忌み子と自殺趣味
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「やれやれ……。莫迦とは思っていたが、これほどとは。」
そう、国木田さんが最初に口を開いた。
「自殺愛好家(マニア)の才能があるね、彼は。」
愉快そうに太宰さんが云う。
『太宰さんの仲間に入れないようにしてくださいね。』
「おや、バレてたか。」
する気だったのか…。
「へ?………え?」
敦くんは未だ状況を掴めてないようだ。
ポカンと間の抜けたような顔をしている。
「ああーん、兄様ぁ!大丈夫でしたかぁぁ!?」
そして、目にも止まらぬ速さで谷崎くんに飛びつくナオミちゃん。
ゴキッと良い音が鳴った。
「痛だっ!?」
そしてそのまま、ナオミちゃんの頭をグリグリ押し付けられ、抱きしめられ続ける谷崎くん。
「いい、痛い、痛いよナオミ。折れる折れる!」
ベキョッ!
「って云うか折れたァ!」
ギャーという叫び声が聞こえる。
谷崎くん、永遠なれ…。
まだ、ポカンとしている敦くんの目の前で手を振るが頭が追いついていないようで見えていないみたいだ。
「…………………………………へ?」
そんな、素っ頓狂な声を出した敦くんに国木田さんが、小僧。と、声をかけた。
「恨むなら太宰を恨め。若しくは、仕事斡旋人の選定を間違えた、己を恨め。」
少しずつ理解が出来てきたようで太宰さんをみる敦くん。
そんな彼に手を貸し立たせると、太宰さんは口を開いた。
「そう云うことだよ、敦君。つまりこれは、一種の――入社試験だね。」
「入社……………、試験?」
理解するように再度呟く敦くん。
「その通りだ。」
低く、渋い声が社内に響いた。
私と国木田さんは姿勢を正す。
「社長。」
『お疲れ様です。』
「しゃ、社長!?」
私達が挨拶をすると彼は驚いたように声を上げ、口がと開いたままになった。
そして、社長が口を開いた。
「そこの太宰めが『有能なる若者が居る。』と云うゆえ。その魂の真贋、試させて貰った。」
「君を社員に推薦したのだけど、如何せん君は、区の災害指定猛獣だ。保護すべきか社内でも揉めてね。」
そう言葉を続ける太宰さんをあんぐりと見つめる敦くん。
そりゃ、驚きだろう。
「で、社長の一声でこうなった、と。」
事の経緯を説明する。
そして、国木田さんが結果を聞くように社長を見て口を開いた。
「で、社長……結果は?」
じっと、鋭い眼で敦くんを見、何かを考えるように目を閉じる。
そして、一言。
「太宰に一任する。」
そう云って、社長室に戻って行った。
「……………。」
わからない…と云うように社長の背中を見つめる敦くん。
そして、太宰さんが声をかけた。
「合格だってさ。」
社長にとっては、そういう事なのだ。
私が見た限りでも、彼はここに居ても大丈夫であると感じた。
「つ、つまり……?僕に斡旋する仕事っていうのは。此処の……?」
そこまで敦くんが云うと、太宰さんはクスっと笑い彼に手を差し出した。
「武装探偵社へ、ようこそ。」
そして流れる気まずそうな間。
汗をかき始める敦くん。
そして、よろしくお願いしますわ。と、云うナオミちゃん。
谷崎くんは痛そうにまだ声を上げている。
そして敦くんはハッとしたような表情をし、彼女の腰あたりから出ている腕に目を奪われていた。
その視線に気づいたナオミちゃんはその手を敦くんに向かって振る。
今日もナオミちゃんは綺麗だなぁ…。
ドサッと彼は腰が抜けたように尻もちをついた。
「ぼ、僕を試すためだけに……、こんな大掛かりな仕掛けを?」
『はい。大変だったんですよ。昨日の夜中まで試験内容を決めるハメになりしたから。太宰さんのせいで。』
「薙澄沙ちゃん、最後の一言余計じゃないの…?」
『余計じゃないです。』
「昨日の弱そうな薙澄沙ちゃんは何処に行ったんだか…。」
そう云う太宰さんの腹に1発パンチを入れる。
グホッ!と云っていたが、大したダメージではないだろう。
「薙澄沙?何かあったのか?」
『太宰さんに巻き込まれ危うく殺されかけただけです。』
「ころっ!?」
驚いたように声を上げる敦くん。
それもそうだろうな。
そしてニコリと太宰さんが敦くんに笑いかける。
「この位で驚いてちゃ身が持たないよ?」
そして、瞬時にカサカサカサっと後ずさる彼。
いつかの君もそんなふうにカサカサ動いていたなと思い返す。
「いやいや!こんな無茶で物騒な職場、僕、無理ですよ!」
普通の人の反応をする彼。
だが、太宰さんの事だ。既に何か手は打ってあるのだろう。
「おや。」
ほら、太宰さんの畳み掛けが始まるぞ…。
「君が無理と云うなら、強制はできないね。」
そして、顔色が少し良くなる敦くん。よかったとでも云いそうだが。
「となると、君が住んでる“社員寮”引き払わないと。」
は?という顔をし、顔色がまた一気に悪くなる敦くん。
可哀想に…。
「あと、寮の食費と電話の払いもあるけど……大丈夫?」
そう簡単そうにヘラっと云ってしまう太宰さん。
彼の表情はポカーンとなり、だんだん目から流れてくる一筋の涙。
本当に、可哀想に。
「せ……。」
『せ?』
「選択肢無いじゃないですかああああぁぁ…。」
そう云う敦くんは遂に泣き出してしまった。
仕方ないだろう。
彼も真逆こんな所に就職するとは思ってもみなかっただろうから。
そう、国木田さんが最初に口を開いた。
「自殺愛好家(マニア)の才能があるね、彼は。」
愉快そうに太宰さんが云う。
『太宰さんの仲間に入れないようにしてくださいね。』
「おや、バレてたか。」
する気だったのか…。
「へ?………え?」
敦くんは未だ状況を掴めてないようだ。
ポカンと間の抜けたような顔をしている。
「ああーん、兄様ぁ!大丈夫でしたかぁぁ!?」
そして、目にも止まらぬ速さで谷崎くんに飛びつくナオミちゃん。
ゴキッと良い音が鳴った。
「痛だっ!?」
そしてそのまま、ナオミちゃんの頭をグリグリ押し付けられ、抱きしめられ続ける谷崎くん。
「いい、痛い、痛いよナオミ。折れる折れる!」
ベキョッ!
