レインボーロケット団襲来!〜愛の女神ルリと平和の女神リーリエ〜

「ほう……、ワタクシをご存じでしたか。そう、ワタクシはゲーチス、プラズマ団のゲーチスです。アナタ達が倒してきたボス達と同じく異世界より呼び出されし者」

ゲーチスがそう言うとキョウヘイ、ヨウ、メイ、ミヅキ、トウヤ、N、アクロマはゲーチスを睨む。ゲーチスはそれに少しも怯まずに続ける。

「アナタがたをこの先へ行かせるわけにはいきません。ワタクシが異なる世界に飛ばされた理由……、いろいろと考えていたのですがようやく答えが出たのです。あらゆる世界を回り、ポケモンを人間から解放し、全ての世界でワタクシだけが力を持つ!」

この世界でのゲーチスの末路を知るキョウヘイ、メイ、トウヤ、N、アクロマはゲーチスがポケモンを人間から解放し自分だけがポケモンを持つという野望の実現を果たした世界があると知り驚きを隠せない。さらにゲーチスは続ける。

「この野望を叶えるには操り人形が必要です。純粋な悪の思想を持つロケット団のボスサカキ、あの男……、王としてうまく扱えばワタクシはあらゆる存在の頂点に立てるのです!!目的が分かりやすい人間はそこにいるNのような人の心を持たぬ化け物よりはるかに制御しやすいのです!そして拉致した桃色の髪の娘と金色の髪の娘はワタクシの愛の女神、平和の女神として利用させていただきます!いいですか?ワタクシの王としてサカキを、ワタクシの愛の女神、平和の女神としてその桃色の髪の娘と金色の髪の娘を利用するため、アナタがたに邪魔をされては困るのですよ!」

ゲーチスのその言葉にNは下を向き、ルリとリーリエは足がすくんで動けなくなる。キョウヘイはそんなN、ルリ、リーリエの様子を見てゲーチスに啖呵を切る。

「お前のそんな下らない野望のためにNさんを侮辱し、ルリとリーリエちゃんを利用するだと!?ふざけるな!お前の野望をこの世界で実現させるわけにはいかない!Nさん、リーリエちゃん、そしてルリのために……、ゲーチス!僕がお前を倒す!」

怒りをあらわにするキョウヘイに対しゲーチスは問う。

「……どうしても逆らうおつもりですか?」

「ああ!」

ゲーチスの問いにキョウヘイは一切怯まない。

「分かりました……、では!負けてはなばなしく散れ!」

プラズマ団のゲーチスが勝負をしかけてきた!

「いきなさい!デスカーン!」

「いってこい!ウインディ!」

ゲーチスはデスカーンを、キョウヘイはウインディを繰り出す。

「デスカーン、あくのはどうです!」

デスカーンのあくのはどうがウインディにヒットしダメージを与えるがウインディの特性「せいぎのこころ」により悪タイプの技をくらったウインディのこうげきが上がる。

「なに!?」

「ウインディ、かみくだくだ!」

悪タイプの技、かみくだくはゴーストタイプのデスカーンにこうかはばつぐんだ。自身の特性「せいぎのこころ」でデスカーンのあくのはどうをくらった事で火力の上がったかみくだくにデスカーンは倒れてしまう。

「戻ってくださいデスカーン!次はアナタです、バッフロン!」

ゲーチスの二番手はバッフロンだ。

「バッフロン!じしんです!」

バッフロンのじしんがウインディにヒットする。炎タイプのウインディにとって地面タイプの技、じしんはこうかばつぐんだ。

「ウインディ……、おにび!」

ウインディはおにびでバッフロンをやけど状態にし、バッフロンのこうげきを下げるも……。

「バッフロン、アフロブレイクです!」

先ほどのじしんのダメージが蓄積していた事もあり、ウインディは戦闘不能となる。

「よくやってくれた、ウインディ。いってくれ!エンブオー!」

「ブオウ!」

キョウヘイの二番手はエンブオーだ。

「じしんです、バッフロン!」

「アームハンマーだ!エンブオー!」

バッフロンのじしんがエンブオーにヒットするもエンブオーのアームハンマーはかくとうタイプの技。ノーマルタイプのバッフロンにこうかはばつぐんだ。さらに先ほどのアフロブレイクの反動ダメージが蓄積していた事も重なり、バッフロンは倒れる。

