忌み子と自殺趣味
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「だって、薙澄沙なら教えてるンだと思ったんだよねェ。」
「あ、僕もそう思ってました。」
与謝野先生がそう言うと賢治くんが同意する。
乱歩さんと国木田さんは互いに頷いている。
『皆さんにも太宰さんには隠してるとは言ってありませんでしたしね。というか、隠してたのもありますが、半分ぐらい忘れてましたし。』
「え、薙澄沙ちゃんそうなの!?」
『はい。まぁ。』
「…。」
『え。ちょっと、国木田さんみたいに頭グリグリしないでください。』
無言で頭をグリグリとしてくるが国木田さんほど痛くないのは手加減をしてくれているからだろう。
「ていうかさー。何で、薙澄沙ちゃんは眼帯とってるの?」
『うっ…。』
言われると思っていたがやはり言われたか。
「薙澄沙は変わりだったんだよ。」
『乱歩さん。』
「まぁ、いいじゃん。」
『まぁ、そうですね…。』
確かに、これはまだ話せるものだから…。
「変わりって、どういう事だい?」
『私の仕事だったんです。探偵社が出来てようやく街にも馴染んできた頃、私はまだ学生をしていましたが、1つ変わった依頼が入ったんです。』
「どんな依頼だったんだい?」
『歌姫の護衛をして欲しい。と云う内容でした。』
「護衛?警察じゃなかったのかい?」
『ええ、まぁ。』
「此処に殺人予告が来たんだよ。歌姫を殺すってね。で、その殺人犯は警察も手を焼いていたみたいだからね。社長の処に依頼が直接来たんだよ。」
『そして、その囮となったのが私だったんです。歌姫と容姿が似ていた。それと、目が似ていたんです。』
「彼女も薙澄沙みたいに片目が赤くてね。」
「…歌姫って、薙澄沙ちゃんの事じゃないんだね。」
『前の歌姫は、それはもう素晴らしい方でした。今では、プロの歌手ですよ。』
「それは凄い。」
『で、その依頼は無事に我々の囮作戦で犯人も捕まえることが出来ました。そしたら、彼女もここのマスターも私の声に惚れたと言って1年に一回でもいいから歌いに来て欲しいってすごく言ってきたんです。』
あの時の2人は凄く必死だったのを今でも鮮明に思い出せる。
『その時に、判断は私に任せると社長に云われ私が金曜になら毎週来れると言ったのが始まりだったんです。それ以来、此処では眼帯をとって歌っているんです。』
「そうだったんだ。」
『はい。あ、私着替えてきますね。』
「そのままの格好でもいいンじゃないかい?」
『いえ、でも落ち着きませんし…。』
「えー、可愛いよ?」
与謝野女医に続いて乱歩さんもそう言ってくれたが、この服はあまり落ち着かない。
ワンピース等の女の子らしい格好をあまりしないから、という理由があるからだろうけれど。
「私はそのままでも全然大丈夫だと思うよ。薙澄沙ちゃんの珍しい格好、とても可愛いし。」
『太宰さんまで…。』
でも、洗濯をそろそろしなければならないし…。
『分かりました。そのままで居ますから…、更衣室に荷物を取りに行ってもいいですか?』
「それなら、行ってきなよ。」
『はい。』
そう言って、荷物を取りに行った。
更衣室に戻り荷物をとると携帯に着信が入っていることに気がついた。
誰だろう?
留守電は残っておらず、どういう要件なのか全くわからない。
番号を確認しようにも非通知なので全くもってわからない。
間違い電話だったのかもしれないなと思い荷物に詰め込む。
太宰さん捜索時にきちんと荷物を持ってきておいて正解だったと思う。
荷物をまとめ、更衣室から出ようとした時荷物の中で携帯が音を出した。
携帯を取り出し、画面に映し出される番号を見ようとするがディスプレイには非通知と書かれていて誰なのか分からない。
誰なのだろうか…。
そう思い、通話釦を押す。
『もしもし、どちら様でしょうか。』
「…。」
『もしもし?聞こえていますか?』
「…薙澄沙。」
『え…?』
「…ふふっ、あっはははははははは!!」
何…?急に笑い出した。
『要件は何ですか。早く教えなさい。』
「宴はそろそろ始まる。」
『宴?』
「君は、何も知らないまま、何も知れないまま、宴を終えることになる。」
『何を言っているのか、全く意味がわからないのですが。』
「君は、もうすぐ――」
最後の言葉を聞けないまま、電話はブツっと切れた。
一体、何だったというのだろうか。
私の名前を知っていた。
でも、訳の分からない電話の相手。
「薙澄沙ちゃん?」
『太宰さん…。』
声をかけられた為、後ろを振り向くと太宰さんが立っていた。
どうしたと言うのだろう?
