忌み子と自殺趣味
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肉まんを食べながら、一同はしばし黙考した。
このままでは埒があかない。
私も含め皆、自分が会議や合議に向いた性格ではないことに薄々感づいている。
落とし所が必要だ…。
白板には【依頼解決ノ合否】【社内ニ於ケル厄介事ノ解決】【豊臣秀吉】【八本捥グ】【アルハラ】【太宰ヲギュウギュウ】【〇〇ヲ××シチャウ】【肉饅オイシイデス】と書かれていた。
私がいた意味は無さそうだ…。
変えればよかったと心底後悔している。
まぁ、分かっていたことではあるが…。
暇で暇でとても眠くなってきた。私が欠伸をすると国木田さんが口を開いた。
「太宰、そろそろ案を絞ったら如何だ?これは、三つの議題のうちのひとつめだろう。いい加減に決着をつけないと夜が明けるぞ。この中から選べとは云わんが、基本方針くらい決めたら如何だ?」
「ええ?皆でこうやって実のない議論をするのが楽しいのに。朝までやろうよ。」
巫山戯るな。私は眠い。それに帰りたい。
『それなら私帰っても?とても眠いんですが。』
「えー…。」
「ほらな。楽しかろうが嬉しかろうが、すべきことをすべきだろうが。未成年もいるのだぞ。いい加減に進めろ。あとは試験の案をひとつに決め、役割を割り振るだけだろう?」
「でもまだ面子が揃ってないからなあ。」
ああ、そういえば乱歩さんがいない。太宰さんはそのことに気づいていたようだ。その事についてブツブツと呟いている。
「あら?乱歩さんなら、事務フロアにいらっしゃいましたけど。」
「え?」
「ついさっき通りかかった時に見ましたわ。駄菓子のオマケの砂糖菓子の型抜きを熱心にされてましたけど。」
「流石は乱歩さん動じないなあ。」
こうなることが分かっていたのか。めんどくさいだけか…。どっちにしろお菓子のオマケの型抜きがうまく出来るのならいいのだろう。
「ちょっと私、呼んできますわ。」
そう云い、ナオミちゃんは会議室を去った。
乱歩さんが来てくれたらすぐ決まるだろう。
やっとこの長い会議が終わってくれる。
コテコテという足音を伴って、会議室の扉から姿を見せた乱歩さん。
すると、笑顔でこういった。
「やあ君たち!相変わらず益体もない会議で頭を無駄遣いしているそうじゃないか。全く駄目だねえ仕方ないねえ、探偵社は僕がいないと全く駄目だからなあ!」
「お待ちしてました乱歩さん。」
そう太宰さんが笑顔で続ける。
「先刻話した入社試験の会議です。おひとつどうですか?」
「地味で面倒なことに頭を使うのは厭だなあ。そのうえ新人が有能だろうが無能だろうが、僕には猿の毛ほども興味はないよ。世の中には二種類の約周りの人間しかいないんだ。僕に事件を解決されて喜んで泣く奴と、事件を解決されて困って泣く奴だ!」
「まさにその通り。」
「けど無論、僕の異能に見抜けない真相はない。それは殺人事件でも何でもない、しょーもない些事であっても同じだ。どうせ僕は明日から出張で試験には参加できない。ようやく待ちに待った連続殺人事件が北陸の地で起こったから。だから試験不在の置き土産として、この会議の行く末を僕の『超推理』で予測してあげてもいいよ。」
長い言葉を言い終え、乱歩さんは黒縁眼鏡を懐から取り出した。異能発動の契機となる古い黒縁眼鏡。それをかければ、乱歩さんの異能が発現する。私と出会った時から持っていたので深く尋ねたことがないが、乱歩さん曰く、社長から賜った、非常に由緒正しい、霊験あらたかな眼鏡である言う。ぱっと見は、古ぼけた眼鏡にしか見えないけれど。
使ってもいいんだと思ったら、国木田さんもそのように聞いていた。
乱歩さんは事件以外で異能を使うことはまず無いから。
「勿論――」
使ってくれるのかと思った矢先、一呼吸おいた乱歩さんが愉快そうに言った。
「使うと思った?」
まぁそうでしょうね、と私は思い、頷いてしまった。
皆もそうであったと願いたい。
「折角皆がない智恵絞って頑張ってるのに、僕がぱぱっと解決しちゃったら可哀想でしょう。それに、君たちは――僕に無断で肉まんを食った!それが許せない!」
そこかーーーーーーー。
乱歩さん、そこかーーーーーーー。
「え、でも乱歩さんは事務室の机で駄菓子を山ほど食べてたのでは…。」
と、谷崎くんが当惑したように云った。
「あのねえ。確かに僕は駄菓子とか饅頭とかのほうが好きだよ。それから、挽肉焼(ハンバ-グ)とか卵包飯(オムライス)とかの判り易い食事も好き!だけどね、今は夜中だよ。夜中にふと肉まんの香りだけが鼻の前を漂い、かつ肉まんそのものは存在しないことほど腹の立つことはない!」
言ってやったという顔をした乱歩さん。そして、谷崎くんは、ナオミちゃんに残りがないか訊いて来るようで慌てて立ち上がっていた。
