MOTHER小説

夜になり今日はモノトリーグランドホテルに泊まる事にしたネス、ポーラ、ジェフの三人。ネスはすっかりぐっすり眠っている。ジェフは机にへばりついて壊れたメカを修理しようとしている。そんなジェフにポーラはこう聞く。

「ジェフは今日徹夜?」

「うん。この壊れたメカ修理したいからね」

「分かったわ。じゃあコーヒー淹れるわね」

そう言いポーラは部屋から出ようとする。部屋から出ようとするポーラをジェフは気付いたら後ろから抱きしめていた。

「!!」

「ごめんポーラ、こんな事して……。でもずっとこうしたいって思ってたんだ」

「ジェフ……?」

「優しくて可愛くて献身的で頑張り屋で……、僕はそんな君が……君が好きなんだ」

ジェフはポーラを後ろから抱きしめたそのままの状態で言葉を続ける。

「ポーラがネスの事好きなのは分かってる。僕の気持ちをポーラに伝えたらポーラが傷つくって事も……。だけど僕の気持ちを伝えずにはいられなくなったんだ……」

「ジェフ……」

「今だけ……、今だけこのままでいさせてほしいんだ。もうこんな事しないから……」

ジェフはそう言うとさっきよりもポーラを強く抱きしめる。まるでこれが最初で最後のわがままであるかのように。

「分かったわ、今だけこうしていて……」

ポーラは笑顔でジェフの方を振り向いて言った。

「ありがとう……」

ジェフは自分の最初で最後のわがままを叶えてくれたポーラの優しさに心から嬉しくなった。切ない片想い、叶う事のない恋だけれど今だけはそれを忘れられる幸せな時間だった……。



END
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