を見てからそっと口につける。
「……久しぶりにココアなんて飲みましたよ」
ココアは体を温めるのに一番いいっていうからね、ああそうだ、お腹は空いてる?スープでも作ろうか。
「っいらな」
ぐぅ~~~……と鳴る腹の虫。
お腹は正直みたいだね、今作ってあげるよ。
そういってキッチンに向かおうとして、しっぽに触れられる。本当は掴もうとしたんだろうけど衰弱しきった身体ではそれが限界だったらしい。
「何か先に言うことはないのか……!?俺は犯罪者だぞ……?他でもなくお前が、追い詰めた……なのにどうしてここまで」
言いたいことならあったさ、色々。あった、だけどね。
「は……?」
積もる話は色々あった。だけどいざ君を前にしたらなんかぼろぼろだしやつれてるししかもよりによって追い詰めたはずの自分の家の前で丸まってるし……
……君は自分を頼ってここに来たんだろ?藁にも縋る思いで。自分はそんな人を救うために探偵になったからさ、ここで君を見捨てるのはポリシーに反する。
「……」
ああ、あとはただの嫌がらせかな!君、施しを受けるのは嫌いだろ?しかもヘビから!
「ははっ……よくおわかりのようで……」
本当なら警察に突き出すのが正解だろうね。でもさ、自分、使えるものは使う主義なんだ。
ねえ、教えてよ。君はどうしてここにきたの?自分にどうして欲しいの?
「……償いたい。犠牲になったヘビたちが復活したとはいえ、俺のしたことは到底許されない行為だ。だが捕まったら塀の中でやり直す機会もないまま再びこの命を失うことになるだろう。そんなのは、嫌だ……」
それで?
「……他でもなくヘビ探偵であるお前の側に置いて欲しい。都合のいい言い分なのは分かってる、それでもっ……!
……頼む、ヘビであるあなたが、私を救ってくれた奇跡のヘビであるあなたが、私の更正を見届けてくれないか」
ああ、本当に自分勝手なやつだよ。
心地いい風が窓から吹いてくる。
鳥のさえずりも耳に心地よい。
ああ、なんていい朝だ。
「おはようございます、ヘビ探偵クン。朝食ができていますよ」
…………こいつがいる以外は。
『押し掛け助手とヘビ探偵』
「どうですか?あの旅館のシェフには及ばないかもしれませんが人並みには作れるんですよ?」
にこにこと聞こえてきそうなほどの完璧な笑顔を張り付けてそういい放つblack doctorにてめえが作ったものなど食えるわけねえだろと机をひっくり返したくなったが食材を無駄にするのはバチが当たる。
心底食べたくなかったがきちんといただきますを言ってから恐る恐る口をつけた。
…………美味しい。しかも自分好みの味付け。文句のひとつでも言ってやろうかと思っていたのに。
「そんな怖がらなくても毒なんて入ってないですよ?」
自分はまだなにも言ってないが?
「助手として支える者へのある程度の理解は必要でしょう?だから何を考えてるか少しくらいはわかりますよ」
……じゃあこのたまごやきの味付けもわかってて?
