忌み子と自殺趣味
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「矢張り昔話よろしく、悪漢がお姫様を急襲するのはどうかな!?」
太宰さんがこう言った。
いや、流石にどうかと思ったが話はどんどん進んでいく。
「まて、悪漢は誰がやる。」
「それを籤で決めるンじゃあないか。」
「悪漢の役は僕がやりたいです!面白そうです!」
『賢治くん、それはある意味危険だと思いますよ。』
「まァ、妾としちゃそれはオイシイけどねェ。」
「いや待て待て。悪漢は籤でいいとして、問題は救出される姫側だ。姫役は誰がやる?籤とはいっても姫役をつとめられるのは通常女性のみであって……。」
一同は沈黙し与謝野女医の方を向いた。
「妾?薙澄沙はしないのかい?」
『いえ、私は新人くんを倒せると本人の前で言ってしまったので。』
「あァ、それで。善いけど、それじゃあ新人の頭蓋骨が唐竹割りになっちまうよ。」
「ですよね……。」
「前門の虎、後門の狼だな。」
「はっ、判った!国木田君が姫役をすればいいのだ!」
「阿呆か!」
私の頭の中には、この国木田さんが純白のドレスを着て「あーれー、お助けー。」としなを作る図を想像した。
これはない。
気持ち悪い。
…だけど、このドレスが似合っている気がするのは何故だろう。
というか、皆が笑い出し入社試験にならない気が…。
「あの、私そろそろ失礼しようと――兄様、何かご入り用のものはありませんか。」
内容があらかた決まってきた辺りにそう云いナオミちゃんが会議室に顔を覗かせた。
「ああ、ナオミ。これから、籤をするンだけど、何か紙を入れる適当な袋ッてないかな?」
「それでしたら、学校行事で使った封筒の余り物ですの。よろしければ。」
そう答え、ナオミちゃんは学生鞄からよく見る茶色の封筒を取り出した。
谷崎くんはありがとうといって受け取っていた。
「できました。」
谷崎くんがそう告げ皆が振り向く。
彼の前には、【1】から【40】までの数字が入った籤が並べられている。
その数、二十枚。
【1】の頁番号の裏には【2】があるため四十枚ではなく二十枚なのだ。
同じ理由により、【3】は【4】。【39】は【40】の裏表セットだ。
谷崎くんは、それらをひとつの束にして、慎重に封筒の中に入れた。
「じゃ、籤引きだね。どういう順でやるンだい?」
確かに、与謝野女医の云う通りまだ順番を決めていなかった。どうするのだろう。
国木田さんが、腕を組み考えた。
「籤を作った谷崎は、一応最後にするのが道理だろう。」
「私は?」
そう、太宰さんが云うと国木田さんは続けてこう云った。
「お前は――あまり後に引かせると、また善からぬ策謀を思いつかんとも限らん。最初に引け。」
「信用ないなぁ…。」
そう云った太宰さんは封筒から籤をひとつ引いた。
「まだ見るなよ。」
「なんで?」
「肝心の配役がまだ決まっていないからな。先に貧乏籤を引く人間を確定させてからは不公平だろう?」
「道理だね。じゃあ最後にいっせいに開こうか。」
そう云うと、太宰さんは籤を握りしめた。
「でも国木田君、私はちょうど思いついたのだよ。うってつけの試験内容。」
「何だ?」
国木田さんは太宰さんから封筒を奪い取りかき混ぜながら一枚引いた。
「ほら、そこに私が偶々持ってきていた不発爆弾があるだろう?」
ああ、あの爆弾か…。
昼間、立ち飲み屋に届けられたという。
危うく、無差別爆破騒動に発展しかけた。
私も大変だったな…。
「折角だから使わない手はないと思ってさ。」
「爆弾――を使うのか。」
国木田さんたちがそんな会話をしている間に、与謝野女医が籤を引いて握った。
「そうだよ。探偵社に爆弾魔が現れるのだ。犯人は一般市民を人質に取り探偵社に立てこもる。迂闊に手を出せない。――そのような状況で、新人君がどのような行動を取るか。もちろん合否は最終的には社長に判断して貰うけど、爆弾を解除するのか、説得で投降させられれば合格。どうだい?探偵社らしくて善いだろう?」
賢治くんが封筒から籤を一枚引いた。
私に封筒が渡され、私も一枚籤を引く。
乱歩さんは試験当日の明日に出張で不在のため籤を引くのを免除されている。
と言っても、彼は今此処にはおらず、肉まんを何処かで食べているだろうが…。
そして、最後に籤を引く谷崎くんの番になった。
「はい、どうぞ兄様。」
そういって、彼女は谷崎くんに封筒を差し出した。
「籤の数字が一番小さい人が――爆弾魔なンですよね。」
確認するように谷崎くんが太宰さんに聞いた。