「って云うか折れたァ!」
ギャーという叫び声が聞こえる。
谷崎くん、永遠なれ…。
まだ、ポカンとしている敦くんの目の前で手を振るが頭が追いついていないようで見えていないみたいだ。
「…………………………………へ?」
そんな、素っ頓狂な声を出した敦くんに国木田さんが、小僧。と、声をかけた。
「恨むなら太宰を恨め。若しくは、仕事斡旋人の選定を間違えた、己を恨め。」
少しずつ理解が出来てきたようで太宰さんをみる敦くん。
そんな彼に手を貸し立たせると、太宰さんは口を開いた。
「そう云うことだよ、敦君。つまりこれは、一種の――入社試験だね。」
「入社……………、試験?」
理解するように再度呟く敦くん。
「その通りだ。」
低く、渋い声が社内に響いた。
私と国木田さんは姿勢を正す。
「社長。」
『お疲れ様です。』
「しゃ、社長!?」
私達が挨拶をすると彼は驚いたように声を上げ、口がと開いたままになった。
そして、社長が口を開いた。
「そこの太宰めが『有能なる若者が居る。』と云うゆえ。その魂の真贋、試させて貰った。」
「君を社員に推薦したのだけど、如何せん君は、区の災害指定猛獣だ。保護すべきか社内でも揉めてね。」
そう言葉を続ける太宰さんをあんぐりと見つめる敦くん。
そりゃ、驚きだろう。
「で、社長の一声でこうなった、と。」
事の経緯を説明する。
そして、国木田さんが結果を聞くように社長を見て口を開いた。
「で、社長……結果は?」
じっと、鋭い眼で敦くんを見、何かを考えるように目を閉じる。
そして、一言。
「太宰に一任する。」
そう云って、社長室に戻って行った。
「……………。」
わからない…と云うように社長の背中を見つめる敦くん。
そして、太宰さんが声をかけた。
「合格だってさ。」
社長にとっては、そういう事なのだ。
私が見た限りでも、彼はここに居ても大丈夫であると感じた。
「つ、つまり……?僕に斡旋する仕事っていうのは。此処の……?」
そこまで敦くんが云うと、太宰さんはクスっと笑い彼に手を差し出した。
「武装探偵社へ、ようこそ。」
そして流れる気まずそうな間。
汗をかき始める敦くん。
そして、よろしくお願いしますわ。と、云うナオミちゃん。
谷崎くんは痛そうにまだ声を上げている。
そして敦くんはハッとしたような表情をし、彼女の腰あたりから出ている腕に目を奪われていた。
その視線に気づいたナオミちゃんはその手を敦くんに向かって振る。
今日もナオミちゃんは綺麗だなぁ…。
ドサッと彼は腰が抜けたように尻もちをついた。
「ぼ、僕を試すためだけに……、こんな大掛かりな仕掛けを?」
『はい。大変だったんですよ。昨日の夜中まで試験内容を決めるハメになりしたから。太宰さんのせいで。』
「薙澄沙ちゃん、最後の一言余計じゃないの…?」
『余計じゃないです。』
「昨日の弱そうな薙澄沙ちゃんは何処に行ったんだか…。」
そう云う太宰さんの腹に1発パンチを入れる。
グホッ!と云っていたが、大したダメージではないだろう。
「薙澄沙?何かあったのか?」
『太宰さんに巻き込まれ危うく殺されかけただけです。』
「ころっ!?」
驚いたように声を上げる敦くん。
それもそうだろうな。
そしてニコリと太宰さんが敦くんに笑いかける。
「この位で驚いてちゃ身が持たないよ?」
そして、瞬時にカサカサカサっと後ずさる彼。
いつかの君もそんなふうにカサカサ動いていたなと思い返す。
「いやいや!こんな無茶で物騒な職場、僕、無理ですよ!」
普通の人の反応をする彼。
だが、太宰さんの事だ。既に何か手は打ってあるのだろう。
「おや。」
ほら、太宰さんの畳み掛けが始まるぞ…。
「君が無理と云うなら、強制はできないね。」
そして、顔色が少し良くなる敦くん。よかったとでも云いそうだが。
「となると、君が住んでる“社員寮”引き払わないと。」
は?という顔をし、顔色がまた一気に悪くなる敦くん。
可哀想に…。
「あと、寮の食費と電話の払いもあるけど……大丈夫?」
そう簡単そうにヘラっと云ってしまう太宰さん。
彼の表情はポカーンとなり、だんだん目から流れてくる一筋の涙。
本当に、可哀想に。
「せ……。」
『せ?』
「選択肢無いじゃないですかああああぁぁ…。」
そう云う敦くんは遂に泣き出してしまった。
仕方ないだろう。
彼も真逆こんな所に就職するとは思ってもみなかっただろうから。