忌み子と自殺趣味
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『え?』
ふっと携帯の持つ手を見ると確かに震えている。
もう片方も力を入れすぎて手が白くなっている。
「気づいてなかったんだね。」
何も言えない。
太宰さんは、色んなことによく気が付く。
乱歩さんには負けるけれど…。
だから、言い返せないんだ。
「ほら、そんなに力入れちゃダメでしょう?跡着いちゃう。」
『! 大丈夫です。』
今、私に触っちゃ駄目。
上手くコントロールできない感情。
宴とは何?
何も知れないまま終わるって?
最後の言葉は何を言おうとしたの?
その疑問がぐるぐると頭の中で回る。
こんな時、私は駄目になる。
過去が、フラッシュバックしやすくなる。
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、頭にいろいろなものが混ざり始めて。
過去も、一緒に――。
『!嫌っ!!』
「――っ!」
『あっ…。』
私の手を触れた太宰さんの手を弾いてしまった。
やってしまった。
そう思い、私は膝からドサリと崩れ落ちてしまう。
「薙澄沙ちゃん?」
『ごめんなさい、大丈夫。大丈夫ですから…。』
「太宰ー?薙澄沙ー?」
私が崩れ落ちたまま謝っている中、乱歩さんがこっちにやってきたようで声をかけてくれる。
少しお酒の匂いがするのは先程まで飲んでいたからであろう。
『乱歩さん…。』
「ミイラ取りがミイラになったのかと思って見に来たけど…。…薙澄沙、大丈夫?」
『大丈夫…です。』
「太宰、先に戻ってて。僕は、薙澄沙と話をするから。」
「ですが、乱歩さん。」
「いいから、僕に任せて。皆には適当に理由を言っといてよ。」
「…はい。」
そう言って、太宰さん此処を離れた。彼の背中が見えなくなるまで乱歩さんは待ってくれた。
太宰さんの背中が消えると乱歩さんは私の横に座って声を発した。
「薙澄沙。」
『はい。』
「太宰に何か言われたの?」
『いえ…。少し、思い出してしまっただけです。…乱歩さんなら『超推理』で分かるんじゃないですか?』
「眼鏡は今は使わないよ。薙澄沙もそのほうがいいだろう?」
『ありがとうございます…。』
「で、思い出したって昔の事?」
『はい。ちょっと、ぐるぐると考えすぎたんです。それで。』
「で、触れた太宰の手を弾いちゃったんだ。」
『はい。』
「もう、大丈夫?」
私が頷くと乱歩さんは背中をさすってくれた。
「よし、じゃあおまじないしようか。」
『おまじない?』
「ほらー、昔したでしょー?」
『え?』
理解出来ないまま、立ち上がった乱歩さんを見るとニッといつもみたいに笑って手を引き私を立ち上がらせた。
そして、そのままぎゅっと抱きしめられ頭をポンポンとしてくれた。
あぁ、昔してくれた。
これで私はいつも泣き止んだ。
おまじない…これだったね。
「薙澄沙、頑張れ。」
『うん、ありがとう。乱歩くん。』
「…ククッ、懐かしい呼び方するね。」
『うん。久しぶりに。いつも、ありがとう。』
「どういたしまして。さて、戻ろうか、皆待ってるしね。」
『はい。』
皆の所に戻ると、相変わらず賑やかに話をしていた。与謝野女医も割と飲んでいるようで、酔っている様子が少し離れた場所でも確認できる。
賢治くんは、いつの間にか満腹になったのだろう。机に突っ伏して寝てしまっている。まぁ、彼はお酒を飲んではいけない年齢だからな…。私もだけれど。
そういえば、太宰さんはあの事をどうやって説明したのだろう。
「おお、戻ったか。」
『はい。』
「太宰が一人で戻ってきた時はびっくりしたぞ。まさか、迷ったとはな。」
「途中で僕が太宰に会ったからね。戻って貰ったんだよね。」