「戻ってくださいバッフロン。次はアナタです!キリキザン!」

ゲーチスの三番手、キリキザン。このキリキザンはルリの背中に傷をおわせたポケモンという事もあり、キリキザンを見たキョウヘイの怒りはフルMAXだ。

「キリキザン、ストーンエッジです!」

「エンブオー!アームハンマー!」

キリキザンのストーンエッジとエンブオーのアームハンマーが同時にヒットする。キリキザンのストーンエッジはきゅうしょにあたったがエンブオーを戦闘不能にするまでには至らず、キリキザンの方がエンブオーのアームハンマーで戦闘不能となる。

「キリキザン、戻ってください。次はアナタですよ!サザンドラ!」

「サザンドーラ!」

ゲーチスの四番手はサザンドラだ。

「サザンドラ、なみのりです」

サザンドラのなみのりがエンブオーにヒットする。炎・かくとうタイプのエンブオーにとって水タイプの技、なみのりはこうかはばつぐんだ。なみのりのダメージに加え、バッフロンのじしんとキリキザンのストーンエッジのダメージも蓄積していたエンブオーは倒れてしまう。

「よく頑張ったな、エンブオー。次は君だ、クチート!」

キョウヘイの次のポケモンはクチート。このクチートはルリとのポケモン交換で貰ったポケモンだ。余談だがルリのタブンネはこの時のポケモン交換でキョウヘイから貰ったポケモンである。

「サザンドラに対抗するには……、これだ!」

「クチクチー!」

キョウヘイはクチートナイトをはめたメガリングをクチートに掲げる。

「進化を超える進化……、メガシンカ!!」

キョウヘイがそう叫ぶとクチートは別の姿へとその身を変える。

「メガシンカだと……!?そのような進化が存在するはずが……!」

ゲーチスははじめて目の当たりにするメガシンカに驚きを隠せない。

「メガクチート、じゃれつく!」

フェアリータイプの技、じゃれつくがサザンドラに炸裂する。悪・ドラゴンタイプのサザンドラにとって致命傷なダメージなのに加えてメガクチートの特性「ちからもち」の効果でその威力はさらに倍増し、サザンドラは一撃で倒れてしまう。

「戻ってくださいサザンドラ!……、このワタクシにこのポケモンを出させるまで追い詰めるとは……、ならば見せてあげましょう!いでよ!こくいんポケモンゼクロム!!」

「バリバリダー!」

ゲーチスが繰り出した最後のポケモンはイッシュ地方の理想を司る伝説のポケモン、ゼクロムだ。

「ゲーチスがゼクロムを……!?」

この世界でゼクロムに選ばれた理想の英雄であるトウヤはゲーチスがゼクロムを従えている事に驚く。

「なるほど……、ゼクロムか……」

驚いた顔をするトウヤとは対照的に、キョウヘイは少しも驚かずにニヤリとした顔をする。そして……。

「戻ってくれ、メガクチート」

キョウヘイはメガクチートを引っ込め、マスターボールを手に取る。

「そっちがゼクロムでくるなら僕はこいつだ!いけ!ホワイトキュレム!!」

「バァーニキュラムッ!!」

キョウヘイの次のポケモンはきょうかいポケモンキュレム。しかしこのキュレムはただのキュレムではなく真実を司る伝説のポケモン、レシラムとキュレムがいでんしのくさびにより合体した姿、ホワイトキュレムだ。

「キョウヘイさんも合体ポケモンを!?」

「これがレシラムとキュレムが合体したホワイトキュレム……、素晴らしい!実に素晴らしいっ!!」

自身も日食ネクロズマという太陽を司る伝説のポケモン、ソルガレオとプリズムポケモンネクロズマが合体したポケモンを所持しているヨウは驚き、ポケモンの力を100パーセント引き出す方法を常に求めてやまないアクロマはホワイトキュレムのその姿に大興奮する。

