CLAMP作品小説
今日も今日とて小狼の「ひとつの世界に留まらない」という対価の旅を続けている小狼、黒鋼、ファイ、モコナの一行である。今現在一行がいるのはアニメ、ビデオゲーム、漫画、家電が盛んな秋葉原共和国という国だ。
秋葉原共和国での暮らしも慣れてきたそんなある日、小狼はモコナが行きたいと主張した秋葉原共和国のアイドルグループ、D.U.P.の握手会にモコナを連れて行き、ファイは熱心にある漫画を読んでいる最中だ。
「ちょっとちょっと黒たんー!!」
ある漫画を読んでいるファイはいきなり大声を出して黒鋼を読ぶ。どうやら黒鋼に見てほしいシーンがあるようだ。
「いきなり大声出しやがってなんなんだ」
「あのねあのね、この漫画に出てる青い海龍、もしかしたら阪神共和国での黒たんの巧断じゃない?」
ファイが読んでいる漫画は『魔法騎士レイアース』という獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風の三人の少女が異世界セフィーロを救ってほしいと願うエメロード姫によって異世界セフィーロへと招喚されてエメロード姫が神官ザガートに捕らわれたことで、世界が危機に瀕していると導師クレフから教えられた三人が伝説の魔法騎士としてセフィーロを救う旅に出る、という物語だ。元々はモコナが好んで読んでいる漫画だが、モコナと一緒に読んでいるうちにファイもすっかり夢中になってしまったのである。
そんなファイが黒鋼を大声で読んでまで黒鋼に見てほしい漫画のある場面は三人の少女の一人、龍咲海が海の神殿で伝説の魔神と思われる青い海龍と対面を果たす場面。ファイが言っているのはこの青い海龍が阪神共和国で黒鋼に憑いた巧断だと言うことだ。黒鋼はファイに言われるがままにファイが見てほしいという場面を読む。
「こいつは……、完全に俺の巧断と同じじゃねぇか!!」
「でしょう?それでこの青い海龍の名前が『セレス』って言うんだって」
「セレス……お前が育った国と同じ名前だな」
「うん……、黒たんの巧断の青い海龍がオレの育った国と同じ名前だなんて本当に運命だとしか思えなくてびっくりしちゃった」
ファイは阪神共和国で黒鋼に憑いた巧断が自分がアシュラ王に連れられて育った国と同じ名前だという事実に驚きを隠せず、心臓がドキドキと高鳴っている。
「そ、それでね、そのセレス国が閉じる時に黒たんが左腕と蒼氷を引き換えにしてオレを連れ出してくれたでしょう?黒たんが桜都国からセレス国まで使っていた蒼氷ってブルーアイス、蒼い氷って意味なんだよね。蒼い氷ってなんだか黒たんというよりは氷のように心を固く閉ざして誰にも関わらないようにしていたオレの事みたいだ……」
黒鋼が桜都国からセレス国まで使っていた片刃の長剣、蒼氷。蒼氷の意味はブルーアイス、文字通り青く凍っている氷という意味だ。蒼氷の意味を理解してファイの心臓は更にドキドキと高鳴っていく。
「そ、そう思うとね、黒たんに憑いた巧断がセレスって名前な事も……、黒たんの左腕と蒼氷がオレを連れ出すための身代わりになった事も……、全部運命で必然だったのかなって思っちゃって……」
恥ずかしそうにごにょごにょと小さい声で話すファイ。黒鋼はそんなファイの事を愛しく思い、ファイの金髪をわしわしと撫でた。
「そんなの当たり前だろうが。魔女が言うに『この世に偶然なんてない、あるのは必然だけ』なんだからな」
「あるのは必然だけ……、じゃあ黒たんに憑いた巧断がセレスって名前で黒たんが使っていた剣が蒼氷って名前な事もオレの運命の人は君だって最初から決まってたから……なのかな?」
「そうとしか思えねぇな。セレスに蒼氷……、こんな偶然が二度も続くとは考えられん。つまりだな、この事実から考えられる事はお前は俺の運命の人でお前の運命の人は俺って事だろ」
「えへへ……、そっかぁー。まるで小狼君とサクラちゃんみたいだね。じゃあオレ達って飛王が仕組まなくてもいずれは出会っていたのかもね」
「だろうな。飛王の最大の誤算は小僧がもうひとりの小僧に心を写した事と俺とお前を争わせようとした事だな。どうやったってお人好しのお前に俺が殺せるわけねぇし、お前の運命の人が俺だって最初から決まってたんなら尚更な」
「だねー。ねぇ黒たん……」
「なんだ?」
「これからもずっとオレと一緒にいてくれる?もうオレ、君のいない人生なんて考えられないから……」
「てめぇに言われなくてもそのつもりだぞ俺は。てめぇこそ俺が年を取って皺くちゃの爺さんになっても俺の隣にずっといろ」
「そんなの当たり前だよー、黒たんが年を取ってお爺さんになっても君の事を好きなオレの気持ちは変わらないんだから」
「……そうかよ」
そうしてお互いを想い合う甘い会話をしながら抱きしめ合う二人。D.U.P.の握手会から帰ってきた小狼とモコナは相変わらずな黒鋼とファイのラブラブっぷりを微笑ましく思うのだった───
