忌み子と自殺趣味
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「すンませんでしたッ!」
バンッ!!
探偵社の入っているビルの一階。
【うずまき】
席につくなり谷崎くんは全力で敦くんに謝った。
「へ?」
そんな、素っ頓狂な声を出し、彼はポカーンとした。
気にせず茶を啜る国木田さんとニコニコと眺める太宰さん。
私はもうすぐ届くであろうあんみつを楽しみに待っている所である。
「その、試験とは云え…随分と失礼な事を…。」
「ああ、いえ。良いんですよ。」
そう謙虚に云う敦くんはそういう事かという感じの顔をしている。
「何を謝ることがある。あれも仕事だ、谷崎。」
「国木田君と気障(キザ)に決まってたしねぇ。」
そういった太宰さんがポーズを決めた。
「【独歩吟客】!」
「ばっ……違う!あれは事前の手筈通りにやっただけで!」
「あんみつは薙澄沙ちゃんかい?」
横の席で騒ぐのを見ているとあんみつが届いた。
『はい、私です。』
「いつもありがとねえ。」
『いえ、こちらこそ。…変人ばかりですが、これからもよろしくお願いします…。』
長いこと来ているから、とても仲良くさせてもらっている。
ツケが大量にある太宰さんでも受け入れてくれるからここは本当にすごい場所だと思っている。
頂きますと云い、あんみつを食べ始めた。
太宰さんと国木田さんの口喧嘩が終わり、私達の頼んだ物がすべてなくなる頃、国木田さんが口を開いた。
「ともかくだ、小僧。貴様も今日から探偵社が一隅。ゆえに、周りに迷惑を振りまき、社の看板を汚す真似はするな。俺も、他の皆もそのことを徹底している。なあ、太宰。」
この場で一番守れてなさそうな人に声をかける国木田さん。
それを華麗に無視した太宰さんはうっとりしながらこう云った。
「あの美人の給仕さんに『死にたいから首絞めて』って頼んだら応えてくれるかな。」
そして始まる二人の漫才。
始まったら暫くは止まらない。
『そう云えば私、敦くんにきちんと自己紹介してないですね。改めまして、鳴那月薙澄沙です。探偵社では、調査員をしています。』
「じゃあ、ボクも改めて。谷崎って云います。探偵社で手代みたいな事をしています。そンで、こっちが。」
「妹のナオミですわ。」
そう云い谷崎くんにくっつくナオミちゃん。折れたらしいところは今の衝撃でも響いたらしく、いてっ。と、いっている。
「兄様のコトなら……、何でも知ってますの。」
そう云うナオミちゃんの目が少し妖しく光る。
「き――、兄妹ですか?本当に?」
そして、ダラダラと冷や汗を流しながら聞く敦くん。
勇者だなぁ。
「あら、お疑い?」
そう云って、ナオミちゃんは谷崎くんの服に手を入れる。
公共の場であっても、こういった大胆な事ができるのはすごいと思うが、見ているこっちはなんとも言えない気分になる。
「勿論どこまでもちの繋がった兄妹でしてよ……?このアタリの躯(カラダ)つきなんてホントにそっくりで……。ねぇ、兄様?」
「いや、でも…。」
何か云いかけた敦くんを国木田さんが肩にポンと手を当てた。
何を云うのかはわかる。
この2人に関して、あまり深く追求してはいけない。
そう云う暗黙のルールがあるからだ。
それを察したようにコクリと頷く敦くん。
察してくれて本当によかった。
「そういえば、皆さんは探偵社に入る前は何を?」
その言葉を境にシン…となるテーブル。
そして、あれ?まずいこと聞いた…?というような表情をしている敦くん。
「何してたと思う?」
太宰さんが嬉しそうに敦くんに声をかけた。
真逆、自分から言い出すとは思ってなかった。
「へ?」
「なにね、定番なのだよ。新入りは先輩の前職を中てるのさ。」
「はぁ……。じゃあ……。」
そして、考える仕草を見せる敦くん。
何処まで当たるだろうか。
「谷崎さんと妹さんは……………学生?」
「おっ、中ッた。凄い。」
「どうしてお分かりに?」
「ナオミさんは制服から見たまんま。谷崎さんのほうも――齢が近そうだし勘で。」
