忌み子と自殺趣味
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太宰さんに手を取られて歩くこと約10分。
私達は、マンションの扉の前にいた。
『太宰さん、ここは?』
「いいからいいから。何も喋らず横にいてね。」
『え?』
誰の家の前なのか、それぐらいは聞きたかったが、聞く前に太宰さんがインターホンを鳴らしたため何も云えずに前を向くことになった。
「治さん!」
そう云って出てきたのは美人な女の人。でも、目が虚ろだ。
太宰さんと、彼女はどういう関係なのだろう…。
「会いたかったのよ。私だけを視てくださるの?貴方は沢山の人を虜にしてしまうから心配なのだけれど、私の事を大事に思ってくださっているものね!」
この人…頭がおかしい。
「はぁ、私。前にきちんとお断りさせてもらったよね?」
「え…?でも、私にはあなたしかいなくて…。…彼女はどなたなの?」
私の方をふっと見た女性は敵意を私に向けた。
敵意丸出し…。でも、ゾッとしてしまうのは、目が虚ろだからなのかもしれない。
「彼女は、私の想い人だよ。」
「え…?」
「前も、貴女に云ったと思うが、私には想い人が居る。だから、諦めてくれと。」
「いやよ!私だけを視て?絶対に彼女なんかより私の方があなたを幸せにできるわ!」
「私が幸せなのかどうか、幸せに出来るかどうかは私が決めることだ。君の決めることではない。」
「なんで、こんな子がいいの?眼帯なんかつけて、喪服みたいな真っ黒な服を着て、気味の悪い!」
ガッと彼女が私に掴みかかろうとした手を繋いでいたため、反応が遅れる。
目をつぶって、空いている方の手で目を守る。
でも、彼女の手が私に当たることは無かった。
代わりに聞こえたのが乾いた音だった。
『…太宰さん。』
太宰さんが空いている方の手で彼女の手を弾いていた。
太宰さんの目はいつもの何倍も鋭くなっていて少し恐怖を覚えた。
いつも優しい目をしているのに、人は、こんなにも怖い目を出来るようになるのか…。
目の前の彼女は怯んだように後ろに下がった。
「彼女に手を出すことは私が許さないよ。それに、眼帯をつけているのは仕方の無いことなんだ。私の許可なしに取ることは許さない。」
「治、さ…ん。」
「だから、諦めてくれたまえ。」
「…はい。」
「私なんかより、ずっといい人がいる。君は、そんな人を探しなさい。いいね?」
「…はい。」
「それではね。行こうか、薙澄沙ちゃん。」
太宰さんは、私の手を引いて歩き始めた。
気になってちらっと後ろを見るとあの人は俯いたままだった。
あっさりと終わりすぎたような気もする…。被害のないことを願いたい。
『あの、私にしかできないことってこれですか?』
「うん、これ。ごめんね。」
『いえ。太宰さんがあの女性から庇ってくれましたし。でも、手を握る必要、ありました?』
「薙澄沙ちゃんが異能を使うといけないから手を繋いだんだよ。」
『ああ、それで。』
ふっと離された手を見る。
近くにあった温度が離れ、少し寂しい感じがする。
「薙澄沙ちゃんの異能は発動までの時間が短いからね。」
『まぁ、危険を感じたらふっと使ってしまいそうになるのが私の悪いところですけど…。』
「でしょ?」
『…本気なんですね。』
「ん?何が?」
太宰さんは、分からないとういように首を傾げた。
『私の事が、好きって事です。』
「勿論だとも。え、もしかして信じてなかった?」
『半分ぐらい。昨日のことは酔っていたから冗談で言ったのかとも考えてましたし。』
「酷いなぁ、私は本気だよ?こんな事で嘘などつかない。」
『そうですか。でも、太宰さんが私と付き合える事なんて、きっとありませんよ。私、絶対に忘れませんから。』
「それなら、薙澄沙ちゃんに付き合ってくださいって言われるぐらいに私無しでは生きていけないぐらいに惚れさせないとね。」
『何言ってるんですか。私は、今も…これからも。彼氏を作る予定はありませんから。』
そう。好きな人ができたところで辛い思いしかできなかったのだから。
薄くなった感情は消えるまでは行かなかったけれど、胸に穴を開けるには十分なぐらい辛い思いをした。
もう二度と、あんな事にならないとわかっていても、昔のことが怖いだけの弱虫な自分がまたその感情を薄くする。
何時か、きちんと戻ってくる分けない。そう分かっている。
「うふふ、その言葉をよく覚えておきたまえよ。きっと、薙澄沙ちゃんは私に惚れると断言しよう。」
『なんでそんなこと言えるんですか…。』
「え?勘。」
勘かよ。と頭の中でツッコミを入れた。
『そうですか。でも、無理ですよ。私に、恋愛なんて。』
歩く先を見つめ、私はそう呟いた。
「試してみないとわからないよ?」
『…折れる気は無いんですね。』
「勿論だとも。」
そう云って、少し先を歩いていた太宰さんはこちらを振り向いた。
「私が本気なのだから。」
『…まぁ、たのしみにしておきます。』
「うふふ、そうしておいてくれたまえ。」
『はい。』
そこからは、他愛のない話に移行しながら探偵社に向かった。
