人を呪わば穴二つ

side.桧沢
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


「呪物の鑑定?」
「呪いの箱ってやつが本物かどうか鑑定して欲しいんだってさ」

碧くんが携帯の画面をこちらに向ける。そこにはいかにも禍々しい模様が描かれた立方体の箱と映る陽気な男の写真。SNSのポストであるそれの投稿主が今回の依頼人。

「本物だったらどうするんだ」
「さぁ?鑑定だけで良いんだってさ」

呪いの箱、ね。眉唾物ではあるだろうが、怪異──都市伝説上に現れる化け物の存在が認められる世界だ。万が一ということもある。規模が小さくとも"呪い"は"呪い"。この男がそれをどうするかはさて置き、その芽は摘んでおかなくてはならない。

「てことで陽くん担当ね」
「嗚呼、分かった」
「で、これがこの人の住んでるとこで、これが──」

携帯のメッセージアプリに次々とメッセージが送られてくる。目の前の彼から。依頼を遂行する為の情報だ。

「一緒に連れてくでしょ?イチ」
「言わなくてもイチは着いてくるよ、多分」
「ふふ、なかよしだねぇ」
「蓮は別件で忙しいしな。雅は、……うん」
「気晴らしだと思って」
「……それは流石に無理かな」

別件、とは鏡の怪異の話だ。結局あれ以降手掛かりも音沙汰もない。蓮が虱潰しに鏡に関する怪異を片っ端から祓っているそうだ。雅はその手伝い。蓮の式神である白いまん丸いお化けは碧くんのデスクに鎮座している。ご主人に着いていかなくていいのだろうか。

「イチ」
「えぇ、準備は出来てますよ」

今すぐ出れますよ、と言わんばかりに準備万端なイチ。彼にも情報を共有しておかなくては。

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