「いやぁ、まさか迷うとは思ってなかったんだよねぇ。」
そう言って、太宰さんと乱歩さんは笑っているが迷った処を追求しない国木田さんを見て大分酔っているのかもなと思う。
何時もはなかなか酔わないのに…。
少し会話に花を咲かせるといい時間になってきたので寮に戻ることになった。
車を運転するのは、必然的に私になったが楽しかったのでまぁいいだろう。
『マスター、今日はありがとうございました。』
「探偵社の皆さんは楽しい人ばっかだね。私たちも楽しませてもらったよ。歌、来週の金曜お願いできるかい?」
『はい。大丈夫ですよ。あ、会計なんですけど与謝野女医の分だけ私が払います。』
「あぁ、了解。歌の分から引けるけど。」
『なら、そこからお願いします。あとは、あちらの包帯ぐるぐる巻きの太宰さんに。』
「ハハッ、分かったよ。」
皆のいる方に目を向けると国木田さんの酔いが冷めてきたようで、賢治くんを背負って帰り支度をしている。
与謝野女医は、意識はしっかりしているがまだ酔っているのだろう、少し顔が赤い気がした。乱歩さんは、いつもよりニコニコしていてとても可愛い。そして、太宰さんは酔っているのか分からないぐらい意識がはっきりしていて言動もそのままだ。本当に飲んでいるのだろうか…。
「太宰、此処はお前持ちだぞ?分かっているか?」
「はいはい。自殺主義者に二言はないからね。きちんと払うよ。」
『国木田さん、車のキーって。』
「ああ、これだ。」
国木田さんのベストのポケットから出てきた車の鍵を受け取る。
きちんと車も返してこよう。
太宰さんにお金を払ってもらい、店を出る。
車は、私が運転席。助手席に太宰さん。後部座席に乱歩さん、国木田さん、その後に与謝野女医と賢治くんという順になった。
皆を寮に送っていくと、太宰さんは車を返しに行くのを付いていくと言う。
私は、別にいいと言うがなかなか引き下がってくれないので、私が結局折れる事になった。
ふっと携帯の持つ手を見ると確かに震えている。
もう片方も力を入れすぎて手が白くなっている。
「気づいてなかったんだね。」
何も言えない。
太宰さんは、色んなことによく気が付く。
乱歩さんには負けるけれど…。
だから、言い返せないんだ。
「ほら、そんなに力入れちゃダメでしょう?跡着いちゃう。」
『! 大丈夫です。』
今、私に触っちゃ駄目。
上手くコントロールできない感情。
宴とは何?
何も知れないまま終わるって?
最後の言葉は何を言おうとしたの?
その疑問がぐるぐると頭の中で回る。
こんな時、私は駄目になる。
過去が、フラッシュバックしやすくなる。
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる、頭にいろいろなものが混ざり始めて。
過去も、一緒に――。
『!嫌っ!!』
「――っ!」
『あっ…。』
私の手を触れた太宰さんの手を弾いてしまった。
やってしまった。
そう思い、私は膝からドサリと崩れ落ちてしまう。
「薙澄沙ちゃん?」
『ごめんなさい、大丈夫。大丈夫ですから…。』
「太宰ー?薙澄沙ー?」
私が崩れ落ちたまま謝っている中、乱歩さんがこっちにやってきたようで声をかけてくれる。
少しお酒の匂いがするのは先程まで飲んでいたからであろう。
『乱歩さん…。』
「ミイラ取りがミイラになったのかと思って見に来たけど…。…薙澄沙、大丈夫?」
『大丈夫…です。』
「太宰、先に戻ってて。僕は、薙澄沙と話をするから。」
「ですが、乱歩さん。」
「いいから、僕に任せて。皆には適当に理由を言っといてよ。」
「…はい。」
そう言って、太宰さん此処を離れた。彼の背中が見えなくなるまで乱歩さんは待ってくれた。
太宰さんの背中が消えると乱歩さんは私の横に座って声を発した。
