『ファイアーエムブレム 封印の剣』と『ファイアーエムブレム 烈火の剣』のゼフィールをどう思っているか……ですか。

分かりやすく言えばアダルトチルドレン、毒親の被害者ですね。出来た人柄で笑顔を欠かさず武術や勉学に秀でていてベルンの民達からも信頼されていて次期国王として申し分のない存在なのにも関わらず、毒父デズモンドのつまらない嫉妬で離宮に追放され、その毒父デズモンドに何度も命を狙われると毒父で暗君のデズモンドによって人生を滅茶苦茶にされた可哀想な存在ですよ。王位継承の権利を父に剥奪されようと(「ベルン王位はギネヴィア(側室の娘)の夫に
しかるべき者をむかえてつがせる」と言われた)「それならそれでいい」と返すような私心からは程遠い人柄でどこまでも出来た性格だった事を思うとゼフィールを歪ませた全ての元凶たるデズモンドが本当に許せません。

ゼフィールは前王デズモンドを罠にしかけて謀殺してベルン国王になってからの目を見張る指導力、その圧倒的な王者の風格が本当に素晴らしく、ベルン国内で人気が高いのも納得です。例え彼の真の目的がベルンの力で全てを飲み込み大陸を統一した後、人と人の支配する世界を私を持たない竜族に明け渡す、そうすることで世界を人の世界から【解放】する事だったとしても、その前段階で綱紀粛正の政策で前王デズモンドによる暗殺者集団が出現するほどに崩壊した王国の統治を甦らせた統治者としての力量は紛れもない事実ですからね。

そもそもゼフィールを苦しめた事以外にもデズモンドは色々と問題がありすぎます。『ファイアーエムブレム 烈火の剣』の作中内で描かれている事実だけでも

・民衆を苦しめる領主が跋扈する腐敗した政治を蔓延させ、義賊集団であった頃の黒い牙が民衆からの嘱望を集める
・重臣であるマードックに対して堂々と国王の専横を危ぶむ声が上がり、それを受けたマードックも窘めながらも暗に同調を示す
・ゼフィールの成人の儀式をぶち壊すために国の至宝を外部の者に預けて隠す
・王太子であるゼフィールを差し置いてギネヴィアの夫を王位に据えようとし、不要な権力闘争の種を撒く
・隣国かつ同盟関係にあるリキアに対して軍事力を盾に高圧的な態度で接し、外患の種をも撒く

と彼の暗愚ぶりを示すエピソードがあまりにも多すぎてどう見ても平凡と呼ぶのも烏滸がましいほどの暗君の中の暗君ですよ。他の創作物でもこれほどまでに酷い暗君は滅多にいないでしょう。そもそもデズモンドがベルン国王として真っ当だったならば『黒い牙』は存在せず、ネルガルがあれほどまでにたくさんの兵力を手に入れる事はなかったですから。そして更に言うと国王としてはダメダメでも父親として真っ当だったならば息子のゼフィールは名君としてベルンを治めたであろう事を思うと人竜戦役関連の出来事を除いたエレブ大陸で起こった様々な悲劇は9割方デズモンドのせいで、私から見ればデズモンドこそがエレブシリーズにおける真の『災いを招く者』ですよ。『ファイアーエムブレム 烈火の剣』の作中で『災いを招く者』と呼ばれるネルガルは人竜戦役が原因で氷竜の妻、エイナールと引き裂かれるという悲劇から人竜戦役による被害者な事から同情の余地がありますが、デズモンドに関しては全く同情の余地がありません。

ゼフィールが倒された事で皮肉にもギネヴィアを王位に据えるというデズモンドの願いは成就したけれど、軍備縮小を強いられ、ベルン国民から売国奴扱いされながら国を運営していかなければならないギネヴィアの苦労がいたたまれます。きっとギネヴィアもこんな結果を招いた元凶のデズモンドを心底恨んでいる事でしょう。

ゼフィールについてどう思っているかという質問だったのにデズモンドの事ばかりになってしまいました……。

2025/03/01 02:42