「そうなるねえ。」
暢気に太宰さんがそう告げた。
すると、谷崎くんは意を決したように籤を引いた。
太宰さんがこう言った。
いや、流石にどうかと思ったが話はどんどん進んでいく。
「まて、悪漢は誰がやる。」
「それを籤で決めるンじゃあないか。」
「悪漢の役は僕がやりたいです!面白そうです!」
『賢治くん、それはある意味危険だと思いますよ。』
「まァ、妾としちゃそれはオイシイけどねェ。」
「いや待て待て。悪漢は籤でいいとして、問題は救出される姫側だ。姫役は誰がやる?籤とはいっても姫役をつとめられるのは通常女性のみであって……。」
一同は沈黙し与謝野女医の方を向いた。
「妾?薙澄沙はしないのかい?」
『いえ、私は新人くんを倒せると本人の前で言ってしまったので。』
「あァ、それで。善いけど、それじゃあ新人の頭蓋骨が唐竹割りになっちまうよ。」
「ですよね……。」
「前門の虎、後門の狼だな。」
「はっ、判った!国木田君が姫役をすればいいのだ!」
「阿呆か!」
私の頭の中には、この国木田さんが純白のドレスを着て「あーれー、お助けー。」としなを作る図を想像した。
これはない。
気持ち悪い。
…だけど、このドレスが似合っている気がするのは何故だろう。
というか、皆が笑い出し入社試験にならない気が…。
「あの、私そろそろ失礼しようと――兄様、何かご入り用のものはありませんか。」
内容があらかた決まってきた辺りにそう云いナオミちゃんが会議室に顔を覗かせた。
「ああ、ナオミ。これから、籤をするンだけど、何か紙を入れる適当な袋ッてないかな?」
「それでしたら、学校行事で使った封筒の余り物ですの。よろしければ。」
そう答え、ナオミちゃんは学生鞄からよく見る茶色の封筒を取り出した。
谷崎くんはありがとうといって受け取っていた。
「できました。」
谷崎くんがそう告げ皆が振り向く。
彼の前には、【1】から【40】までの数字が入った籤が並べられている。
その数、二十枚。
【1】の頁番号の裏には【2】があるため四十枚ではなく二十枚なのだ。
同じ理由により、【3】は【4】。【39】は【40】の裏表セットだ。
谷崎くんは、それらをひとつの束にして、慎重に封筒の中に入れた。
「じゃ、籤引きだね。どういう順でやるンだい?」
確かに、与謝野女医の云う通りまだ順番を決めていなかった。どうするのだろう。
国木田さんが、腕を組み考えた。
「籤を作った谷崎は、一応最後にするのが道理だろう。」
「私は?」
そう、太宰さんが云うと国木田さんは続けてこう云った。
「お前は――あまり後に引かせると、また善からぬ策謀を思いつかんとも限らん。最初に引け。」
「信用ないなぁ…。」
そう云った太宰さんは封筒から籤をひとつ引いた。
「まだ見るなよ。」
「なんで?」
「肝心の配役がまだ決まっていないからな。先に貧乏籤を引く人間を確定させてからは不公平だろう?」
「道理だね。じゃあ最後にいっせいに開こうか。」
そう云うと、太宰さんは籤を握りしめた。
「でも国木田君、私はちょうど思いついたのだよ。うってつけの試験内容。」
「何だ?」
国木田さんは太宰さんから封筒を奪い取りかき混ぜながら一枚引いた。
「ほら、そこに私が偶々持ってきていた不発爆弾があるだろう?」
ああ、あの爆弾か…。
昼間、立ち飲み屋に届けられたという。
危うく、無差別爆破騒動に発展しかけた。
私も大変だったな…。
「折角だから使わない手はないと思ってさ。」
「爆弾――を使うのか。」
国木田さんたちがそんな会話をしている間に、与謝野女医が籤を引いて握った。
「そうだよ。探偵社に爆弾魔が現れるのだ。犯人は一般市民を人質に取り探偵社に立てこもる。迂闊に手を出せない。――そのような状況で、新人君がどのような行動を取るか。もちろん合否は最終的には社長に判断して貰うけど、爆弾を解除するのか、説得で投降させられれば合格。どうだい?探偵社らしくて善いだろう?」
賢治くんが封筒から籤を一枚引いた。
私に封筒が渡され、私も一枚籤を引く。
乱歩さんは試験当日の明日に出張で不在のため籤を引くのを免除されている。
と言っても、彼は今此処にはおらず、肉まんを何処かで食べているだろうが…。
そして、最後に籤を引く谷崎くんの番になった。
「はい、どうぞ兄様。」
そういって、彼女は谷崎くんに封筒を差し出した。
「籤の数字が一番小さい人が――爆弾魔なンですよね。」
確認するように谷崎くんが太宰さんに聞いた。
「そうなるねえ。」
暢気に太宰さんがそう告げた。
すると、谷崎くんは意を決したように籤を引いた。