「遅いから、中に入らせてもらったんだけど…電話中だった?」
『いえ…何でもありません。電話ももう終わりましたし。』
「…顔色悪いけど。」
『大丈夫です。皆さんの処に行きましょう。』
「…本当に大丈夫?」
『はい。大丈夫…ですよ。』
ふっと、安心させるように笑みを浮かべる。
太宰さんはそれでも不審な顔をしてこう言った。
「震えてるのに?」
「あ、僕もそう思ってました。」
与謝野先生がそう言うと賢治くんが同意する。
乱歩さんと国木田さんは互いに頷いている。
『皆さんにも太宰さんには隠してるとは言ってありませんでしたしね。というか、隠してたのもありますが、半分ぐらい忘れてましたし。』
「え、薙澄沙ちゃんそうなの!?」
『はい。まぁ。』
「…。」
『え。ちょっと、国木田さんみたいに頭グリグリしないでください。』
無言で頭をグリグリとしてくるが国木田さんほど痛くないのは手加減をしてくれているからだろう。
「ていうかさー。何で、薙澄沙ちゃんは眼帯とってるの?」
『うっ…。』
言われると思っていたがやはり言われたか。
「薙澄沙は変わりだったんだよ。」
『乱歩さん。』
「まぁ、いいじゃん。」
『まぁ、そうですね…。』
確かに、これはまだ話せるものだから…。
「変わりって、どういう事だい?」
『私の仕事だったんです。探偵社が出来てようやく街にも馴染んできた頃、私はまだ学生をしていましたが、1つ変わった依頼が入ったんです。』
「どんな依頼だったんだい?」
『歌姫の護衛をして欲しい。と云う内容でした。』
「護衛?警察じゃなかったのかい?」
『ええ、まぁ。』
「此処に殺人予告が来たんだよ。歌姫を殺すってね。で、その殺人犯は警察も手を焼いていたみたいだからね。社長の処に依頼が直接来たんだよ。」
『そして、その囮となったのが私だったんです。歌姫と容姿が似ていた。それと、目が似ていたんです。』
「彼女も薙澄沙みたいに片目が赤くてね。」
「…歌姫って、薙澄沙ちゃんの事じゃないんだね。」
『前の歌姫は、それはもう素晴らしい方でした。今では、プロの歌手ですよ。』
「それは凄い。」
『で、その依頼は無事に我々の囮作戦で犯人も捕まえることが出来ました。そしたら、彼女もここのマスターも私の声に惚れたと言って1年に一回でもいいから歌いに来て欲しいってすごく言ってきたんです。』
あの時の2人は凄く必死だったのを今でも鮮明に思い出せる。
『その時に、判断は私に任せると社長に云われ私が金曜になら毎週来れると言ったのが始まりだったんです。それ以来、此処では眼帯をとって歌っているんです。』
「そうだったんだ。」
『はい。あ、私着替えてきますね。』
「そのままの格好でもいいンじゃないかい?」
『いえ、でも落ち着きませんし…。』
「えー、可愛いよ?」
与謝野女医に続いて乱歩さんもそう言ってくれたが、この服はあまり落ち着かない。
ワンピース等の女の子らしい格好をあまりしないから、という理由があるからだろうけれど。
「私はそのままでも全然大丈夫だと思うよ。薙澄沙ちゃんの珍しい格好、とても可愛いし。」
『太宰さんまで…。』
でも、洗濯をそろそろしなければならないし…。
『分かりました。そのままで居ますから…、更衣室に荷物を取りに行ってもいいですか?』
「それなら、行ってきなよ。」
『はい。』
そう言って、荷物を取りに行った。
更衣室に戻り荷物をとると携帯に着信が入っていることに気がついた。
誰だろう?
留守電は残っておらず、どういう要件なのか全くわからない。
番号を確認しようにも非通知なので全くもってわからない。
間違い電話だったのかもしれないなと思い荷物に詰め込む。
太宰さん捜索時にきちんと荷物を持ってきておいて正解だったと思う。
荷物をまとめ、更衣室から出ようとした時荷物の中で携帯が音を出した。
携帯を取り出し、画面に映し出される番号を見ようとするがディスプレイには非通知と書かれていて誰なのか分からない。
誰なのだろうか…。
そう思い、通話釦を押す。
『もしもし、どちら様でしょうか。』
「…。」
『もしもし?聞こえていますか?』
「…薙澄沙。」
『え…?』
「…ふふっ、あっはははははははは!!」
何…?急に笑い出した。
『要件は何ですか。早く教えなさい。』
「宴はそろそろ始まる。」
『宴?』
「君は、何も知らないまま、何も知れないまま、宴を終えることになる。」
『何を言っているのか、全く意味がわからないのですが。』
「君は、もうすぐ――」
最後の言葉を聞けないまま、電話はブツっと切れた。
一体、何だったというのだろうか。
私の名前を知っていた。
でも、訳の分からない電話の相手。
「薙澄沙ちゃん?」
『太宰さん…。』
声をかけられた為、後ろを振り向くと太宰さんが立っていた。
どうしたと言うのだろう?
「遅いから、中に入らせてもらったんだけど…電話中だった?」
『いえ…何でもありません。電話ももう終わりましたし。』
「…顔色悪いけど。」
『大丈夫です。皆さんの処に行きましょう。』
「…本当に大丈夫?」
『はい。大丈夫…ですよ。』
ふっと、安心させるように笑みを浮かべる。
太宰さんはそれでも不審な顔をしてこう言った。
「震えてるのに?」