社に戻ったら、遅めの昼ごはんを食べてプリンを食べよう。
なんて、考えながら。
私達は、マンションの扉の前にいた。
『太宰さん、ここは?』
「いいからいいから。何も喋らず横にいてね。」
『え?』
誰の家の前なのか、それぐらいは聞きたかったが、聞く前に太宰さんがインターホンを鳴らしたため何も云えずに前を向くことになった。
「治さん!」
そう云って出てきたのは美人な女の人。でも、目が虚ろだ。
太宰さんと、彼女はどういう関係なのだろう…。
「会いたかったのよ。私だけを視てくださるの?貴方は沢山の人を虜にしてしまうから心配なのだけれど、私の事を大事に思ってくださっているものね!」
この人…頭がおかしい。
「はぁ、私。前にきちんとお断りさせてもらったよね?」
「え…?でも、私にはあなたしかいなくて…。…彼女はどなたなの?」
私の方をふっと見た女性は敵意を私に向けた。
敵意丸出し…。でも、ゾッとしてしまうのは、目が虚ろだからなのかもしれない。
「彼女は、私の想い人だよ。」
「え…?」
「前も、貴女に云ったと思うが、私には想い人が居る。だから、諦めてくれと。」
「いやよ!私だけを視て?絶対に彼女なんかより私の方があなたを幸せにできるわ!」
「私が幸せなのかどうか、幸せに出来るかどうかは私が決めることだ。君の決めることではない。」
「なんで、こんな子がいいの?眼帯なんかつけて、喪服みたいな真っ黒な服を着て、気味の悪い!」
ガッと彼女が私に掴みかかろうとした手を繋いでいたため、反応が遅れる。
目をつぶって、空いている方の手で目を守る。
でも、彼女の手が私に当たることは無かった。
代わりに聞こえたのが乾いた音だった。
『…太宰さん。』
太宰さんが空いている方の手で彼女の手を弾いていた。
太宰さんの目はいつもの何倍も鋭くなっていて少し恐怖を覚えた。
いつも優しい目をしているのに、人は、こんなにも怖い目を出来るようになるのか…。
目の前の彼女は怯んだように後ろに下がった。
「彼女に手を出すことは私が許さないよ。それに、眼帯をつけているのは仕方の無いことなんだ。私の許可なしに取ることは許さない。」
「治、さ…ん。」
「だから、諦めてくれたまえ。」
「…はい。」
「私なんかより、ずっといい人がいる。君は、そんな人を探しなさい。いいね?」
「…はい。」
「それではね。行こうか、薙澄沙ちゃん。」
太宰さんは、私の手を引いて歩き始めた。
気になってちらっと後ろを見るとあの人は俯いたままだった。
あっさりと終わりすぎたような気もする…。被害のないことを願いたい。
『あの、私にしかできないことってこれですか?』
「うん、これ。ごめんね。」
『いえ。太宰さんがあの女性から庇ってくれましたし。でも、手を握る必要、ありました?』
「薙澄沙ちゃんが異能を使うといけないから手を繋いだんだよ。」
『ああ、それで。』
ふっと離された手を見る。
近くにあった温度が離れ、少し寂しい感じがする。
「薙澄沙ちゃんの異能は発動までの時間が短いからね。」
『まぁ、危険を感じたらふっと使ってしまいそうになるのが私の悪いところですけど…。』
「でしょ?」
『…本気なんですね。』
「ん?何が?」
太宰さんは、分からないとういように首を傾げた。
『私の事が、好きって事です。』
「勿論だとも。え、もしかして信じてなかった?」
『半分ぐらい。昨日のことは酔っていたから冗談で言ったのかとも考えてましたし。』
「酷いなぁ、私は本気だよ?こんな事で嘘などつかない。」
『そうですか。でも、太宰さんが私と付き合える事なんて、きっとありませんよ。私、絶対に忘れませんから。』
「それなら、薙澄沙ちゃんに付き合ってくださいって言われるぐらいに私無しでは生きていけないぐらいに惚れさせないとね。」
『何言ってるんですか。私は、今も…これからも。彼氏を作る予定はありませんから。』
そう。好きな人ができたところで辛い思いしかできなかったのだから。
薄くなった感情は消えるまでは行かなかったけれど、胸に穴を開けるには十分なぐらい辛い思いをした。
もう二度と、あんな事にならないとわかっていても、昔のことが怖いだけの弱虫な自分がまたその感情を薄くする。
何時か、きちんと戻ってくる分けない。そう分かっている。
「うふふ、その言葉をよく覚えておきたまえよ。きっと、薙澄沙ちゃんは私に惚れると断言しよう。」
『なんでそんなこと言えるんですか…。』
「え?勘。」
勘かよ。と頭の中でツッコミを入れた。
『そうですか。でも、無理ですよ。私に、恋愛なんて。』
歩く先を見つめ、私はそう呟いた。
「試してみないとわからないよ?」
『…折れる気は無いんですね。』
「勿論だとも。」
そう云って、少し先を歩いていた太宰さんはこちらを振り向いた。
「私が本気なのだから。」
『…まぁ、たのしみにしておきます。』
「うふふ、そうしておいてくれたまえ。」
『はい。』
そこからは、他愛のない話に移行しながら探偵社に向かった。
社に戻ったら、遅めの昼ごはんを食べてプリンを食べよう。
なんて、考えながら。