CLAMP作品小説

セフィーロの新たな『柱』となった炎の魔法騎士(マジックナイト)、獅堂光。新たな『柱』となった光は「全ての世界の人々が喜びも苦しみも共に分かち合い、愛する人々と共に幸福に生きる世界」を強く願い、一人の人間に重い責任を背負わせる柱制度の廃止を宣言する。全ての世界を創った創造主モコナはその意志を受け入れ、レイアース、セレス、ウィンダムの三体の魔神(マシン)達と新たな次元へと旅立っていった。
そして光の望みが叶い、争い合っていたセフィーロ、オートザム、チゼータ、ファーレンの四つの国が一つになり、新しい世界の一歩を踏み出し始める。さらにこれらの四つの国々のみならず、魔法騎士(マジックナイト)達が住む地球もセフィーロと繋がり、光、海、風の三人が自由にセフィーロと往来できるようになったのだ。
魔法騎士(マジックナイト)達をはじめとする皆の強い心で本当の意味で平和になったセフィーロ。今日はそんな平和で美しいセフィーロの王宮でダンスパーティーが開かれるのである。当然の事、光、海、風の三人も参加するつもりだ。三人はこのダンスパーティーのために踊り子兼幻惑師(ラル)のカルディナにダンスをみっちりと仕込まれたのである。

「海ちゃん、スタイルがよくていいなぁ」

「風、凄く綺麗よ!」

「光さん、とっても可愛いですわ」

三人は更衣室でそれぞれ種類の違うドレスに着替え、メイクと香水もばっちりだ。光は赤い振袖ドレスに赤いリボンにフルーティーノートの香調の香水、海は青いチャイナドレスに青いティアラにクーリッシュノートの香調の香水、風は緑色のプリンセスドレスに緑色の帽子にフローラルノートの香調の香水という装いである。

「さあ、会場に行こう!海ちゃん、風ちゃん!!」

「はい、皆さんがお待ちかねですわ」

「私と踊る幸せ者は誰かしらね?」

ダンスパーティーのための勝負ドレスに身を包んだ三人は優雅ながらも勢いよくダンスパーティーの会場へと向かっていった。



Side:光

「わぁ!皆凄く楽しそうに踊ってるー!!」

心から楽しそうに生き生きと踊るセフィーロの民達の様子に自分も楽しい気持ちと幸せな気持ちでいっぱいになっていく光。そんな光の元に真っ黒なタキシードに身を包んだ高身長の男がやってくる。

「………………ヒカル」

「あっ、ランティス!」

光の元にやってきたのは強い魔力と高い剣術を兼ね備えたセフィーロで唯一の魔法剣士(カイル)、ランティスだ。

「ヒカル、俺と一緒に踊ってほしい」

「……!ランティス、ありがとう」

共に踊る光とランティス。会場内に渡るハープの甘やかな旋律も幸せに包まれた二人を包むかのように優しく響いている。そんな光とランティスが共に踊る光景を見たランティスに恋する妖精、プリメーラがショックで崩れ落ちて泣き喚いていたらしい───



Side:海

「ウミ……!!」

「あら、アスコットじゃない!」

海の元にやってきたのは魔獣と心を通わせる力を持っている召喚士(パル)の男性、アスコットだ。彼はかつては子供で身長も海よりもずっと低かったが『海に相応しくなりたい』と強く願った事で青年の姿になり、今では海よりも頭一つ分高い高身長となったのである。

「アスコットはな、ウミと踊りたくてずっと張り切ってたんやで!!」

海とアスコットの間にカルディナが割り込んでくる。カルディナはアスコットの事を弟のように可愛がっていてアスコットが抱く海への想いを知っているが故に発破を掛けずにはいられない様子だ。

「カルディナ〜!!」

「ウッ、ウグッ、苦しい〜!!」

アスコットは海への想いを張本人たる海にバラされてしまった恥ずかしさから顔を真っ赤に染めてカルディナの口を両手で強く塞ぎ、カルディナは窒息しそうになってしまう。

「む、むぐ、う〜!!本当に死んでまう!!」

「あ……ご、ごめん。カルディナ」

アスコットは本当に窒息してしまいそうになったカルディナの口を開放し、本命たる海にアプローチをかける。

「僕、ウミと踊りたくてずっと踊りの練習してたんだよ」

「アスコット、そんなに私と踊りたいと思ってくれていたなんて……とても嬉しいわ」

「ウミ、僕と踊ってくれますか?」

「ふふっ、もちろんよ!!」

アスコットの真っ直ぐな気持ちに答えた海は彼とダンスを目一杯楽しみ、カルディナは心の底から幸せな気持ちに包まれている海とアスコットの様子を微笑ましそうに見つめている。まだまだ友達以上恋人未満な二人だけどこのダンスパーティーで距離がぐっと近付いた海とアスコット。アスコットの海への想いが成就する日もそう遠くはないのかもしれない───



Side:風

「なんだか緊張しますわね……」

きらびやかで豪華なダンスパーティーの雰囲気に緊張してしまった風。そんな風の元にセフィーロの王子、フェリオが現れた。

「フウ!一段と綺麗になったな!!」

「フェリオ!!」

風とフェリオは沈黙の森で出会い、沈黙の森を出た後のアルシオーネとの戦いの際にフェリオに助けを求める事なく『これは私達の戦いです』と言い切った風にフェリオが惚れた事がきっかけで恋仲となったのだ。

「まぁ、恋する乙女は綺麗になるというからな」

「もう、フェリオったら!!」

フェリオは風が自分に恋しているのは当然だと言わんばかりに余裕の態度で風をエスコートし、風もフェリオのエスコートに身を任せて共に踊り始める。



光はランティス、海はアスコット、風はフェリオ……かつての魔法騎士(マジックナイト)達はそれぞれの想い人と共に豪華で華やかできらびやかで、それでいて幸せと優しさに包まれた美しく平和なセフィーロを象徴するダンスパーティーを満喫するのだった───




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