MOTHER小説

一面に桃色の大地が広がる異世界マジカントの女王、クイーンマリーが忘れてしまった八つのメロディーを集めるため、マザーシップに連れ去られてしまったイースターの町の大人達とアナの母親を救い出すためにホーリーローリーマウンテンの山頂を目指しているニンテン、アナ、ロイドの三人。彼らはここにくるまでに仲間のテディがR・7038との戦いで重傷を負ったり、ニンテンの曾祖父ジョージが後の宇宙人の襲撃に備えて作ったロボット、イヴがニンテン、アナ、ロイドを守るためにR・7038XXとの壮絶な相討ちの末に大破してしまった。イヴは残骸の心臓部から七番目のメロディーをニンテンに授け、その短い生涯を終えるという辛く悲しい出来事が立て続けに起こり、普通ならば既にメンタルがボロボロになり挫けそうになってしまうような精神状態の中にあるニンテン、アナ、ロイドだが、三人はここで自分達が挫けてしまったらテディとイヴの気持ちが無駄になってしまうという強い思いを胸に秘めて8番目のメロディーを求めホーリーローリーマウンテンの山頂を目指していくのだった。



ニンテン、アナ、ロイドは山頂に近づけば近づくほど強くなっていくホーリーローリーマウンテンに巣食う邪悪な怪物達を退けながら、ついに三人ともが倒れる事なく無事に山頂に辿り着く事が出来たのだ。山頂には石碑があり、ニンテンがその石碑に触れたその時、石碑が輝きを放ってニンテンに語りかけてきたのだ。



『ようこそ、ニンテン。かならずここまでたどり着けると信じていました。その昔、ニンテンの曾祖母マリアは八つのメロディーそれぞれに精一杯の愛を散りばめ、まだ見ぬあなた達への贈り物としたのです……』



石碑が語り終えた後、八番目のメロディーが流れだす。ニンテンが八番目のメロディーを覚えた事でマジカントの王女、クイーンマリーが忘れてしまった八つのメロディーを全て覚えたニンテン、アナ、ロイドの三人は以前クイーンマリーから聞いていた『私の歌が聞きたいの?ごめんなさい。どうしても思い出せない。いつかきっと思い出して歌えるはず……あの歌を歌えた時に、そう……何かが起きるの』という言葉に従い、どこにいても直ぐ様マジカントに行く事が出来る道具、瑪瑙の釣り針を使ってマジカントに移動した。



*   *   *



そして、ニンテン、アナ、ロイドの三人は今までの旅路で覚えた八つのメロディーをクイーンマリーに届けるためにクイーンマリーの城を訪れ、ついにクイーンマリーが忘れてしまった歌を思い出す瞬間がやってきたのだ。

「ニンテン、アナ、ロイド」

「「「はい」」」

クイーンマリーは慈愛に満ちた微笑みで三人に笑いかけ、彼らが旅の中で覚えてきた歌を聞かせてほしいと願う。

「あなた達が覚えてきた歌を私に聞かせて」

「分かりました。アナ、ロイド、準備はいいかい?」

「ええ、もちろんよ」

「了解だよ!」

クイーンマリーの願いを聞き入れたニンテン、アナ、ロイドの三人は旅路の中で覚えてきた八つのメロディーからなる八小節の歌を歌いはじめる。ニンテン、アナ、ロイドの三人が八小節を全て歌い終えたその時、クイーンマリーは過去に忘れてしまった歌を思い出し、ニンテン、アナ、ロイドの三人が集めた八つのメロディーからなる八小節の歌を歌い始めた。

「そう。そう……この歌だった」

クイーンマリーは忘れてしまっていた歌を思い出す事が出来た喜びで涙を流し、かつての自分が本当の子供のように慈しみ育てた宇宙人の子供、ギーグに語り始める。

「ああ……ギーグ……。本当の子供のように可愛がったのに……尻尾をふってた赤ちゃんだった……子守り歌を……でも……」

「クイーンマリー、どうしたんですか!?」

「ギーグ?それは一体誰なのですか?」

クイーンマリーが発した『ギーグ』という単語に驚きを隠せない様子のロイドとアナ。ニンテンは驚きを隠せない様子のロイド、アナとは対照的にクイーンマリーの語りに耳を傾けている。

「ああ、ジョージ!あなたの妻のマリアです。あなたの待つ天国に、私も今からむかいます」

「ジョージとマリア!?それはぼくの曾お祖父ちゃんと曾お祖母ちゃんの名前……!!」

消えゆくクイーンマリーが発した『ジョージ』『マリア』という単語を聞き、先程までクイーンマリーの語りに耳を傾けていたニンテンが大声でクイーンマリーに問いかけるが、忘れてしまっていた自分自身の過去の全てを語り終えた彼女は風の中へと消えていき、マジカントの国もまた跡形もなく消え去ってしまう。マジカントの国とはクイーンマリー=マリアの意識が作り出した幻の国だったのだ。






そうして気がつくと、ニンテン、アナ、ロイドの三人はホーリーローリーマウンテンの山頂に立っていた。

「クイーンマリーはぼくの曾お祖母ちゃんだったんだ……」

「マジカントの国も民達も全て幻だったんだね……」

クイーンマリーの正体がニンテンの曾祖母マリアだった事、マジカントの国も、そこに住む優しかった民達も全てが幻の存在だったという真実を知らされた三人は悲しみを感じてしまうが、今は悲しんでいる場合ではない。

「ニンテン、ロイド!悲しい気持ちは分かるけれど、今は悲しんでいる時じゃないわ。全ての元凶の宇宙人の親玉はきっとこの洞窟の中よ、行きましょう!!」

アナは悲しみで気落ちしているニンテンとロイドの手を握り、二人に喝を入れていく。

「アナ……そうだ、君の言う通りだよ!今は悲しみに浸っている場合じゃない。悲しむのは全てが終わってからだ!!」

「そうだよ、宇宙人の襲撃から地球を守らないと僕達は大切なもの全てをなくしてしまう。そんな悲惨な未来を回避するためにも宇宙人を追い払わないと!!」

クイーンマリーとマジカントの国の衝撃の真実を知ってしまい、先程まで悲しみで気落ちしていたニンテンとロイドだったが、アナの叱咤により気力が完全回復し、地球を守るんだという強い意志が溢れていく。

「さあ、行こう!!地球侵略を企む宇宙人を倒すんだ!!」

「「「えいえいおー!!」」」

ニンテンが決意の声を張り上げ、さらに掛け声で戦いの士気を高めた後、三人はいよいよ宇宙人の親玉が待ち構えているホーリーローリーマウンテンの山頂の洞窟に入っていく。



そしてニンテン、アナ、ロイドの三人は地球侵略をもくろむ全ての元凶の宇宙人『ギーグ』との戦いの中で、ニンテンの曾祖父ジョージが後の子孫となるニンテンのためにPSIの研究をしていた事、曾祖母マリアが宇宙人ギーグを本当の子供のように慈しみ育ててきた事を知り、ニンテン、アナ、ロイドの三人は曾祖母マリアがギーグのために歌った子守唄『エイトメロディーズ』に込められた想いの力をギーグに届けた事が決定打となり、マリアからの母の愛を受けたギーグは戦意を喪失し、マザーシップとともに地球を去っていった。



後の子孫、ニンテンのためにPSIの研究をし、ロボット・イヴを作ったジョージと宇宙人ギーグを本当の子供のように慈しんで育てたマリア。これはまさに世代を超えた家族の絆が地球を救った物語である───



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