「やるねぇ。じゃあ、国木田君は?」
「止せ!俺の前職など如何でも―――」
「うーん、お役人さん?」
『惜しい。国木田さんは、元学校教諭なんです。数学の。』
「へぇぇ!」
「昔の話だ。思い出したくもない。」
そう云う国木田さんだが、私の中では一番納得のいく答えだ。
とても分かる。
「それじゃあ、薙澄沙ちゃんは?」
「薙澄沙さんも…学生?」
『んー、半分くらいは中ってますかね。』
「半分なんですか?」
『私も、孤児で社長に拾っていただいたんです。その時から学校に通いながら手伝いをしてるので、前職は村人Aというあたりが正解かもしれませんね。』
「そうなんですか。…目の眼帯は、大丈夫なんですか?」
『あ、ああこれ。どうなってると思いますか?眼帯の下。』
「えっ。」
真逆、聞かれるとは思ってなかったらしい。
わたわたしている。
「うっ…右目が疼く…!!…みたいな事になってたり…。」
『厨二病ではないです。』
「それでは…片目が見えないから隠すため…?」
『有り得そうだけど、違います。』
「火傷跡がある?」
『無いです。まぁ、見せますか…。』
太宰さんが凄く期待を含んだ目で見てくる。
『太宰さんは、見ないでください。』
「薙澄沙ちゃんの酷さが戻ってきた!つらい!」
『まぁ、取りますね。』
そういって、敦くんの方をむき眼帯を取る。
「え、紅い…?」
『はい。突然変異か何かで生まれながらこんな目をしていました。あまり、いい思い出ではないので眼帯で塞いでいることが多いんです。』
「そういう事なんですか…。でも、綺麗ですね…。」
敦くんは魅入るように私の目を見た。
流石にそこまで見られるとはずかしいぞ。
「じゃ、私は?」
不意に響く太宰さんの声。
「え?太宰さんは……。」
そういった敦くんの目線は太宰さんに移る。
あまりに考え込んでるので、見かねた国木田さんが口を開いた。
「無駄だ、小僧。武装探偵社七不思議の一つなのだ。こいつの前職は。」
「最初に中てた人に賞金が有るンでしたっけ。」
「そうなんだよね。誰も中てられなくて懸賞金が膨れあがってる。」
そう云い、太宰さんはカップに入れたスプーンをくるりと回す。
「俺は溢者の類だと思うが、こいつは違うと云う。しかしこんな奴が真面な勤め人だった筈がない。」
『私も同意見です。』
「ちなみに、懸賞金って如何ほど?」
お金に目のない敦くん…。
でも、仕方ないのか、孤児だったんだし…。
「参加するかい?賞金は今――七十万だ。」
そう太宰さんが云うと目つきの変わった彼はガタッと立ち上がった。
正面に座っていた谷崎くんが驚くぐらいだから相当すごい目をしていたのかもしれない。
「中てたら貰える?本当に?」
「自殺主義者に二言は無いよ。」
そして、キッとした目つきになる敦くん。
本気か…。
「勤め人(サラリ-マン)」
「違う。」
「研究職」
「違う。」
「工場労働者」
「違う。」
「作家」
「違う。」
「役者」
「違う。」
敦くんの云う職業を一刀両断に切り捨てていく太宰さん。
ここまで違うと気持ちのいいものがある。
「役者は照れるね…。」
『黙ってれば顔はいいですしね。』
「薙澄沙ちゃんに褒めれた…。」
『褒めてないです。』
そして暗くなる太宰さん。
性格に難があるのが一番の問題だとほんとに思う。
そんな会話の中、まだ考え続けている敦くん。
「だから、本当は浪人か無宿人の類だろう?」
「違うよ。」
そう云って太宰さんは立ち上がった。
「この件では私は嘘など吐かない。」
真面目な声。
本当のことなのだろう。
「うふふ、降参かな?じゃ、此処の払いは宜しく。ご馳走様ー。」
語尾にに音符がつくぐらい調子の良い声。
ほら、逃げられたと国木田さんを見る。
溜息をついている様子が見られた。
ピピピピピピピピ
谷崎くんの電話がなった。
「うン?ハイ。……え?依頼ですか?」
谷崎くんのその声を聞き残っていた私達は立ち上がる。
事務所に戻り、話を聞くことになるだろう。
会計を済ませ、急いで戻った。
バンッ!!