「レシラムとキュレムが合体したホワイトキュレムですと!?まさかそんな事はありえない……、あ り え る は ず が な い の で す!!」

レシラムとキュレム、イッシュ地方の二匹のドラゴンが合体した姿にゲーチスは動揺を隠せない。

「ホワイトキュレム、りゅうのはどう!」

「ゼクロム、ドラゴンクローです!」

ホワイトキュレムのりゅうのはどうはドラゴン・電気タイプのゼクロムにこうかはばつぐんで、ゼクロムのドラゴンクローはドラゴン・氷タイプのホワイトキュレムにこうかはばつぐんだ。しかしホワイトキュレムにはりゅうのはどうの他にもゼクロムにこうかばつぐんのダメージを与えられる技がある。

「コールドフレアだ!」

ホワイトキュレムにしか扱えない氷タイプの大技、コールドフレアがゼクロムにきゅうしょにあたり、さらにこうかばつぐんのダメージを与えゼクロムが戦闘不能となりこのバトル、キョウヘイの勝利だ。

「キョウヘイ君が勝ったぁ……!」

「キョウヘイさん、凄いです……」

「ナイスファイトだったよ、キョウヘイ」

「キョウヘイ……、やはりキミは凄いポケモントレーナーだよ」

「キョウヘイさん……、さすがはわたくしが見込んだポケモントレーナーですね!」

「「「やったー!!」」」

ルリ、リーリエ、トウヤ、N、アクロマ、ヨウ、ミヅキ、メイの順番にキョウヘイの勝利を心から喜ぶ。これでルリとリーリエが愛の女神、平和の女神としてゲーチスに利用される事は避けられた。

「このワタクシがどこのダレとも分からぬ、つまらぬトレーナーなんぞに……!!認めるか……!ありえるか……!ならば奥の手だ……!」

バトルに負けた事を認められないゲーチスはとんでもない行動に出る。

「きゃっ!」

なんとゲーチスはルリにナイフを突き付けキョウヘイを脅してきた。

「ルリ!」

「……ふはは!バカな!ワタクシが負けるなどありえない!あ っ て い い は ず が な い の で す!!キョウヘイよ!この娘の命が大事なら今すぐモンスターボール全てとそのホワイトキュレムを捨て去るのです!」

「ゲーチス……、どこまでも汚い男め……!」

「どこまでも欲望に忠実ですね……、ゲーチス!」

ゲーチスの卑劣な行動にトウヤとアクロマは怒りに震えている。

「な……、なんて卑劣なの……!キョウヘイ君……、言うこと聞いちゃダメだよ……」

「ルリ……」

ルリはキョウヘイにゲーチスの言うことを聞かないようにお願いするもキョウヘイはルリの命がかかっているとなると気持ちが躊躇してしまう。

「黙りなさい!娘よ!おや?アナタのモンスターボールとホワイトキュレム、震えていますね。もしかしてアナタのポケモンは怒りに震えているとか?構いません!早くモンスターボール全てとホワイトキュレムを捨てるのです!」

「くっ……」

キョウヘイがゲーチスの脅しに屈してしまいそうになるその瞬間……、

「キュウコンさん!あの男にさいみんじゅつです!」

「キュウコーン!」

リーリエがキュウコンを繰り出しゲーチスにさいみんじゅつをかけるように命じる。リーリエのこのキュウコンは炎タイプのキュウコンではなくアローラ地方の独自の自然環境に適応し、独自の姿となった氷・フェアリータイプのキュウコンだ。

「な……ん……で……すと……?……zzz……」

キュウコンのさいみんじゅつがゲーチスに命中し、ゲーチスは眠ってしまう。この事によりルリは助かった。

「リーリエちゃん、キュウコン、ありがとう!」

リーリエとキュウコンに命を助けられたルリはお礼を言う。

「ルリさんが助かってよかったです!」

「僕からもお礼を言うよ、ありがとう」

キョウヘイもリーリエとキュウコンにお礼を言った。

「これでゲーチスの身柄の確保、完了です!」

アクロマがゲーチスの身柄を確保しキョウヘイ、ヨウ、メイ、トウヤ、N、ミヅキ、アクロマ、ルリ、リーリエはワープパネルに乗り、レインボーロケット団のボス、サカキの部屋に向かう。最終決戦の時は近い───
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