「薙澄沙。」
『はい。』
「太宰に何か言われたの?」
『いえ…。少し、思い出してしまっただけです。…乱歩さんなら『超推理』で分かるんじゃないですか?』
「眼鏡は今は使わないよ。薙澄沙もそのほうがいいだろう?」
『ありがとうございます…。』
「で、思い出したって昔の事?」
『はい。ちょっと、ぐるぐると考えすぎたんです。それで。』
「で、触れた太宰の手を弾いちゃったんだ。」
『はい。』
「もう、大丈夫?」
私が頷くと乱歩さんは背中をさすってくれた。
「よし、じゃあおまじないしようか。」
『おまじない?』
「ほらー、昔したでしょー?」
『え?』
理解出来ないまま、立ち上がった乱歩さんを見るとニッといつもみたいに笑って手を引き私を立ち上がらせた。
そして、そのままぎゅっと抱きしめられ頭をポンポンとしてくれた。
あぁ、昔してくれた。
これで私はいつも泣き止んだ。
おまじない…これだったね。
「薙澄沙、頑張れ。」
『うん、ありがとう。乱歩くん。』
「…ククッ、懐かしい呼び方するね。」
『うん。久しぶりに。いつも、ありがとう。』
「どういたしまして。さて、戻ろうか、皆待ってるしね。」
『はい。』
皆の所に戻ると、相変わらず賑やかに話をしていた。与謝野女医も割と飲んでいるようで、酔っている様子が少し離れた場所でも確認できる。
賢治くんは、いつの間にか満腹になったのだろう。机に突っ伏して寝てしまっている。まぁ、彼はお酒を飲んではいけない年齢だからな…。私もだけれど。
そういえば、太宰さんはあの事をどうやって説明したのだろう。
「おお、戻ったか。」
『はい。』
「太宰が一人で戻ってきた時はびっくりしたぞ。まさか、迷ったとはな。」
「途中で僕が太宰に会ったからね。戻って貰ったんだよね。」
「いやぁ、まさか迷うとは思ってなかったんだよねぇ。」
そう言って、太宰さんと乱歩さんは笑っているが迷った処を追求しない国木田さんを見て大分酔っているのかもなと思う。
何時もはなかなか酔わないのに…。
少し会話に花を咲かせるといい時間になってきたので寮に戻ることになった。
車を運転するのは、必然的に私になったが楽しかったのでまぁいいだろう。
『マスター、今日はありがとうございました。』
「探偵社の皆さんは楽しい人ばっかだね。私たちも楽しませてもらったよ。歌、来週の金曜お願いできるかい?」
『はい。大丈夫ですよ。あ、会計なんですけど与謝野女医の分だけ私が払います。』
「あぁ、了解。歌の分から引けるけど。」
『なら、そこからお願いします。あとは、あちらの包帯ぐるぐる巻きの太宰さんに。』
「ハハッ、分かったよ。」
皆のいる方に目を向けると国木田さんの酔いが冷めてきたようで、賢治くんを背負って帰り支度をしている。
与謝野女医は、意識はしっかりしているがまだ酔っているのだろう、少し顔が赤い気がした。乱歩さんは、いつもよりニコニコしていてとても可愛い。そして、太宰さんは酔っているのか分からないぐらい意識がはっきりしていて言動もそのままだ。本当に飲んでいるのだろうか…。
「太宰、此処はお前持ちだぞ?分かっているか?」
「はいはい。自殺主義者に二言はないからね。きちんと払うよ。」
『国木田さん、車のキーって。』
「ああ、これだ。」
国木田さんのベストのポケットから出てきた車の鍵を受け取る。
きちんと車も返してこよう。
太宰さんにお金を払ってもらい、店を出る。
車は、私が運転席。助手席に太宰さん。後部座席に乱歩さん、国木田さん、その後に与謝野女医と賢治くんという順になった。
皆を寮に送っていくと、太宰さんは車を返しに行くのを付いていくと言う。
私は、別にいいと言うがなかなか引き下がってくれないので、私が結局折れる事になった。