『ほら、ここで頑張るって決めたからにはできる限りやろう。敦くん。』


彼の背中を擦り慰める。


｢おい、薙澄沙。殺されかけたとはどういう事だ？｣


そして、わなわなと国木田さんが私に声をかけた。


『いや、女性関係に巻き込まれまして…。殺す気までなさそうだったので、刺されて、改心させました。』

｢おい。｣

『はい。』

｢怪我は。｣

『治しました。』

｢…。｣

『すいません、実は痛いです…。』


怪我した当たりを押さえる。


｢おい、太宰。｣

｢はい。｣

｢何をしている貴様は！このレプリカの爆弾もお前の持ってきたものだろう！？谷崎にも迷惑をかけ…！｣


そして、ガミガミと始まる国木田さんの説教。
コソッと私は逃げようとしたが襟を掴まれ、太宰さんと共に正座をし、一緒に説教を受ける。

長い…長いぞこれは…！


｢薙澄沙、そう云う時は正当防衛だ。自分の身を守れ。武装探偵社であるもの…！｣


20分経過したあたりで正座している足がしびれの限界に来ていた。


｢あ、あのー。国木田さん。｣

｢何だ？｣

｢そろそろやめてあげてはどうですか…？彼も、驚いています…。｣


ふっと視線を敦くんにうつすとぽかんとした表情でこちらを見ていた。


｢…そうだな。｣


よし！これで説教が終わる！


｢だがな！｣


終わらなかった…。


30分後…。


｢国木田さん、国木田さん。ほんとにもう大丈夫だと思いますよ…。｣

｢む…。｣


私と太宰さんはもう、それはもう真っ白になっていたはずだ。
燃え尽きた感じに…。


｢今日はここまでにしておこう…。｣


すると、パッと明るくなる太宰さん。
同じように私も明るくなっていただろう。


｢ほら、入社試験も終わったことだし軽く打ち上げといこうよ！国木田君の奢りで！｣

｢俺は奢らんぞ！｣

『でも、彼の歓迎もしなければなりませんよね。』

｢…。こいつの分は割り勘だ。自分の分は自分で払え。｣

｢よーし！そうと決まれば行こう！｣


そう言って、太宰さんは敦くんの背中を押していく。


『国木田さん、たぶん太宰さん聞いてませんよ。』

｢何！？｣

『谷崎くんにナオミちゃん、二人も行きましょう。』


そう云い、二人を誘い一階のうずまきに向かう。
国木田さんの悲痛な声が聞こえたが、そっとしておこう…。