会議室を谷崎くんが出る時に乱歩さんは、何か告げていた。
だが、私に聞こえることは無かった。
このままでは埒があかない。
私も含め皆、自分が会議や合議に向いた性格ではないことに薄々感づいている。
落とし所が必要だ…。
白板には【依頼解決ノ合否】【社内ニ於ケル厄介事ノ解決】【豊臣秀吉】【八本捥グ】【アルハラ】【太宰ヲギュウギュウ】【〇〇ヲ××シチャウ】【肉饅オイシイデス】と書かれていた。
私がいた意味は無さそうだ…。
変えればよかったと心底後悔している。
まぁ、分かっていたことではあるが…。
暇で暇でとても眠くなってきた。私が欠伸をすると国木田さんが口を開いた。
「太宰、そろそろ案を絞ったら如何だ?これは、三つの議題のうちのひとつめだろう。いい加減に決着をつけないと夜が明けるぞ。この中から選べとは云わんが、基本方針くらい決めたら如何だ?」
「ええ?皆でこうやって実のない議論をするのが楽しいのに。朝までやろうよ。」
巫山戯るな。私は眠い。それに帰りたい。
『それなら私帰っても?とても眠いんですが。』
「えー…。」
「ほらな。楽しかろうが嬉しかろうが、すべきことをすべきだろうが。未成年もいるのだぞ。いい加減に進めろ。あとは試験の案をひとつに決め、役割を割り振るだけだろう?」
「でもまだ面子が揃ってないからなあ。」
ああ、そういえば乱歩さんがいない。太宰さんはそのことに気づいていたようだ。その事についてブツブツと呟いている。
「あら?乱歩さんなら、事務フロアにいらっしゃいましたけど。」
「え?」
「ついさっき通りかかった時に見ましたわ。駄菓子のオマケの砂糖菓子の型抜きを熱心にされてましたけど。」
「流石は乱歩さん動じないなあ。」
こうなることが分かっていたのか。めんどくさいだけか…。どっちにしろお菓子のオマケの型抜きがうまく出来るのならいいのだろう。
「ちょっと私、呼んできますわ。」
そう云い、ナオミちゃんは会議室を去った。
乱歩さんが来てくれたらすぐ決まるだろう。
やっとこの長い会議が終わってくれる。
コテコテという足音を伴って、会議室の扉から姿を見せた乱歩さん。
すると、笑顔でこういった。
「やあ君たち!相変わらず益体もない会議で頭を無駄遣いしているそうじゃないか。全く駄目だねえ仕方ないねえ、探偵社は僕がいないと全く駄目だからなあ!」
「お待ちしてました乱歩さん。」
そう太宰さんが笑顔で続ける。
「先刻話した入社試験の会議です。おひとつどうですか?」
「地味で面倒なことに頭を使うのは厭だなあ。そのうえ新人が有能だろうが無能だろうが、僕には猿の毛ほども興味はないよ。世の中には二種類の約周りの人間しかいないんだ。僕に事件を解決されて喜んで泣く奴と、事件を解決されて困って泣く奴だ!」
「まさにその通り。」
「けど無論、僕の異能に見抜けない真相はない。それは殺人事件でも何でもない、しょーもない些事であっても同じだ。どうせ僕は明日から出張で試験には参加できない。ようやく待ちに待った連続殺人事件が北陸の地で起こったから。だから試験不在の置き土産として、この会議の行く末を僕の『超推理』で予測してあげてもいいよ。」
長い言葉を言い終え、乱歩さんは黒縁眼鏡を懐から取り出した。異能発動の契機となる古い黒縁眼鏡。それをかければ、乱歩さんの異能が発現する。私と出会った時から持っていたので深く尋ねたことがないが、乱歩さん曰く、社長から賜った、非常に由緒正しい、霊験あらたかな眼鏡である言う。ぱっと見は、古ぼけた眼鏡にしか見えないけれど。
使ってもいいんだと思ったら、国木田さんもそのように聞いていた。
乱歩さんは事件以外で異能を使うことはまず無いから。
「勿論――」
使ってくれるのかと思った矢先、一呼吸おいた乱歩さんが愉快そうに言った。
「使うと思った?」
まぁそうでしょうね、と私は思い、頷いてしまった。
皆もそうであったと願いたい。
「折角皆がない智恵絞って頑張ってるのに、僕がぱぱっと解決しちゃったら可哀想でしょう。それに、君たちは――僕に無断で肉まんを食った!それが許せない!」
そこかーーーーーーー。
乱歩さん、そこかーーーーーーー。
「え、でも乱歩さんは事務室の机で駄菓子を山ほど食べてたのでは…。」
と、谷崎くんが当惑したように云った。
「あのねえ。確かに僕は駄菓子とか饅頭とかのほうが好きだよ。それから、挽肉焼(ハンバ-グ)とか卵包飯(オムライス)とかの判り易い食事も好き!だけどね、今は夜中だよ。夜中にふと肉まんの香りだけが鼻の前を漂い、かつ肉まんそのものは存在しないことほど腹の立つことはない!」
言ってやったという顔をした乱歩さん。そして、谷崎くんは、ナオミちゃんに残りがないか訊いて来るようで慌てて立ち上がっていた。
会議室を谷崎くんが出る時に乱歩さんは、何か告げていた。
だが、私に聞こえることは無かった。