END
秋葉原共和国での暮らしも慣れてきたそんなある日、小狼はモコナが行きたいと主張した秋葉原共和国のアイドルグループ、D.U.P.の握手会にモコナを連れて行き、ファイは熱心にある漫画を読んでいる最中だ。
「ちょっとちょっと黒たんー!!」
ある漫画を読んでいるファイはいきなり大声を出して黒鋼を読ぶ。どうやら黒鋼に見てほしいシーンがあるようだ。
「いきなり大声出しやがってなんなんだ」
「あのねあのね、この漫画に出てる青い海龍、もしかしたら阪神共和国での黒たんの巧断じゃない?」
ファイが読んでいる漫画は『魔法騎士レイアース』という獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風の三人の少女が異世界セフィーロを救ってほしいと願うエメロード姫によって異世界セフィーロへと招喚されてエメロード姫が神官ザガートに捕らわれたことで、世界が危機に瀕していると導師クレフから教えられた三人が伝説の魔法騎士としてセフィーロを救う旅に出る、という物語だ。元々はモコナが好んで読んでいる漫画だが、モコナと一緒に読んでいるうちにファイもすっかり夢中になってしまったのである。
そんなファイが黒鋼を大声で読んでまで黒鋼に見てほしい漫画のある場面は三人の少女の一人、龍咲海が海の神殿で伝説の魔神と思われる青い海龍と対面を果たす場面。ファイが言っているのはこの青い海龍が阪神共和国で黒鋼に憑いた巧断だと言うことだ。黒鋼はファイに言われるがままにファイが見てほしいという場面を読む。
「こいつは……、完全に俺の巧断と同じじゃねぇか!!」
「でしょう?それでこの青い海龍の名前が『セレス』って言うんだって」
「セレス……お前が育った国と同じ名前だな」
「うん……、黒たんの巧断の青い海龍がオレの育った国と同じ名前だなんて本当に運命だとしか思えなくてびっくりしちゃった」
ファイは阪神共和国で黒鋼に憑いた巧断が自分がアシュラ王に連れられて育った国と同じ名前だという事実に驚きを隠せず、心臓がドキドキと高鳴っている。
「そ、それでね、そのセレス国が閉じる時に黒たんが左腕と蒼氷を引き換えにしてオレを連れ出してくれたでしょう?黒たんが桜都国からセレス国まで使っていた蒼氷ってブルーアイス、蒼い氷って意味なんだよね。蒼い氷ってなんだか黒たんというよりは氷のように心を固く閉ざして誰にも関わらないようにしていたオレの事みたいだ……」
黒鋼が桜都国からセレス国まで使っていた片刃の長剣、蒼氷。蒼氷の意味はブルーアイス、文字通り青く凍っている氷という意味だ。蒼氷の意味を理解してファイの心臓は更にドキドキと高鳴っていく。
「そ、そう思うとね、黒たんに憑いた巧断がセレスって名前な事も……、黒たんの左腕と蒼氷がオレを連れ出すための身代わりになった事も……、全部運命で必然だったのかなって思っちゃって……」
恥ずかしそうにごにょごにょと小さい声で話すファイ。黒鋼はそんなファイの事を愛しく思い、ファイの金髪をわしわしと撫でた。
「そんなの当たり前だろうが。魔女が言うに『この世に偶然なんてない、あるのは必然だけ』なんだからな」
「あるのは必然だけ……、じゃあ黒たんに憑いた巧断がセレスって名前で黒たんが使っていた剣が蒼氷って名前な事もオレの運命の人は君だって最初から決まってたから……なのかな?」
「そうとしか思えねぇな。セレスに蒼氷……、こんな偶然が二度も続くとは考えられん。つまりだな、この事実から考えられる事はお前は俺の運命の人でお前の運命の人は俺って事だろ」
「えへへ……、そっかぁー。まるで小狼君とサクラちゃんみたいだね。じゃあオレ達って飛王が仕組まなくてもいずれは出会っていたのかもね」
「だろうな。飛王の最大の誤算は小僧がもうひとりの小僧に心を写した事と俺とお前を争わせようとした事だな。どうやったってお人好しのお前に俺が殺せるわけねぇし、お前の運命の人が俺だって最初から決まってたんなら尚更な」
「だねー。ねぇ黒たん……」
「なんだ?」
「これからもずっとオレと一緒にいてくれる?もうオレ、君のいない人生なんて考えられないから……」
「てめぇに言われなくてもそのつもりだぞ俺は。てめぇこそ俺が年を取って皺くちゃの爺さんになっても俺の隣にずっといろ」
「そんなの当たり前だよー、黒たんが年を取ってお爺さんになっても君の事を好きなオレの気持ちは変わらないんだから」
「……そうかよ」
そうしてお互いを想い合う甘い会話をしながら抱きしめ合う二人。D.U.P.の握手会から帰ってきた小狼とモコナは相変わらずな黒鋼とファイのラブラブっぷりを微笑ましく思うのだった───
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