「それは偶然ですがそうですか、キミのたまごやきの好みは甘口なんですね、お気に召してくれたようで何よりです」
隠すことなく嫌な顔をして見せるとこの上なく嬉しそうな顔をしたので顔面を締め付けてやりたい葛藤に駆られたがぐっと堪え無視を決め込む。
何度も言うが食材を無駄にするのはバチが当たる。旅館のシェフから改めて当たり前のことを再確認したじゃないか。そう、ごはんに罪はない。
だからせっせと用意された朝食を食べるのだ。
リピートアフタミー、ごはんに、罪は、ない。
ごちそうさまでした、そう伝え席から飛び降りる。
おっと、作ってもらったならこれも言わなければ。
美味しかったよ、ありがとう。
「…………え、ええ、礼には及びませんよ、助手として当たり前のこと、なので……あ、食器は私がやりますからおいといてください」
わかった、ありがとうと伝え、自分は仕事用の椅子につく。まったく、性格以外は完璧な助手だなあ、実にもったいない……そう思いながら自分は今朝の朝刊に目を通し始めた。
「……簡単に信用しやがって、これだから下等生物は……礼なんて言われ慣れてねえんだよ……」
だから自分はそんな彼の殊勝な一人言なんか聞こえなかったし顔を紅くしてるdoctorなんて絶対見ていないのだ。あんだけヘビを解剖して研究しておきながらヘビが人よりも耳がいいことを知らないのかこいつは。一人言は一人の時に言え。
遡ること昨晩のことである。
難航したがなんとか人探しの依頼を片付け、もう日付を越えてしまうという頃に自宅兼事務所に帰ると。
「……随分と遅かったですね」
玄関灯もなにもない真っ暗な玄関ドアの前に、忘れもしないあいつが座り込んで自分を待っていた。
少し驚いたが反応したら負けだと思い、玄関の鍵を開けて何事もなかったかのようにするりと中に入り込む。
「……え、ちょ」
ばたん。ガチャリと鍵を締める。
すぐに反応して扉を開けることを妨害しにこなかったところを見るとあいつにとって予想外のことをしてやったことに違いない。
「はは……まあそりゃそうだよな……」
……激昂されると思ったがどうやら少しは丸くなったようでその声に覇気はなく弱々しいししかも震えている。今は冬だし更に深夜なのだから、いつから待っていたかは知らないがその身体は芯まで冷えているだろう。あの旅館の一件から三日経っているが一体どうその間を過ごして、ここに辿り着いたんだか。
耳を澄ませる。……立ち去る様子もなければ動く様子もない。
……仕方ない、玄関前で死なれたらとんだ営業妨害も甚だしい。扉を開ける。
入りなよ。お風呂沸かすからそこの今つけたストーブの前で暖まってて。
「……ありがとう、ございます」
もはや立ち上がる気力もなさそうな彼を押すように室内に入れる。来客用に置いておいたもこもこのブランケットを渡してストーブ前に座らせてからお風呂のお湯を張りにいく。それから自分は温かいものを出すためにお湯を沸かし来客用のココアを淹れた。
少しは暖まった?ほら、ココア淹れたからこれも飲みなよ。
「……」
ぼんやりと自分を見つめてから無言で受け取り、しばしそのカップの表面を見てからそっと口につける。
「……久しぶりにココアなんて飲みましたよ」
ココアは体を温めるのに一番いいっていうからね、ああそうだ、お腹は空いてる?スープでも作ろうか。
「っいらな」
ぐぅ~~~……と鳴る腹の虫。
お腹は正直みたいだね、今作ってあげるよ。
そういってキッチンに向かおうとして、しっぽに触れられる。本当は掴もうとしたんだろうけど衰弱しきった身体ではそれが限界だったらしい。
「何か先に言うことはないのか……!?俺は犯罪者だぞ……?他でもなくお前が、追い詰めた……なのにどうしてここまで」
言いたいことならあったさ、色々。あった、だけどね。
「は……?」
積もる話は色々あった。だけどいざ君を前にしたらなんかぼろぼろだしやつれてるししかもよりによって追い詰めたはずの自分の家の前で丸まってるし……
……君は自分を頼ってここに来たんだろ?藁にも縋る思いで。自分はそんな人を救うために探偵になったからさ、ここで君を見捨てるのはポリシーに反する。
「……」
ああ、あとはただの嫌がらせかな!君、施しを受けるのは嫌いだろ?しかもヘビから!
「ははっ……よくおわかりのようで……」
本当なら警察に突き出すのが正解だろうね。でもさ、自分、使えるものは使う主義なんだ。
ねえ、教えてよ。君はどうしてここにきたの?自分にどうして欲しいの?
「……償いたい。犠牲になったヘビたちが復活したとはいえ、俺のしたことは到底許されない行為だ。だが捕まったら塀の中でやり直す機会もないまま再びこの命を失うことになるだろう。そんなのは、嫌だ……」
それで?
「……他でもなくヘビ探偵であるお前の側に置いて欲しい。都合のいい言い分なのは分かってる、それでもっ……!
……頼む、ヘビであるあなたが、私を救ってくれた奇跡のヘビであるあなたが、私の更正を見届けてくれないか」
ああ、本当に自分勝手なやつだよ。