探偵社の入っているビルの一階。
【うずまき】
席につくなり谷崎くんは全力で敦くんに謝った。
「へ?」
そんな、素っ頓狂な声を出し、彼はポカーンとした。
気にせず茶を啜る国木田さんとニコニコと眺める太宰さん。
私はもうすぐ届くであろうあんみつを楽しみに待っている所である。
「その、試験とは云え…随分と失礼な事を…。」
「ああ、いえ。良いんですよ。」
そう謙虚に云う敦くんはそういう事かという感じの顔をしている。
「何を謝ることがある。あれも仕事だ、谷崎。」
「国木田君と気障(キザ)に決まってたしねぇ。」
そういった太宰さんがポーズを決めた。
「【独歩吟客】!」
「ばっ……違う!あれは事前の手筈通りにやっただけで!」
「あんみつは薙澄沙ちゃんかい?」
横の席で騒ぐのを見ているとあんみつが届いた。
『はい、私です。』
「いつもありがとねえ。」
『いえ、こちらこそ。…変人ばかりですが、これからもよろしくお願いします…。』
長いこと来ているから、とても仲良くさせてもらっている。
ツケが大量にある太宰さんでも受け入れてくれるからここは本当にすごい場所だと思っている。
頂きますと云い、あんみつを食べ始めた。
太宰さんと国木田さんの口喧嘩が終わり、私達の頼んだ物がすべてなくなる頃、国木田さんが口を開いた。
「ともかくだ、小僧。貴様も今日から探偵社が一隅。ゆえに、周りに迷惑を振りまき、社の看板を汚す真似はするな。俺も、他の皆もそのことを徹底している。なあ、太宰。」
この場で一番守れてなさそうな人に声をかける国木田さん。
それを華麗に無視した太宰さんはうっとりしながらこう云った。
「あの美人の給仕さんに『死にたいから首絞めて』って頼んだら応えてくれるかな。」
そして始まる二人の漫才。
始まったら暫くは止まらない。
『そう云えば私、敦くんにきちんと自己紹介してないですね。改めまして、鳴那月薙澄沙です。探偵社では、調査員をしています。』
「じゃあ、ボクも改めて。谷崎って云います。探偵社で手代みたいな事をしています。そンで、こっちが。」
「妹のナオミですわ。」
そう云い谷崎くんにくっつくナオミちゃん。折れたらしいところは今の衝撃でも響いたらしく、いてっ。と、いっている。
「兄様のコトなら……、何でも知ってますの。」
そう云うナオミちゃんの目が少し妖しく光る。
「き――、兄妹ですか?本当に?」
そして、ダラダラと冷や汗を流しながら聞く敦くん。
勇者だなぁ。
「あら、お疑い?」
そう云って、ナオミちゃんは谷崎くんの服に手を入れる。
公共の場であっても、こういった大胆な事ができるのはすごいと思うが、見ているこっちはなんとも言えない気分になる。
「勿論どこまでもちの繋がった兄妹でしてよ……?このアタリの躯(カラダ)つきなんてホントにそっくりで……。ねぇ、兄様?」
「いや、でも…。」
何か云いかけた敦くんを国木田さんが肩にポンと手を当てた。
何を云うのかはわかる。
この2人に関して、あまり深く追求してはいけない。
そう云う暗黙のルールがあるからだ。
それを察したようにコクリと頷く敦くん。
察してくれて本当によかった。
「そういえば、皆さんは探偵社に入る前は何を?」
その言葉を境にシン…となるテーブル。
そして、あれ?まずいこと聞いた…?というような表情をしている敦くん。
「何してたと思う?」
太宰さんが嬉しそうに敦くんに声をかけた。
真逆、自分から言い出すとは思ってなかった。
「へ?」
「なにね、定番なのだよ。新入りは先輩の前職を中てるのさ。」
「はぁ……。じゃあ……。」
そして、考える仕草を見せる敦くん。
何処まで当たるだろうか。
「谷崎さんと妹さんは……………学生?」
「おっ、中ッた。凄い。」
「どうしてお分かりに?」
「ナオミさんは制服から見たまんま。谷崎さんのほうも――齢が近そうだし勘で。」
「やるねぇ。じゃあ、国木田君は?」
「止せ!俺の前職など如何でも―――」
