忌み子と自殺趣味
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探偵社に車を戻しに行く時、チラっと横をみると太宰さんは目をつぶって、転た寝をしていた。
そんなに疲れているのなら、私一人でも大丈夫なのに何て思いながら運転する。
黙って、普通にしていれば顔も整っているんだし、モテるのだろうなと思う。自殺趣味が何もかも残念にしている気もする。
まぁ、人間欠点の一つや二つ、あるのだろうけど、この一つは大きすぎると思う。
「ねぇ、薙澄沙ちゃん。」
『はい。』
内心起きてたんだと思い、一瞬焦るが声にあまり出なかったため、太宰さんが追求することは無かった。
「あの時、本当に大丈夫だったの?」
『…大丈夫ですよ。乱歩さんと話をして、落ち着きましたから。』
「電話、そんなに悪い内容だったの。」
『…もうすぐ、社につきます。』
「無視しないで。」
『大丈夫です。悪い内容じゃないですから。』
でも、悪い予感がする。
私の悪い予感はよく当たる。
でも、見ないよう、聞かないよう、知らないように、蓋をする。
私は、卑怯だ。
「それは、本当なの?」
『はい。』
「信じていいの?」
『…はい。』
嘘、ついた。
ただ、安心させるようにしただけ。
大丈夫、何も起こらない。
大丈夫、大丈夫。
何度も、何度も、言い聞かせる。
バレない。
そう願って。
「嘘。ダウトだね。」
『…。』
「…まぁ、また気が向いたら話してよ。きっと、力になれるから。」
『はい…。』
私の返事で、会話は途切れた。
暫く続いた無言の空間は、とても居辛いものだった。
社に車を戻し、鍵をかける。
鍵は、明日返せばいいだろう。ああ、でもガソリンをきちんと足しておかないとな…。
「薙澄沙ちゃん。帰ろうか。」
『…はい。』
「あ、今日のバーのお金。与謝野女医の分払ってくれてたでしょ。」
『え、あ。はい。』
先程からの暗い雰囲気はその話を太宰さんが振ってくれたおかげで一気になくなった。
「ダメでしょ?私が奢るはずだったのに。それに、薙澄沙ちゃん、何も頼んでないじゃない。」
『与謝野女医には、近々買い物につれて行ってもらう事になっているので…その先払い…というか。いつも、何も買わない私にって服を買ってくれるんです。このワンピースもそうだったんですけど。それで、お金を返そうとすると断られますし…。それで思いついたのが、このお酒を飲む時は私が与謝野女医の分も払うってことなんです。』
「へぇ。それで。でも、ダメでしょう?私が奢る心算だったんだよ?」
『すいません。』
そう言って、私は笑ってしまった。
「薙澄沙ちゃんは、やっぱり笑ってるほうがいいね。」
太宰さんが私をのぞき込んでその事を言って、優しく微笑んだ。
月明かりに照らされ、その笑顔は。
とても、
綺麗に見えた。
そんなに疲れているのなら、私一人でも大丈夫なのに何て思いながら運転する。
黙って、普通にしていれば顔も整っているんだし、モテるのだろうなと思う。自殺趣味が何もかも残念にしている気もする。
まぁ、人間欠点の一つや二つ、あるのだろうけど、この一つは大きすぎると思う。
「ねぇ、薙澄沙ちゃん。」
『はい。』
内心起きてたんだと思い、一瞬焦るが声にあまり出なかったため、太宰さんが追求することは無かった。
「あの時、本当に大丈夫だったの?」
『…大丈夫ですよ。乱歩さんと話をして、落ち着きましたから。』
「電話、そんなに悪い内容だったの。」
『…もうすぐ、社につきます。』
「無視しないで。」
『大丈夫です。悪い内容じゃないですから。』
でも、悪い予感がする。
私の悪い予感はよく当たる。
でも、見ないよう、聞かないよう、知らないように、蓋をする。
私は、卑怯だ。
「それは、本当なの?」
『はい。』
「信じていいの?」
『…はい。』
嘘、ついた。
ただ、安心させるようにしただけ。
大丈夫、何も起こらない。
大丈夫、大丈夫。
何度も、何度も、言い聞かせる。
バレない。
そう願って。
「嘘。ダウトだね。」
『…。』
「…まぁ、また気が向いたら話してよ。きっと、力になれるから。」
『はい…。』
私の返事で、会話は途切れた。
暫く続いた無言の空間は、とても居辛いものだった。
社に車を戻し、鍵をかける。
鍵は、明日返せばいいだろう。ああ、でもガソリンをきちんと足しておかないとな…。
「薙澄沙ちゃん。帰ろうか。」
『…はい。』
「あ、今日のバーのお金。与謝野女医の分払ってくれてたでしょ。」
『え、あ。はい。』
先程からの暗い雰囲気はその話を太宰さんが振ってくれたおかげで一気になくなった。
「ダメでしょ?私が奢るはずだったのに。それに、薙澄沙ちゃん、何も頼んでないじゃない。」
『与謝野女医には、近々買い物につれて行ってもらう事になっているので…その先払い…というか。いつも、何も買わない私にって服を買ってくれるんです。このワンピースもそうだったんですけど。それで、お金を返そうとすると断られますし…。それで思いついたのが、このお酒を飲む時は私が与謝野女医の分も払うってことなんです。』
「へぇ。それで。でも、ダメでしょう?私が奢る心算だったんだよ?」
『すいません。』
そう言って、私は笑ってしまった。
「薙澄沙ちゃんは、やっぱり笑ってるほうがいいね。」
太宰さんが私をのぞき込んでその事を言って、優しく微笑んだ。
月明かりに照らされ、その笑顔は。
とても、
綺麗に見えた。