「うーん、お役人さん?」
『惜しい。国木田さんは、元学校教諭なんです。数学の。』
「へぇぇ!」
「昔の話だ。思い出したくもない。」
そう云う国木田さんだが、私の中では一番納得のいく答えだ。
とても分かる。
「それじゃあ、薙澄沙ちゃんは?」
「薙澄沙さんも…学生?」
『んー、半分くらいは中ってますかね。』
「半分なんですか?」
『私も、孤児で社長に拾っていただいたんです。その時から学校に通いながら手伝いをしてるので、前職は村人Aというあたりが正解かもしれませんね。』
「そうなんですか。…目の眼帯は、大丈夫なんですか?」
『あ、ああこれ。どうなってると思いますか?眼帯の下。』
「えっ。」
真逆、聞かれるとは思ってなかったらしい。
わたわたしている。
「うっ…右目が疼く…!!…みたいな事になってたり…。」
『厨二病ではないです。』
「それでは…片目が見えないから隠すため…?」
『有り得そうだけど、違います。』
「火傷跡がある?」
『無いです。まぁ、見せますか…。』
太宰さんが凄く期待を含んだ目で見てくる。
『太宰さんは、見ないでください。』
「薙澄沙ちゃんの酷さが戻ってきた!つらい!」
『まぁ、取りますね。』
そういって、敦くんの方をむき眼帯を取る。
「え、紅い…?」
『はい。突然変異か何かで生まれながらこんな目をしていました。あまり、いい思い出ではないので眼帯で塞いでいることが多いんです。』
「そういう事なんですか…。でも、綺麗ですね…。」
敦くんは魅入るように私の目を見た。
流石にそこまで見られるとはずかしいぞ。
「じゃ、私は?」
不意に響く太宰さんの声。
「え?太宰さんは……。」
そういった敦くんの目線は太宰さんに移る。
あまりに考え込んでるので、見かねた国木田さんが口を開いた。
「無駄だ、小僧。武装探偵社七不思議の一つなのだ。こいつの前職は。」
「最初に中てた人に賞金が有るンでしたっけ。」
「そうなんだよね。誰も中てられなくて懸賞金が膨れあがってる。」
そう云い、太宰さんはカップに入れたスプーンをくるりと回す。
「俺は溢者の類だと思うが、こいつは違うと云う。しかしこんな奴が真面な勤め人だった筈がない。」
『私も同意見です。』
「ちなみに、懸賞金って如何ほど?」
お金に目のない敦くん…。
でも、仕方ないのか、孤児だったんだし…。
「参加するかい?賞金は今――七十万だ。」
そう太宰さんが云うと目つきの変わった彼はガタッと立ち上がった。
正面に座っていた谷崎くんが驚くぐらいだから相当すごい目をしていたのかもしれない。
「中てたら貰える?本当に?」
「自殺主義者に二言は無いよ。」
そして、キッとした目つきになる敦くん。
本気か…。
「勤め人(サラリ-マン)」
「違う。」
「研究職」
「違う。」
「工場労働者」
「違う。」
「作家」
「違う。」
「役者」
「違う。」
敦くんの云う職業を一刀両断に切り捨てていく太宰さん。
ここまで違うと気持ちのいいものがある。
「役者は照れるね…。」
『黙ってれば顔はいいですしね。』
「薙澄沙ちゃんに褒めれた…。」
『褒めてないです。』
そして暗くなる太宰さん。
性格に難があるのが一番の問題だとほんとに思う。
そんな会話の中、まだ考え続けている敦くん。
「だから、本当は浪人か無宿人の類だろう?」
「違うよ。」
そう云って太宰さんは立ち上がった。
「この件では私は嘘など吐かない。」
真面目な声。
本当のことなのだろう。
「うふふ、降参かな?じゃ、此処の払いは宜しく。ご馳走様ー。」
語尾にに音符がつくぐらい調子の良い声。
ほら、逃げられたと国木田さんを見る。
溜息をついている様子が見られた。
ピピピピピピピピ
谷崎くんの電話がなった。
「うン?ハイ。……え?依頼ですか?」
谷崎くんのその声を聞き残っていた私達は立ち上がる。
事務所に戻り、話を聞くことになるだろう。
会計を済ませ、急いで戻った。